与党党首会談に臨む高市早苗首相(右)と日本維新の会の吉村洋文代表=3月17日、国会内 今国会会期末の7月17日まで1カ月余りとなり、「副首都」構想と衆院議員定数削減に関する法案の行方が焦点となってきた。共に日本維新の会の肝煎り案件だが、自民党には冷ややかな空気が漂い、野党の反対もあって成立が見通せない。維新は不満と焦りを募らせており、駆け引きが激しくなりそうだ。
維新の藤田文武共同代表と馬場伸幸前代表は12日、高市早苗首相(自民総裁)と首相官邸で1時間余り会談した。副首都と定数減の法案について会期内成立を期すことを確認したといい、藤田氏は記者団に「連立合意に書き込み、衆院選公約に掲げた大変重い有権者との約束だ」と強調した。
一方、自民の鈴木俊一幹事長と萩生田光一幹事長代行はこの3時間ほど前に首相と会い、両法案などの取り扱いを協議した。自民側は「副首都法案は現状のまま提出できない」「定数削減法案はせいぜい衆院通過まで」が相場観となっている。
副首都法案の原案は、本来は無関係の「大阪都」構想の住民投票実施区域を、従来の大阪市から府全域に拡大できる規定を付則に置いた。来春実施を目指す住民投票を有利に運びたい維新が主導した。大阪市廃止について市民以外は抵抗感が比較的薄いとみたためだが、自民から「ご都合主義」などと批判が相次いだ。
10日の自民部会に出席した新井誠広島大院教授(公法学)は、市解体の是非を問う投票に市民以外が参加するのは憲法92条に基づく「住民自治」の原則に反する恐れがあると指摘。反対論は勢いづき、現状で国会提出のめどすら立っていない。
維新は都構想への波及を懸念しており、幹部は「自民大阪府連が言い掛かりをつけているだけ」と吐き捨てる。自民の担当者は「真っ暗な中、出口があればいいなと歩いている」と言葉少なだ。
定数削減法案は自維の党内手続きが終わり、近く国会へ提出される。与野党協議会がまとまらなければ1年後に比例代表45議席を自動的に減らす内容。影響の大きい野党は一斉に反発し、国民民主党の榛葉賀津也幹事長は12日の記者会見で「数の力で押し切る問題ではない」とけん制した。
国会は提出順に法案を審議するのが原則。衆院政治改革特別委員会では企業・団体献金見直し法案が15日に審議入りする。与野党で検討中のSNS規制に関する公選法改正案を優先すべきだとの意見もあり、与党の対応次第で国会は緊迫する。
自民はもともと消極論が多く、維新に配慮して提出を決めたのが実態。連立合意に「成立を目指す」と書かれている点を踏まえ、「約束は果たした」と冷めた声が広がる。これに対して維新幹部は会期延長を口にし、「チキンレースだ」と語る。