※画像はイメージです 新幹線の指定席や自由席、飛行機のエコノミークラスで見かける3席並びのシート。通常は窓側と通路側の席から埋まり、真ん中の席に人が座るのは混雑している場合だ。
しかし、隣に面識のない初対面の人間に座られるのを嫌がる人は少なくない。お互い大人なので表情や態度に出すことはないが、困るのは自分の座席スペースから肘や足をはみ出して座る人。また、隣席との境界にある共用のひじ掛けを一方的に占領するケースだ。
それでも多くの場合、一方が我慢して事を荒立てることはない。そうした中、会社員の猪狩陽太さん(仮名・28歳)は、我慢できずに注意したことで思わぬトラブルに発展した経験を持つ。
◆注意すると母国語でまくし立てて逆ギレ
「10年以上前の高校時代の話ですが、好きなアーティストのライブを観るために1人で飛行機に乗ったんです。私は通路側の席でしたが、隣の30代くらいの外国人男性の肘がひじ掛けをはみ出し、ずっと私の脇腹に当たっていたんです」
これだけでも相当なストレスなのは理解できる。彼は脇腹に力を入れ、肘を押し返そうと何度も試みたが、しばらくすると再び肘が脇腹に当たっていたという。
「わざとだったら悪質ですし、無意識だったとしてもタチが悪すぎる。離陸前にそいつが触っていたスマホの画面が漢字ばっかりで中国か台湾あたりの奴なんだろうなとは思っていました。
こんなことを言うと炎上しそうですが、民度の低い奴だな、だから外国人は嫌なんだよ、心の中で文句を言いまくっていました(苦笑)」
でも、脇腹への肘タッチを一向にやめないアジア系外国人にイライラは募るばかり。そこで声をかえ、相手男性の肘を指差し、引っ込めるように注意する。
「英語も中国語も話せないから当然日本語です。言葉は通じなくても何を言っているのかは理解できたみたいです」
ところが、その外国人男性は唾が飛ぶくらいの勢いで母国語を激しくまくし立てる。もちろん、意味はさっぱりわからなかったが、注意されたことに逆ギレしていることは明らかだった。
◆飛行機を降りるときに後ろから押された
肘を引っ込めることもなかったため、猪狩さんも自分の肘でガード。すると、相手も力を入れて突いてきたので押し返すなど攻防が着陸まで続く。
ただし、外国人男性はもう目線すら合わせようとせず、言葉もまくし立てられてからはお互い一切交わしておらず、沈黙の中でバトルが行われていた。
「1時間弱の比較的短いフライトだったので助かりました。着陸してベルトサインが消えた後、すぐに立ち上がり荷物棚に入れていたリュックを出して通路に並びましたが、突然背中から押されて前の人にぶつかってしまいました」
前に並んでいた人にはその場で謝ったが、真後ろに立っていたのは例のアジア系外国人。無表情で知らんぷりを装っていたが、彼が押したのは明らかだった。
◆階段の途中で蹴りをお見舞い
当時の猪狩さんは血気盛んな高校生。不良ではなかったが、一方的にやられて黙っていられるほど人間ができているわけではなかった。
「このまま舐められっぱなしというのは絶対に許せなかった。もちろん、今となってはこんな風に考えているのは間違っていますが、そのくらいあの外国人にムカついていました。
飛行機からボーディングブリッジで空港ターミナルに入り、少し歩くとターンテーブルのある荷物受け取りフロアに降りる階段があることが分かって。乗客は全員そこを通って到着ロビーに向かうんです。
だから、わざと外国人の後ろを歩くようにして階段の途中でそいつの背中に蹴りを入れてやったんです」
すると、外国人がつんのめるような状態で階段下の通路の壁に激突。思い切り蹴ったわけでなかったこと、階段もすでに半分以上降りていた状態だったのでケガをするほどではなかったようだ。
◆今だったらやらないけど、後悔はしていない
なお、猪狩さんは荷物を預けておらず、そのまま小走りで到着ロビーへ。知人が車で迎えに来ていたため、すぐに駐車場へ移動し、そのまま足早に空港から立ち去ってしまった。
「冷静に考えると、自分のやったことは完全にアウト。そこに言い訳の余地はありません。けど、あの時は機内で嫌がらせをしてきた外国人をギャフンと言わしてやって達成感や高揚感があり、とても満足した気持ちになったのを覚えています。
まあ、反省はしていますし、今なら絶対あんなマネはしないですけど、やったことに後悔はしていません。むしろ、いい気味だと思っています(笑)」
当時、未成年であろうと仕返し行為は絶対に許されるものではない。ただし、それとは別に外国人が機内で取った行動もれっきとした迷惑行為。ここまでひどい態度を取る者は滅多にいないが、遭遇した際には自分で解決しようとせず、客室乗務員に相談するのがいいだろう。
<TEXT/トシタカマサ>
【トシタカマサ】
ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。