次世代ホラー界を担う監督5名『インビジブルハーフ』西山将貴監督、『NEW GROUP』下津優太監督ほか

0

2026年06月13日 17:40  cinemacafe.net

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

cinemacafe.net

『インビジブルハーフ』Ⓒ 2025 Test 8 Pictures All Rights Reserved.
西山将貴監督の長編映画デビュー作となる『インビジブルハーフ』が間もなく公開。そこで今回は昨今盛り上がりを見せるホラー映画というジャンルのなかでも、特に“いま”注目すべき監督たちをまとめてみた。

■ジャンルレスに活躍する西山将貴監督
思春期の痛みを巧みに描いたホラー映画『インビジブルハーフ』7月31日(金)公開

西山監督は14歳から地元・愛媛で自主制作を開始。高校在学中の初監督作品はショートショートフィルムフェスティバル&アジア2019に選出され、19歳で単身イギリスへ渡った。コロナ禍に制作した『スマホラー!』(21)はショートショート フィルムフェスティバル&アジア2021でバーティカルシアター部門最優秀賞を受賞し、第25回ロサンゼルス国際短編映画祭で縦型映像作品として史上初のノミネートも果たした。

また2026年には、東宝が若手クリエイターの才能育成を目的に仕掛けた挑戦的なコンテンツ制作レーベル「GEMSTONE Creative Label」から生まれたオムニバス映画「GEMNIBUS vol.2」で短編クリーチャーホラー『インフルエンサーゴースト』が公開され、チケットは完売が続出。

10万人を動員した体験型ホラー企画「1999展 ―存在しないあの日の記憶―」を作家の背筋、脚本家・ゲームデザイナーの佐藤直子らと共同企画するなど、ジャンルを超えて活躍している。

長編映画デビュー作となる本作は、西山監督が学生時代に抱えていた孤独や居場所のなさという「影」を物語の核として2019年から構想を開始し、完成まで6年をかけた力作。「青春の痛み」をホラーに落とし込み、ルッキズムや同調圧力の恐ろしさを監督独自の感性で見事に描ききった。

■日本ならではのホラーを作り続ける永江二朗監督
大人気ホラーゲームを実写化 映画『夜勤事件』公開中

Z世代を中心に絶大な人気を誇る日本のインディーゲーム制作チーム・Chilla's Art(チラズアート)が手掛けた人気ホラーゲームを映画化した本作。深夜のコンビニを舞台に、じわじわと迫る恐怖と不可解な現象の連鎖を描き、YouTubeでの実況動画は総再生数6,000万回を突破(※2025年8月28日現在)。ゲーム実況文化とともに社会現象的な広がりを見せた話題作。

その実写映画化を手掛けるのは、『真・鮫島事件』(20)、『リゾートバイト』(23)、『きさらぎ駅』シリーズなど数々の都市伝説系ホラーでスマッシュヒットを連発し、“現代ホラーの旗手”として確固たる評価を築く永江二朗監督。

ネットカルチャーから生まれた都市伝説、国産ホラーゲームの映画化など、日本ならではの題材を作品にする永江監督は「かつてJホラーの名作が巻き起こしたホラーブームをもう一度!」という思いでメガホンをとっているという。「あの頃のホラーブーム」が再来したいま、若者にとって身近な題材で映画を撮り続ける永江監督作品は視聴必須。「その都市伝説は知ってる」「このゲームのエンディングはコレでしょ?」そんな風に高をくくっている人ほど要注意。永江監督作品にネタバレの概念はナシ! 原題に触れていても伝わる“リアルな恐怖”を、ぜひ映像体験で。


■岩崎裕介監督と映画レーベル「NOTHING NEW」
「生きながら、死んでいる」『チルド』7月17日(金)公開

24時間灯り続けるコンビニ<エニーマート倉冨町7丁目店>。小さな社会で起きたわずかなゆがみをきっかけに、世界は終わりへと向かっていく。“無限”の空間「コンビニ」に飲み込まれる88分間のコンビニエンス・ホラー。

2026年ベルリン国際映画祭フォーラム部門に正式出品されると、上映は全回完売。国際映画批評家連盟(FIPRESCI)賞を受賞した。

本作の監督を務める岩崎裕介監督は国内最大級のCMの祭典・63rd ACC CREATIVITY AWARDSフィルム部門にて自身が監督を務めたCMがグランプリを受賞し、作家/演出家としてキャリアを積んできた新進気鋭の監督だ。会話劇を中心とした、静的で異物感のある演出が持ち味で、『チルド』が長編映画デビュー作となる。

そしてこの作品の製作・配給を手掛けるのが、映画レーベル「NOTHING NEW」。“才能が潰されない世の中”を目指して設立され、第1作『NN4444』は、10以上の国際映画祭に選出。2025年には、中編ホラー映画『〇〇式』(監督:近藤亮太)を劇場公開し、中編作品として異例のヒットを記録した。

初のオリジナルアニメーション作品『我々は宇宙人』は第79回カンヌ国際映画祭監督週間に正式出品された。また映画の領域を超えて企画展示(「視えてはいけない絵画展」(25)の共催、「Champ Chime Chocolate(チャンプチャイムチョコレート)」(26))も行うなど、まさにこれからのホラー映画界に新しい風を吹かせること間違いないだろう。

次々と若い才能が花開いていくいま、監督や俳優だけで作品を選ぶのではなく、レーベルの動向を追ってみるのも面白いかもしれない。


■独自の視点が光る…下津優太監督
「集団行動、ナイス恐怖です。」『NEW GROUP』6月12日(金)公開 

第1回日本ホラー映画大賞で大賞を受賞し『みなに幸あれ』(24)で商業映画監督デビューを果たした下津監督の待望の2作目。山田杏奈が主演を務め、青木柚が転校生を演じる点でも注目を集めている。

下津監督のオリジナルとなる『NEW GROUP』は、組体操という「集団行動」における人間の行動心理の根底を、コミカルにそしてシリアスに炙り出す。1作目の『みなに幸あれ』では「幸せの本質」を、そして本作では「集団行動が生む不条理」を作品に落とし込んだ下津監督は、その切り口の鋭さでは他の監督と一線を画す。

公開されている本予告映像では、日本人にとって馴染み深く、懐かしい思い出とされることも多い「組体操」がなぜか不気味な動きに見えて仕方がない。ルックスとしてのインパクトは1作目同様まさに下津ワールド全開で、校長役であるピエール瀧の怪演がさらにその世界観を引き立てる。

映像の最後、集団行動に取り込まれないよう抗っている愛は何を言いかけているのか? 監督が描いた「不条理」のかたちとは? 気になる要素が盛りだくさんの本作に期待が高まる。


■Jホラーの正統派継承者・近藤亮太監督
「かくれんぼしよう。」『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』(2025)Prime Videoほかにて配信中

日本で唯一のホラージャンルに絞った一般公募フィルムコンペティション「第2回ホラー映画大賞」(主催:KADOKAWA)にて大賞を受賞した、近藤亮太監督の同名短編映画を長編映画化した本作。

近藤監督は2024年にテレビ東京ドラマ「イシナガキクエを探しています」で演出を務め、その不穏かつリアルな表現はすでにホラーファンの間ではお墨付きだったこともあり、本作は情報解禁後すぐに話題になった。

そしてファンの期待通り『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』は大ヒット。「ビデオテープ、神隠しといったホラー映画の常套句を使いながらも、「いわゆるホラー映画のパターンだよね」とならないよう、「見えないけどいるぞと感じるリアリティーを追い求めた」という監督のこだわりが新次元の恐怖を生み出し、本作はJホラー映画の新たな金字塔となった。

彗星のごとくあらわれ、鮮烈なデビューを果たした近藤監督。昨今のホラーブーム、特に「Jホラーブーム」再来の火付け役になったといっても過言ではない、いま最も注目すべき監督の一人と言えるだろう。


『インビジブルハーフ』は7月31日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて順次公開。愛媛先行公開中。





(シネマカフェ編集部)

    ニュース設定