男性ニーズも増加傾向、“豊胸手術”の現在地 社会変化に伴いエイジングケアの一環に

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2024年01月31日 08:10  ORICON NEWS

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社会変化に伴い“豊胸手術”がエイジングケアの一環に
 昔も今も整形手術の定番の1つである豊胸手術。胸の悩みはサイズだけでなく、形や色などさまざまだ。さらに男性の美意識が向上した昨今は、男性特有の胸のコンプレックスに応える美容外科クリニックも増えている。歴史が長く、技術革新も目覚ましい“胸の美容整形”は現代人の理想をどこまで叶えてくれるのか? 共立美容外科の木畑智哲さんに、時代と共に変わる豊胸手術のニーズと現在地について語ってもらった。

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◆近年は多少の違和感があってもボリューム重視 昔に比べ20代の需要も増加

──SNSの普及で整形に対して寛容になりつつある中、コンプレックスを解消する手段として受容されてきた美容整形。近年は低年齢化していると言われますが、豊胸手術についてはどうですか?

【木畑智哲さん】 今も昔もコアは30〜40代です。豊胸手術は美容医療でも比較的高額ですので、そこまでカジュアルにはなっていない実感があります。ただ近年は医療ローンなども使えますし、「若いうちこそ自己投資したい」という需要が高まっているためか、20代の患者さんも目立って増えています。

──時代によって豊胸の需要にはどのような変化がありますか?

【木畑智哲さん】 近年の傾向で言いますと、スタイルを良く見せたいという憧れが強いように感じます。ひと昔前は、パートナーからの心ない言葉でコンプレックスを抱く方もいたようですが、むしろ“自分軸”と言うのでしょうか。SNSの画像を見せて「こうなりたい」と明確なイメージを伝えてくださる方が増えました。そういう意味では、胸が小さすぎるコンプレックスから来院される方は、割合から言って少なくなったかもしれません。

──ある程度、胸のボリュームはあるけれど「より大きく」をご希望されるということですか?

【木畑智哲さん】 そうですね。近年は整形への抵抗感がやや薄れたためか、それに伴ってより大きめを希望される方が増えました。カウンセリングでご希望を伺った上で、こちらとしてベストだと判断した量(サイズ)などを提案するわけですが、直前になって「せっかくならもっと大きく」と言うパターンは多いです。

◆“Tシャツから透けて見える”男性ニーズが増える乳頭縮小術も…SNSの普及で美のイメージが固定化

──バストアップはどれくらい可能なのですか?

【木畑智哲さん】 確実にバストアップできる「シリコンバッグ」(乳腺などの下にシリコン製のバッグを挿入し、バストを大きくする治療)ですと、最高で1060ccのものがあります。個人的に一般の日本人女性であれば、250ccくらいが最もナチュラルで美しいバストを実現できると思うのですが、それはあくまで僕の価値観ですし、共立美容外科ではさまざまなご希望に沿ったバッグをご準備できますので、もちろん患者さんのご希望を優先します。近年は多少違和感があってもボリューム重視で、豊胸がバレても自分が満足していれば別に気にしないという方も多くいますね。


──胸の大きさや形だけでなく、乳輪や乳頭の色や形に悩む方もいます。こうしたニーズに美容医療は対応していますか?

【木畑智哲さん】 形については乳輪縮小、乳頭縮小といった施術があります。いずれも切除によって大きさや形を整えるもので、授乳機能を損なうことなく行う方法もあります。またこちらは男性からのニーズもわりとあり、共立美容外科では相談を受けています。特に夏場はTシャツから透けたり、くっきり目立ってしまうのが嫌だと、フラットでさわやかな乳頭を望まれる男性は多いですね。

──そのほか男性特有の胸の悩みにはどのようなものがありますか?

【木畑智哲さん】 ホルモンなどによって乳房や乳腺が大きくなる女性化乳房症をお持ちの男性もいます。こちらは原因によって保険適用になる場合とならない場合があります。

──色に関してはいかがですか? 「乳輪や乳頭の色が濃い人は経験豊富」という言説もありますが──。

【木畑智哲さん】 色素沈着の原因は妊娠や出産、摩擦などの刺激、体質などさまざまあります。摩擦は洋服を着脱するだけでも起きますし、おっしゃったことは都市伝説と言い切っていいでしょう。ただ色の改善については、レーザー治療や塗り薬による治療があるものの、正直言って効果は今ひとつというところです。

──一般にどのような形や色の乳輪や乳頭が理想とされるのでしょうか。

【木畑智哲さん】 あくまで好みはありますが、乳輪の直径は約3センチ、乳頭は直径1センチ、高さ5〜10ミリメートル、茶色などの暗めよりも明るいピンク色が“きれいな胸”とされています。今はSNSを始め情報が溢れているので、皆さん“きれいな胸”の見本のようなものを目にされていて、その分、美のイメージが固定化されているようにも思います。

◆晩婚化や離婚率の増加で…中高年のエイジングケアとしての豊胸術がトレンドの1つに

──「寄せて上げる」が主流だったブラジャーは、社会環境の変化の中、近年は「大きな胸を小さく見せるブラジャー」も支持を得ています。美容医療は「胸を小さくしたい」というニーズにも対応されているのでしょうか?

【木畑智哲さん】 乳房縮小術はありますが、こちらは胸を小さくするというよりは、むしろ加齢によって極端に下垂してしまった乳房を整えるために用いることが多いです。ただ傷跡も目立ちますし、よほど生活に支障がある方以外は個人的には勧めていません。授乳後に崩れてしまった乳房を戻したいというニーズも多いのですが、こちらはむしろ一般的な豊胸術(豊胸バッグ、脂肪豊胸、ヒアルロン酸注入)を行うことがほとんどです。

──ある程度、年齢を重ねてから豊胸を望まれる方もいるのでしょうか。

【木畑智哲さん】 先ほど20代が目立って増えていると言いましたが、一方で晩婚化や離婚率の増加も関係しているのでしょうか。50〜60代の方がパートナーを得たことをきっかけに豊胸に踏み切るケースも多いと聞きます。若々しくハリのあるバストのエイジングケアは、近年の美容医療のトレンドの1つになっていますね。

──豊胸を検討する方が留意しておくべきことはありますか?

【木畑智哲さん】 まず、すべての豊胸術で乳がん検診の要検査になる可能性はあります。また豊胸バッグは破損リスクからマンモグラフィーを拒否されることもあります。ただ豊胸バッグ、脂肪豊胸、ヒアルロン酸の3つは、技術も素材もある程度成熟していますが、どの施術もリスクをしっかりと把握し、理解した上で行うことをお勧めします。

 間違っても健康被害が続出しているジェル状充填材(アクアフィリング、アクアリフトなど)は避けてください。また、先ほどの3つの施術も、それぞれメリット・デメリットはありますので、その点も含めてカウンセリングできちんと説明してくれるクリニックを選んだほうが良いと思います。自分の大切な体を預けるのですから、ドクターのセンスやフィーリングも大切。カウンセリングは1件だけでなく、複数回ることをお勧めします。

(文/児玉澄子)

共立美容外科 木畑智哲(きばた とものり)さん
2008年、川崎医科大学医学部を卒業。同年、関西医科大学付属枚方病院に入職。2010年に同病院の外科に入局。2012年、大手美容外科に入職し、翌年に院長就任。2023年、共立美容外科に入職し、同年に広島院の院長に就任。

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