トヨタ同士の首位争いでまさかの失速。“水を得た”ロバンペラが最速連発/WRCフィンランド

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2024年08月04日 00:40  AUTOSPORT web

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2024年WRC第9戦ラリー・フィンランド ペースダウンにより後退したエルフィン・エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1)
 8月3日(土)、WRC世界ラリー選手権第9戦『ラリー・フィンランド』のデイ3が行われ、SS16終了時点でTOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム(TGR-WRT)のカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)が総合首位に立っている。日本人ラリードライバーの勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)は、総合46番手で大会3日目を終えた。

 土曜日時点での暫定ポイントをかけて争われるデイ3は、復活の『オウニンポウヤ』を含むスペシャルステージ(SS)11から16までの全6本。全ステージの総走行距離は144.22km、リエゾン(公道区間)も含めた総距離は580.14kmだ。

■デイ3もアクシデント続く。午前中で3台が後退

 この日は3本のループステージを走る行程で、各距離も比較的長めな構成だ。1本目の『ヴァスティラ』は、霧がかった空のもとで現地時間9時05分よりスタート。全長18.94kmのSS11へ、勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)から順にコースインしていく。

 前日までの雨は止んだものの、路面は全体的に湿り気を含んだコンディションの様子。油断大敵な状況だが、早くも第3走者のグレゴワール・ミュンスター(フォード・プーマ・ラリー1)がクラッシュしてしまう。

 ミドルコーナーにオーバースピードで進入したミュンスターの13号車は、そのままリヤのコントロールを失いコースアウト。公式映像でクルー両名の無事が確認されているが、マシンは中破してしまい、早々にデイリタイアとなった。


 ここではロバンペラを筆頭に、エルフィン・エバンス、セバスチャン・オジエ、サミ・パヤリ(ともにトヨタGRヤリス・ラリー1)がトップ4タイムを席巻した。

 続くSS12は全長20.19kmの『パイヤラ』で、ここでは局所的なにわか雨が降る様子も見られた。各車マシンコントロールに集中しながらのアタックとなるなか、総合2番手のエバンスがまさかのハーフスピン。

 無事にステージへ復帰してゴールを目指すが、以降は併発したマシントラブルからかペースダウンしてしまい、計1分28秒1の後退。大会3日目にして、チームメイト同士の優勝争いから脱落してしまった。

 一方、首位に立つロバンペラはここでも好調をキープし、連続のトップタイムを刻む。さらに総合2番手にはオジエ、3番手にはティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1)が浮上してきた。

 午前最後のSS13は、WRC史上最高のステージとの呼び声も高い伝説のステージ『オウニンポウヤ』。全長32.98kmのこのステージはジャンピングスポットとハイスピードコーナーがリズミカルに続く、珠玉のハイスピードグラベルと言える一本だ。

 なお、ここでは速度抑制を目的に『バーチャル・シケイン』が導入されており、指定の200m区間内で、時速60kmまで減速しなければならない。

 この日最長のSS13では、2番目出走のエサペッカ・ラッピ(ヒョンデi20 Nラリー1)がタイヤトラブルに見舞われるシーンも見られるなかで、地元TGR-WRT勢が躍動。

 ロバンペラがこの日3度目のステージウインをあげ、0.1秒差でオジエ、8.0秒差の3番手には勝田が続き、パヤリも4番手につけた。

■にわか雨襲来も、ロバンペラが加速

 迎えた午後のループステージでは、1本目の『ヴァスティラ2』からふたたびにわか雨に見舞われた。午前の走行で形成された轍も目立つ路面に、徐々に雨脚を増すにわか雨という複雑なコンディションとなったSS14。

 雨量が増していくなか、8番目出走のロバンペラは驚異のペースアップ。午前中に自身がマークしたベストタイムを上回る一番時計を刻んで見せた。

 続くSS15でも雨は続き、こちらも湿った轍が多い路面コンディションとなった。とあるドライバーのコメントでは、タイヤにダメージを与えかねない岩の存在も口にされていたが、各車は無事にコースを通過。

 ここでは、こちらも地元勢のエサペッカ・ラッピ(ヒョンデi20 Nラリー1)が、ロバンペラを0.5秒差で下すステージウインをあげた。

 残る一本は、午前中に各クルーから感嘆の声も上がっていた伝説のステージ『オウニンポウヤ2』だ。

 天候が次第に回復し、陽光の射すもとで行われたSS16では、ふたたびロバンペラがトップタイムをマーク。この日の6本のステージのうち、5本を制して見せた。

 これで土曜日時点での総合順位が決まり、首位のロバンペラには18ポイント、2番手のオジエには15ポイント、3番手のヌービルには13ポイント、さらに以下10番手まで暫定ポイントが付与された。選手権首位に立つヌービルにとっては、タイトルを争うオット・タナク(ヒョンデi20 Nラリー1)やエバンスに対して差を広げる得点になるが、暫定ポイントは『日曜日までの完走』が付与の条件となるため油断は禁物だろう。

 また、WRC2クラスでオリバー・ソルベルグ(シュコダ・ファビアRSラリー2)とヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタGRヤリス・ラリー2)が繰り広げているトップ争いは、午前には18.0秒まで差が縮まったものの、午後最後のSS16でラトバラがスピンを喫してしまい、リードは47.6秒差に広がってデイ3を終えた。

 総合優勝と、日曜最速をかけた“スーパーサンデー”の2部門が中心となって争われるデイ4は、SS17からSS20までの全4本が予定されている。全ステージの総走行距離は41.66km、リエゾン(公道区間)も含めた総距離は230.39kmだ。
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