【緊急企画】アメリカ、台湾、韓国、ベトナム産米をガチ食べ比べ! 外国産米「推しのコメ」はこれだ!

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2025年06月21日 08:40  週プレNEWS

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小泉進次郎農林水産大臣は、備蓄米の放出の次に外国産米の緊急輸入を検討しているという。そこで、日本産米と比べて味はどうなのか? どこのコメがおいしいのか? 4ヵ国・地域のコメを食の専門家3人に食べ比べしてもらった。その結果、わかったこととは?

【写真】アメリカ産「カルローズ」、台湾産「むすびの郷」、韓国産「タンク ヘッサル」、ベトナム産「プレミアムジャポニカ」の4種類ほか

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■炊きたてと冷めたご飯、どんな違いがある?

5kg2000円ほどの安価な備蓄米は、販売開始後すぐに売り切れる店が続出している。そのため小泉進次郎農林水産大臣は、備蓄米が尽きたときには、コメの緊急輸入も検討しているという。

一方で、大手スーパーの「イオン」は、すでにアメリカ・カリフォルニア産のコメ(カルローズ)を4kg2894円で販売し始めている。

日本産のコメが安く手に入ればいいが、それが難しい場合は外国米を購入することもあるだろう。

では、スーパーやネットで手に入る外国米の味は、日本米と比べてどうなのか? アメリカ産の「カルローズ」、台湾産の「むすびの郷」、韓国産の「タンク ヘッサル」、ベトナム産の「プレミアムジャポニカ」(いずれもジャポニカ系米)の4種類を食べ比べてみた。

評価してくれるのは、ごはんソムリエの資格を持つお笑いコンビ「やさしいズ」の佐伯元輝氏、フードジャーナリストのはんつ遠藤氏、『うちで作るチャーハンがウマい!』(池田書店)などの著書がある炒飯管理栄養士の佐藤樹里氏の3人。忖度なしの「ご飯調査第三者委員会」だ。

なお、条件を平等にするために、コメは同じ炊飯器で同時に炊いた。また、味を比較する日本米は千葉県産のコシヒカリを使用している。

――では、まずアメリカ米「カルローズ」の炊きたての味はどうでしょうか?

佐伯 カルローズは短粒種ではなく中粒種なので、日本米に比べて粒が少し大きめですよね。それにコメから少し香りが感じられます。食べてみると弾力はありますが、粘りがあまり出ていません。

佐藤 私も日本のコメの甘い香りと違った雑穀米のような香りを感じました。

遠藤 僕はこの香りの広がりは好きですけど......。

――好みが分かれる香りのようですね。では冷めたらどうなるのか。事前に冷ましておいたものを食べてもらいます。

佐伯 う〜ん。弾力がなくなっている気がします。

佐藤 私も弾力が少ない気がします。それに噛んでも甘さが感じられません。

遠藤 そうですね。甘さが若干、少なくなっています。

――アメリカ米「カルローズ」は、冷めると甘さが少なくなるようです。次は台湾米「むすびの郷」の炊きたてです。

佐伯 うん。これは日本米に近い優しい香りです。味も甘みが強いです。ただ、粘りは少なめですが......。

佐藤 そうですね。食感は日本米とよく似ています。

遠藤 適度な粒感があって、食べやすいですね。

――炊きたては、かなり日本米に近い印象ですね。では、次は冷めたものです。

佐伯 冷めても甘いですね。それに硬すぎることもありません。

佐藤 冷めているので、少し硬さは感じますけど、噛めば甘みを感じます。

遠藤 僕も甘みがあると思います。それに、しっとり感もまだ残っています。

――これは日本米に近いと言ってもいいのではないでしょうか。そして、韓国米「タンク ヘッサル」の炊きたてです。

佐伯 日本米より優しい香りがします。ただ少し硬いかな。粘りは噛んでいると出てくる感じです。

佐藤 そうですね。日本米と比べると硬めです。

遠藤 僕は韓国米は日本米に比べて硬めだけど、ふっくら感があるような気がします。

――韓国米「タンク ヘッサル」は日本米より少し硬めなのでしょうか。では、冷めたものです。

佐伯 やはり、少し硬くなりますね。それに甘みも弱くなっています。

佐藤 硬くなりますね。でも、噛めば甘みが出てくる気がします。

遠藤 冷めるとしっとり感が弱くなっていますね。

――台湾米と比べると韓国米は甘さが少ないのでしょうか。最後はベトナム米「プレミアムジャポニカ」です。まずは炊きたてから。

佐伯 これはアメリカ米より香りが個性的で強いですね。硬さもあります。

佐藤 香辛料に近い香りですね。芯が残っているような硬さもあります。

遠藤 そうですね。香りはスパイス風味を感じます。粒もあまりふっくらしていません。

――かなり厳しいご意見です。では、冷めたものは?

佐伯 冷めても独特の香りが残っていますね。それに冷めたときのほうが硬さをより感じます。

佐藤 硬いですね。

遠藤 硬くてボソボソした食感です。

――忖度なしだと、ベトナム米は低評価かもしれません。

■お茶漬け、炒飯、牛丼にした場合は?

ご飯は、やはり炊きたてで食べたいものですが、時にはお茶漬けにしたり、炒飯にしたり、牛丼など具をのせて食べたりします。そんなときはどうなのか?

まずは、アメリカ米「カルローズ」のお茶漬けから食べてもらいましょう。

佐伯 粒が大きいので、サラサラ食べる感じではないかもしれません。

佐藤 時間の経過とともに水を吸って粒が大きくなっていきますね。

遠藤 米粒が汁に溶け出している感じが少しあります。

――粒の大きさが食べにくさにつながっているのでしょうか。では、炒飯にするとどうでしょう?

佐伯 粒が大きく、個人的には口当たりが悪いです。

佐藤 弾力感、もっちり感が少なめです。

遠藤 コメの主張が強すぎて、具材との一体感がないですね。

――そして、牛丼です。

佐伯 味の濃い具とは相性がいいですね!

佐藤 おいしいです。タレがご飯に絡む感じがいい。

遠藤 僕はまだ米粒の存在感を感じます。

――牛丼はおおむね高評価のようです。実は、大手牛丼チェーン店でもアメリカ産「カルローズ」を使っている店があるようなので、牛丼にするといいのかもしれません。

では、台湾産の「むすびの郷」をお茶漬けで食べるとどうでしょうか?

佐伯 これはサラサラと入っていきますね。

佐藤 日本米と似ていて、弾力がありつつ、サラサラしています。

遠藤 粒のしっかり感が残っていておいしいです。

――炒飯は?

佐伯 パラパラ感があり、粘りもありますね。

佐藤 日本米の炒飯にとても近いです。

遠藤 適度なふっくら感と甘みがあり、おいしい炒飯に仕上がっています。

――牛丼です。

佐伯 口の中で具と交ざる感じが少し弱いかもしれません。

佐藤 私はおいしいと思いますよ。

遠藤 違和感がなく、日本米との差もわかりません。

――次に韓国産の「タンク ヘッサル」のお茶漬けです。

佐伯 もちもち感が強いです。

佐藤 芯が若干残りますが、日本米と変わりません。

遠藤 なんというかダイナミックな味です。

――炒飯は?

佐伯 程よいパラパラ感。

佐藤 ちょっと硬めですが、おいしいです。

遠藤 ふっくら感も甘みもあり、おいしい炒飯です。

――台湾米と韓国米は、かなり似ているようです。最後はベトナム米です。まずはお茶漬けから。

佐伯 ほかの国のコメと比べて、粒が柔らかくなっています。おかゆとかによさそうです。

佐藤 独特な香りも硬さも和らいでいますね。

遠藤 柔らかさが出て、香りの違和感もなくなって、食べやすくなっています。

――炒飯です。

佐伯 おいしいです。炒める料理と合っている気がします。

佐藤 日本米独特のもちっと感は少ないけれど、歯応えがあっていいです。

遠藤 パラパラ系の炒飯が好きな人は好みだと思います。

――最後は牛丼です。

佐伯 個性的な風味がありますね。

佐藤 独特の香りが鼻から抜けます。

遠藤 東南アジア系の牛丼ですね。エスニックの新しい方向性を感じさせます。

――最後に皆さんにランキングをつけていただきましたが、佐伯さんと佐藤さんが1位台湾、2位韓国、3位アメリカ、4位ベトナムでした。遠藤さんは1位台湾、2位アメリカ、3位韓国、4位ベトナムです。2位と3位の評価が分かれていますが、その理由は?

遠藤 2位と3位は本当にギリギリの差です。僕はアメリカ米の香りが、それほど気にならなかった。一方で韓国米は甘さが少なかった感じがしたんです。その差ですね。ただ、4位のベトナム米もエスニック系の料理には一番合うはずなんです。今回は日本米を基準にした結果というだけです。

佐伯 そうですね。僕が韓国米を2位にしたのは、粒感や舌触りが慣れている日本米に近かったからです。だから、コメとして悪いとかではなく、日本の料理に合うか合わないかです。

佐藤 私も日本米に近いものを上位にしました。炒飯も日本米に慣れているから、油や卵のなじみ具合を日本米と比べて評価したんです。ですから、どんな料理や調理をするかによってランキングは変わってきます。

佐伯 今回は食べ比べをしたから、違いがわかりましたけど、単独で出てきたら違和感なく食べちゃいますよ。

遠藤 高い日本米を無理して買うんだったら、比較的手頃な価格の外国米も十分おいしく食べられると思います。

――ありがとうございました。

■外国米をおいしく食べる方法は?

今回はアメリカ、台湾、韓国、ベトナムのジャポニカ系米で食べ比べをしたが、世界でジャポニカ米はどれくらい作られているのだろうか。

九州大学名誉教授で『世界におけるジャポニカ米の流通、食味及び展望』(養賢堂)などの著書がある「i−DCR国際食料問題研究所」の伊東正一氏に聞いた。

――今、ジャポニカ米は、世界のどんな国や地域で作られているのでしょうか?

伊東 中国が断トツで、精米換算で年間4500万t程度生産されていると推定されます。ちなみに日本は年間700万t程度なので6倍以上ですね。

ほかにはアメリカ、オーストラリア、韓国、北朝鮮、台湾、インド、ベトナム。それから南米のブラジルやウルグアイ。ヨーロッパのイタリアやスペインなどでも作られています。

――それらの国から日本にジャポニカ米は入ってきていないのですか?

伊東 日本は1995年から、毎年一定量のコメを海外から関税なしで輸入することを決めました。これがミニマム・アクセス(MA)米で、現在の輸入枠は年間77万tほどあります。輸入国はアメリカ、タイ、中国、オーストラリアなどです。

このMA米の半分に当たる約36万tはアメリカから輸入しており、カルローズが主なので食べようと思えばおいしく食べられます。ですからMA米の一部(「SBS米」と呼ばれる年間上限10万t)は飲食店などで使われています。しかし、多くは味噌やせんべいなどの加工食品や家畜の餌などになっています。

――それは備蓄米とは別のコメということですよね?

伊東 そうです。備蓄米は日本国内で生産されたコメで、不作や緊急事態に備えて保管しているものです。

――なんでMA米を出さないのでしょうか。

伊東 それは農家などを守るために一部を除いて外国米を市場に出さないと国会決議しているからです。

――もし、備蓄米も品薄になったら、MA米の「カルローズ」を出してもいいですよね。

伊東 それは構いませんが、農家などは嫌がるでしょう。ちなみに韓国ではMA米を入札にかけ、国内で自由に販売しています。

――外国米を増やすことはできないんですか?

伊東 MA米は政府が輸入したもので関税がかかっていませんが、もし民間で輸入したら1kg当たり341円の関税がかかります。5kgだと関税だけで1700円です。それに原価と利益を加えても売れるのであれば、輸入・販売する企業は出てくるかもしれません。

――でも、外国米は日本米に比べて味が落ちるといわれていますよね。

伊東 繊細な舌を持った専門家が食べ比べをしたら違いがわかると思いますが、一般の人が普通に出されて「これは外国米だ。まずい」と感じる人は少ないのではないでしょうか。もし、アメリカで作ったコシヒカリやひとめぼれを出されたら、ちょっと判別がつかないでしょう。

――ちなみに、外国米をおいしく食べる方法はあるんでしょうか?

伊東 日本のコメの水分量はほぼ15%なんです。ところが、外国から来るコメは12%や13%です。これは少し乾燥させたほうがカビなどが出にくく長く持つためです。ですから、外国米を食べるときは少し水を多めにして炊くとおいしくなるはずです。

* * *

記者も外国米の食べ比べに一緒に参加したが、専門家の3人のように味の違いはよくわからなかった。どれもまあまあおいしかったのだ。安い備蓄米がなくなり、コメの高値が続くなら、安い外国米でもいいやと思ったが、それでは日本の農家の人に怒られるだろうか......。

取材・文/村上隆保 撮影/村上庄吾

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