もらう側もする側も気持ち良く。ドライバーたちに聞くサーキットでの上手なサインのもらい方

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2024年08月13日 18:50  AUTOSPORT web

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2024スーパーGT第4戦富士 この企画発案にご協力いただいた石浦宏明(TGR TEAM KeePer CERUMO)
 スーパーGTをはじめ、ファンの皆さんが国内モータースポーツに観戦に訪れる際に楽しみなものがドライバーたちとのふれ合い。サーキットやイベント会場で直接もらったサインは、大切な宝物になるはず。レーシングドライバーたちもどうしてもダメなタイミング以外は気さくにサインにも応えてくれるはずだ。とはいえ、ドライバーたちも気持ち良くサインをしたいはず。そこで、ぜひファンの皆さんも頭の片隅に入れておきたい「サインをするときにお互いが気持ち良くなる」小話をドライバーたちに聞いてみた。

 コース上でアツく戦うレーシングドライバーたち。特にプロとして戦うドライバーたちにとっては、ファンの皆さんとのふれ合いも大切な時間のひとつ。全員がサインをしたり、一緒に写真を撮ることでファンの皆さんに喜んでもらいたいと思っているが、ピットウォークやパドックなどで、どうしても困ってしまう瞬間もあるという。逆に、これはサインしやすい! と嬉しい瞬間もあるのだとか。

 そこで今回、全員ではないが(聞いたのは20名くらい。取材ご協力感謝!)多くのスーパーGT参戦ドライバーたちに、サインやファンサービスにまつわる意見を聞いた。ぜひファンの皆さんも参考にしてもらいつつ、お互いに気持ち良い時間作りに役立てていただければ幸いだ。

■布モノはキレイにサインをもらうコツあり
 サインするモノについて、やはり多くのドライバーたちが「書きやすい」と挙げていたのは、色紙やサイン帳といったサインのために作られた紙のもの。これは当たり前といえば当たり前だが、他にも最近はレースごとに作られる公式プログラム、またスーパーGT公式ガイドブック(弊社刊)等、ドライバーのページにサイン用のスペースが設けられていることも多く、こちらも書きやすいという意見が多かった。

 ただし、こんな意見も。

・ピットウォークでは色紙1枚に1名分が欲しいのか、監督やドライバーなど人数分を1枚に欲しいのか最初に書く人に伝えてもらえると嬉しい。最初に大きく書いて気まずくなることが(笑)。
・慌てて出したのか、割り箸の袋を出されたときはさすがにイヤでしたね(笑)。

 また最近は多種多様なグッズがモータースポーツ界でもリリースされており、そういったグッズへのサインを求められることも多いとか。

・フラッグに書くのはまだ下手です(あるルーキードライバー)。
・タオルは書きづらいですね。モコモコしているものは引っ張ってもうまく書けないです。
・タオルに書くと、一発でペンのインクがなくなっちゃう。

 等々、布モノはサインをする側からするとちょっぴり苦手意識があるよう。ただし、Tシャツ等タオル地でなければ多くのドライバーから「しっかり引っ張れば書きやすい」と教えてくれた。

 今回、この企画発案にご協力いただいたTGR TEAM KeePer CERUMOの石浦宏明によれば「たまに、書きやすいようにボードに挟んでTシャツを持ってきてくれる方もいらっしゃいますが、逆に書きづらくなってしまいます」だそう。布モノは『空中に浮かせて四隅をしっかり引っ張る』がキレイにサインをもらうコツだ。

 R&D SPORTの井口卓人と山内英輝からは「僕たちは連携とれてるんで、布モノは片方がすぐ引っ張ります」という嬉しい声もあった。

 ただしTシャツやキャップ、タオルなどドライバーたちからは「汗でビチョビチョになった帽子とかにサインするのはやっぱり書きにくいので、気を遣って欲しいところはあります」という声も。サインして欲しいものは夏の時季はまずは身につけない……のが大事かも。

■スマホは要注意!
 布のような柔らかいものはさておき、固いものは基本的に書きやすいよう。「色紙やミニカーなど、ベースが固いものは書きやすい」という声があった。ミニカーのケースにサインをもらう方は多いと思うが、「ケースの上側に書くか、正面に書くかは一瞬悩みます。言っていただいた方がいいかもしれません」という声もあった。またミニカーは価格も高いので、後述するがペンも重要になる。

 また、固いものでご注意いただきたいのがスマートフォンの背面。身近なものに書いて欲しい……という気持ちは分かるのだが、特に背面がガラスでできているiPhoneなどは、インクを「弾いてしまいます」という。「『書けない』と伝えると不満に思われる方もいらっしゃいますが……」とドライバーも困ってしまうそう。防汚コーティングなどがしてあると特にNG。ただし、スマホケースなどは書ける場合もある。

 ちなみに、残念ながら2024年末の解散が発表されてしまったが、バンド『doa』のボーカルとして活躍する吉本大樹に、音楽活動でのサインについても聞いてみると「音楽の方ではあまりサインをする機会がないんですけどね。書きづらかったのは、グッズで作ったメガネケース、それからアクリルスタンド。それとラバーバンドはキツかったですね(笑)」とのことだった。あまり小さいグッズはサインもしづらいということだ。その際は細めのペンがあると良いかも。

「お財布や携帯に書くのはちょっと気が引けちゃいます。そういうものに書いて欲しいということは、それだけ重みがあるということだと思うので嬉しいんですが、色紙に書くのとは気持ちが違いますね。だから逆にていねいに書いて欲しかったら、高価なものの方が良いのかも(笑)」というのはTGR TEAM au TOM'Sの坪井翔。高価なものにサインが欲しい時は、比較的ゆっくり時間がとれる時の方が良いかも。

■マイペンの持ち込みは一度試し書きを
 そしてサインをしてもらうときに重要となるのがペン。基本的に、ピットウォーク時などはチームが黒、金、銀のサインペンを用意していてくれることがほとんどだが、自分でマイペンを持っていってサインしてもらう方もいらっしゃるだろう。

 先ほどミニカーについても触れたが、「緊張します。ミニカーは絶対高いよな……と思うので、サインがカスれちゃったらどうしようと思いますよね。でもそういうときに、ベテランのファンの方だと思うんですが、ものすごく調子が良いマイペンを持参してくれる方がいらっしゃるんです」というのは石浦。そういった調子が良いペンがあれば、サインも捗る。

 ただ、マイペンも注意が必要で「『今日買いました』というペンを持ってきてくださる方もいるんですが、ペンは事前に一度試し書きしていただきたいですね。トントンするところがないので」という。新しいペンは軸先にインクが沁みておらず、サインを入れるものでインクを出すわけにもいかない。一度何かに書いてインクを出してからもってくるのがベストだそう。

 また先述のように布モノに書くとき、特にタオルなどはやはりインクの消耗を早めてしまう。こういうときはマイペンを持ち込むとチームにも優しいのかもしれない。

■こんなタイミングはちょっと……
 ここまでサインに関するネタをお届けしてきたが、ドライバーの立場からファンサービス時に「イヤだったこと」もお届けしておくので、こちらはぜひ反面教師に。

●相方の熱心なファン編
・ピットウォークのときとか、99%の方がふたり分もらってくれるんですが、逆にひとりの熱狂的なファンの方が、僕からもらわないことでファンとしての熱さをアピールする方もいらっしゃいます。でもマナーとしてふたり分もらって欲しいなあ……とは思います。
・相方のファンの方で、気持ちは分かりますけどサインする際に『せっかくなので……』とは言わないでいただけると(笑)。

●タイミングに気をつけていただければ編
・トイレに行くときとかでイヤなタイミングはありますね。
・走行が始まるギリギリのタイミングはご容赦いただければ。それとグリッドウォークのときは集中していることが多いです。写真くらいは大丈夫な時がありますが。

●人違いはご容赦を編
・最近はないけど、よく昔組んでたチームメイトと間違われて、その人のミニカーを持ってこられた。組んでるときのならいいけど、違うクルマのときは書いちゃうと申し訳ないから、それは正直に言いましたね。
・この間サインを渡した後に似た名前のドライバーの名で呼ばれ『頑張ってください』と言われたときはどうしようかな? と思いました。

●その他
・ぜんぜん関係が無いチームのグッズにサインするのは大丈夫かな……と思います。

 ドライバーは走行前にトイレに行くことが多いが、このタイミングをはじめ、集中力を高めているときのファンサービスは基本はNGと考えていただいた方が良い。我々メディアも走行前のある程度の時間からは取材を行わないのが基本マナーだ。

 レーシングドライバーも人。そして勝利を目指して戦うのがレースウイーク中の仕事だ。もちろんファンサービスには全力で臨んでくれるが、その際に応援の気持ちがしっかり届くように、そしてお互いの心が気持ち良いまま応援できるように、この記事がちょっとした参考になれば幸いだ。
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