【WEEKLY ROUND UP】モンスタートラックの世界速度記録樹立/NASCAR界の超新星、祭典5位で覚醒へ

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2026年05月20日 14:50  AUTOSPORT web

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『モンスタージャム』の最新競技用トラックが伝統のインディアナポリス・モーター・スピードウェイ(IMS)で世界速度記録を樹立
 毎週水曜に世界のツーリングカーやストックカーを中心に、ときにはラリーも含めたハコ車の話題をお届けする『WEEKLY ROUND UP』。今週は北米大陸の各スタジアムから飛び出し、伝統のインディアナポリス・モーター・スピードウェイ(IMS)で世界速度記録を樹立した『モンスタージャム』の最新競技用トラックの話題や、ドーバー・モータースピードウェイで開催されたNASCARカップシリーズ『All-Star Race(オールスター・レース)』にて、最高峰デビュー後の自己最高5位に入賞した、19歳の“神童”コナー・ジリッシュ(トラックハウス・レーシング/シボレー・カマロ)の週末に密着。欧州からはスパ・フランコルシャンで開催されたTCRヨーロッパ・シリーズ第2戦の模様もお伝えする。

 創設は1992年に遡り、現在もNHRA(National Hot Rod Association/全米ホットロッド協会)傘下でアメリカやカナダを中心に開催される『モンスタージャム』は、野球やフットボールのスタジアムを利用した特設コースでの1対1を皮切りに、ファンや観客にアピールする2輪走行のスキル・チャレンジや、スケボーのようなフリースタイル競技など、さまざまな形態で争われる。

 参戦するモンスタートラックは大排気量“ビッグブロック”エンジンにメタノール燃料を採用し、スーパーチャージャーによって1500PSまで強化。約1200ポンド(約5.4t)の車体を機敏に動かし、ときに空高く舞い上がらせる驚異のパワーを誇る。

 出場するドライバーには“愛称”が付くのも特徴で、歴史上で最大の人気を誇った“グレイブ・ディガー(墓掘り人)”こと殿堂入りのデニス・アンダーソンらを筆頭に“ビッグフット”“メガレックス”“ワイルド・サイド”“アースシェイカー”など多種多彩なキャラクターがファンを楽しませる。

 そんなモンスタージャムは、今回NTTインディカー・シリーズとの提携により世界でもっとも象徴的なサーキットであるIMSにて、現在開催中の第110回『Indianapolis 500(インディアナポリス500)』の予選日に登場。ここでレースにインスパイアされた「スピード、精度、そしてハンドリング性能を追求して設計した」という、モンスタージャム最新の競技用トラック『Power Rush(パワーラッシュ)』を公開した。

 人気ドライバーのカムデン・マーフィーによって発案されたこのトラックは、これまでのどの車両とも異なる流線型のデザインと、エアロダイナミクスを追求したまったく新しいカスタムボディを採用。5月15〜17日のクオリファイング・ウイークエンドにて、急遽のシングルデイ開催となったトップ12予選を前にデモンストレーションでのアタックを行い、最高速度で時速103マイル(約166km/h)の世界速度記録を樹立した。

「いやぁ、実はこのストレートで時速200マイル(約322km/h)を出したことがあるんだ」と、かつてNASCARエクスフィニティ(現オライリー・オートパーツ・シリーズ)車両をドライブした経験に触れつつ、インディ500のアテンプトを見守った観衆の前でモンスタートラック最速記録を更新したマーフィー。

「正直言って、これまでのキャリアでもっとも興奮した出来事のひとつだよ。この世界記録を樹立できたことは、僕にとって本当に大きな意味がある」

 シリーズには2017年から参戦し“モンスタージャム・カム”の愛称で親しまれるマーフィーは、金曜に催されたトラックのお披露目イベントから「ここにいられるのは本当に光栄だ」とファンへの露出と訴求を強調。「モンスタージャムとインディアナポリス・モーター・スピードウェイの素晴らしいコラボレーションだ」と、その成果に手応えを得ていた。

 すでに本筋のシリーズ戦では、各地域で設けられる独立したチャンピオンシップから今季の王者が誕生し、その最後を飾ったコロラド州デンバーでのスタジアム・ウエストでは“サン・オブ・ディガー(墓掘り人の息子)”ことラ​​イアン・アンダーソンがタイトルを手にし、モンスタージャム・ワールドファイナルへの最後の出場権を獲得した。

 これにより7月2〜4日にソルトレイクシティで開催される、モンスタージャムトラックが一堂に会する最大のイベント『モンスタージャム・ワールドファイナル』には史上最多の28台が参戦。最終日の7月4日はアメリカ合衆国の建国を祝う『独立記念日(インディペンデンス・デー)』と重なり、当日は壮大な花火大会も予定されているという。

 そのモンスタートラック世界最速記録更新と同じ週末、ドーバー・モータースピードウェイで初開催となったNASCARカップシリーズ『All-Star Race(オールスター・レース)』に出場したコナー・ジリッシュは、今季フル参戦デビューを果たしたカップでの初祭典でメインレースへと進出。トラックハウス・レーシングがマシンの不正操作によるペナルティを受けなければ、優勝争いに加わっていた可能性もあったほどの印象的なスピードを披露した。

 昨季のNASCARエクスフィニティで10勝を挙げ、圧倒的な強さを見せた“神童”は、最高峰にステップアップして以降は予想どおりの成長痛を経験。そんなジリッシュの週末は、予選走行のピットロードエントリーでスピンを喫する(ピットロードチャレンジを含む総合タイムがグリッド順を左右する)ところから始まった。結果、日曜の決勝レース進出に向けたセグメント1は27番グリッドからのスタートとなった。

 今回のオールスターでは、両方のセグメントにおける平均順位が最も高いドライバーが決勝レースに進出するという方式が採用され、ジリッシュは最初の75周のセグメント1を11位、続くセグメント2は5位でフィニッシュした。これにより決勝レースに進出した選抜8名のドライバー中でトップに立った。

「各セグメントでの巻き返しは大きかった」と振り返ったジリッシュ。「長いレースになることは分かっていた。(セグメント2でリバースになる)上位26台以内に入り、逆転ラウンドでチャンスをつかむ必要があることも分かっていた。最初のステージで11位まで順位を上げ、第2ステージでもさらに前進できたことで、ようやくチャンスがあると実感し始めたんだ」

 その日曜200周メインレースの中盤に2番手でピットアウトした後、ふたたびピットロードペナルティを受けたルーキーは、度重なるビハインドから着実に挽回して残り20周でトップ10入りを果たし、チェッカーフラッグを受ける頃には5番手に浮上する驚くべきカムバックを果たした。

「11号車(優勝したデニー・ハムリン)と19号車(その僚友で2位のチェイス・ブリスコ)に勝つのは大変だっただろう。彼らはふたりとも本当に速かった」とジリッシュ。「いずれにせよ、トラックハウスと88号車のチームにとって本当に良い1日だった。優勝争いに加われるスピードを発揮できた、まさに今日のような日が必要だったんだ。長い1年だったが、このような希望の瞬間は本当にうれしい。だから、攻めの姿勢で良いリスタートを決め、場違いな感じがしなかったのは良かったね」

 復調の兆しを掴んだ手応えの要因として、ジリッシュはマシンのグリップとポテンシャルを挙げる。チームはバランスの問題に苦戦したものの、たとえ調子の悪い日でも、まずまずの結果を残せるよう取り組んできたという。

「今日はまさにそれができたと思う。ポテンシャルはあったし、正直言って、まだまだ成長の余地がある。だから、みんなを本当に誇りに思うよ」

 オールスターはポイント対象ではないため、ジリッシュのシーズン成績には反映されない。しかし彼と彼のチームにとっては間違いなく大きな意味を持つ。非公式ながらジリッシュにとってカップでのキャリアベストの成績であり、シリーズ初のトップ5入りを果たした週末になった。

「もしまた速さがあったのに結果が出なかったら、間違いなく悔しかっただろうね」と続けたジリッシュ。「ポイント対象ではないとはいえ、誰もが優勝を目指し、上位争いに加わり、トップ5入りを狙ってレースに臨んでいる。ジョー・ギブスのマシンと競り合い2番手につけることができたのは、まさに僕らが必要としている成果であり、自分たちのレベルを測る基準となるものだ」

「先週末のテキサスは僕たちにとって良いレースで、シェーン-ヴァン・ギズバーゲンと僕でチームとして圧倒的な強さを見せ、ここに戻ってきてもまた良い走りができた。これで3週連続で良い結果を残せたので、正しい方向に向かっていると感じている」とジリッシュ。

「この週末は楽しかったけど長かった。本当に長かったよ。オールスターがこんなに長い必要があるかどうかは分からないけど(笑)、参加できて楽しかったし、来年もまた参加できたらいいなと思っているよ」

 そして2018年のシリーズ発足以来カレンダーに組み込まれてきた名門サーキット、スパ・フランコルシャンで開催されたTCRヨーロッパ第2戦には26台のマシンが集結。先月ムジェロでの開幕戦で素晴らしいデビューを飾った選手権首位のアレックス・レイ(BRCレーシング/ヒョンデ・エラントラN TCR)と、シリーズ初優勝を目指しているフェリペ・フェルナンデス(オートクラブRC2ヴァレス/FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR)の対決に注目が集まった。

 そのフェルナンデスが記録した昨年の予選ラップレコードは、今季より創設されたシリーズの耐久カップ戦ですでにレイに破られており、今回の予選がひとつの試金石となるなか、ここで両者の明暗がクッキリと分かれることに。

 最初のQ1で赤旗の原因を作ったレイは両レースとも最後尾からのスタートとなり、2番手のマイク・ハルダー(ALMモータースポーツ/FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR)に0.5秒弱の差をつけたフェルナンデスがポールポジションを獲得。そのままスタートからフィニッシュまで25分+1周のレース1をコントロールしたスペイン出身のフェルナンデスが、ヴィクトル・アンダーソンとマルコ・ブティ(モンラウ・モータースポーツ/クプラ・レオンVZ TCR)らを従え、悠々の“ライト・トゥ・フラッグ”でシリーズ初優勝を飾った。

「ここは僕にとって最高のサーキットのひとつで、大好きだから初優勝には最高の場所だと思っていた」とフェルナンデス。「これまで一度もトップでフィニッシュしたことがなかったから、本当にうれしい。TCRヨーロッパでの初優勝を、ここスパで迎えることができて最高の気分だ」

 そのレース1と同様、気まぐれに雨量の変わる不安定な天候に翻弄されたレース2では、前戦のフライングスタートにより15秒のペナルティを受けていたルベン・ヴォルト(ALMモータースポーツ/FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR)が躍進。悪化するコンディションのなか猛烈な追い上げを見せ、ファイナルラップ目前でニコラス・テイラー(PMAモータースポーツ/アウディRS3 LMS2)を抜き去り、大逆転勝利を収めた。

「ウエットタイヤを履いたのが、かなり助かった。先頭集団はみんなグリッドでフルスリックを履いていて、途中でタイヤ交換することを決めた。僕もそうだった」と、この判断は正しかったことが証明されたヴォルト。

「でもスタートが最悪で、ターン1で他のマシンに囲まれてホイールを損傷してしまい、なんとか持ち堪えている状態だった。幸いセーフティカーが出たからピットインし、フルウエットタイヤに交換することにした。最初の4周は他のマシンより7秒近く速かったが、最後の2周でフロントタイヤが摩耗し始め、それ以上周回が進まなくてよかったと思っているよ」

 このヒートで4位に入ったドイツ出身のハルダーが5ポイント差をつけて首位を維持した2026年のTCRヨーロッパ。続く第3戦は6月6〜7日にフランスのポール・リカールで開催される。

[オートスポーツweb 2026年05月20日]

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