数か月一緒に仕事をしてみてわかったことは、アサヒくんは妙にプライドが高く、仕事ができないということでした。こちらの指示や会社のシステムに文句を言ったり、メモをとらずに些細な間違いを繰り返したり……あげはじめたらキリがありません。しかしアサヒくん自身は自分のことを「仕事ができる」と思っているのだから驚きです。
同僚から、部署に入った期待の新人の話を聞くと、どうしてもアサヒくんと比べてしまって羨ましくなります。でもはじめはみんな新人。アサヒくんの生意気さに辟易しながらも、私はできる限り言葉を選んだり、やり方を変えたり……あの手この手でアサヒくんに教え続けました。
私が教育係を任されたアサヒくんは、なんというか「“イマドキの子”ってこういう子のことを言うのかな」と思わせるようなタイプです。
アドバイスをしても素直に受け取らない。「自分なりのやり方がある」と言うけれど、入社してすぐの自分なりのやり方ってなんなのでしょう。一番悪いところは、ぜったいに自分のせいだと思わないところです。仕事ができないのは教え方のせい、出世できないのは教育係のせい……。
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【中編】へ続く。
原案・編集部 脚本・物江窓香 作画・〆川ズン子 編集・みやび