楽天モバイルのコミュニケーションアプリといえば「Rakuten Link」だ。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの「+メッセージ」と同じように、SMS/MMSの進化形といえるRCS(リッチコミュニケーションサービス)を用いたサービスで、国内通話がかけ放題となり、テキストメッセージ、画像、ファイル、動画、ボイスメッセージが何度でも無料で送受信できるのが大きな特徴だ。
【訂正:2024年12月6日13時50分 初出時、「Rakuten Linkユーザー同士なら、国内通話がかけ放題」としていましたが、Rakuten Linkユーザー以外でも国内通話は無料です。おわびして訂正いたします。】
そんなRakuten Linkの大きなアップデートとして、楽天モバイルが10月31日に発表したのが対話型AIアシスタント「Rakuten Link AI」の実装だ。これにより、Rakuten Linkユーザーはアプリで悩み相談をしたり、アイデアのサポートを受けたりできるようになった。
当初は電話、1対1のチャット、グループチャットを利用できるシンプルなツールだったRakuten Link。2020年6月にはAndroid向けアプリに「ニュース」と「ウォレット」機能が加わり、7月にはiOS向けアプリが登場し、Android向けアプリでビデオ通話が可能になった。2022年7月にはキャリアメールの「楽メール」が利用可能になった。
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その後もアップデートを重ねるごとにRakuten Linkで利用できる機能が充実していくかたわらで、提供開始当初よりも複雑化してきた印象を受けなくもない。この記事ではRakuten LinkのAndroid向けアプリの使い勝手を検証するとともに、Rakuten Link AIを利用した雑感をお伝えしたい。
●楽天ポイントのバーコードをすぐに出せる反面、「電話をかけづらくなった」点は否めず
まずはアプリの使い勝手から見ていく。ディスプレイの下部には左から順にメッセージ、通話、ホーム、楽メール、ウォレットのタブが並ぶ。各アイコンは各機能に素早くアクセスするためにある。
メッセージのタブは、SMSの送受信を行う他、やりとりの流れを把握できる。通話のタブでは、通話履歴、お気に入り、連絡先などを確認できる。ホームのタブでは、後述するRakuten Link AIにアクセスしたり、ニュースを確認したりできる。楽メールのタブでは、一般的なフリーメールのGmailなどと同じように、上から順に新しい内容が並び、縦にスクロールすれば古いものを確認できる。ウォレットのタブでは、「楽天ペイ」のバーコード、QRコード、楽天キャッシュ、楽天ポイントカードなどを表示できる。
これらの機能のうち、最も使いやすいと感じるのは、楽天ポイントカードをすぐに表示できる点。ウォレット→「楽天ポイントカード」の欄の「楽天ポイントカードを表示する」をタップすれば、ポイント用のバーコードを表示できる。Rakuten Linkと楽天ポイントのアプリをそれぞれインストールせずに済み、店頭での買い物の際にRakuten Linkだけでポイントを付与してもらえる。
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ポイント用のバーコードを表示するまでの行程としてはアプリを起動し、ウォレットをタップして、「楽天ポイントカードを表示する」をタップするという3段階がある。もちろん、バーコードをすぐに呼び出せた方が便利ではあるが、アプリを別個に入れる必要がないのはいい。
一方、何の機能がどこにあるのかが時々分からなくなる。やはり、これだけ多くの機能が1つのアプリに集約していると、いざ各機能を呼び出すときに戸惑う。慣れもあるだろうが、初心者にやさしいUIにしてほしい。
広告も気になる。ホームタブを開くと広告が大きく表示され、本来、ホームタブで何ができるのかが想起しづらい。メッセージタブにもときおり大きな広告が表示され、メッセージをすぐに送受信しづらい。通話タブの通話履歴の上も細い幅で横長の広告が表示されるが、それでも広告があることに変わりない。これらの広告を時々間違えてタップしてしまうことがある。広告主からすれば広告をタップさせることこそが狙いとはいえ、ユーザー体験を損なっているのも事実だ。
そして、最も困ったのは電話をかけづらくなった点だ。かつてRakuten Linkは起動後、電話に関する項目が最初に出てきていたが、アップデートに連れて前述した楽天グループの広告やニュースがホームに表示されるようになり、起動してすぐに電話をかけづらくなってしまった。これだと、せっかくの「通話無料」というメリットを実感しづらくなってしまう。
●Rakuten Link AIは日々の生活に役立つ? 楽天グループとの連携はこれから
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続いて、新機能のRakuten Link AIについても見ていこう。実際に数日間使ってみた結果、予想以上にこれ1つで知りたいことがよく理解できることが分かった。ちなみに、やりとりのベースはテキストで、質問に画像や動画を用いることはできない。例えば、画像を指定して、「何の画像か?」という質問に対する回答は得られない。
まず、楽天モバイルのメリットとデメリットを聞いてみたところ、Rakuten Link AIが箇条書きでメリットを4つ挙げた。ほとんどが分かりやすく簡潔にまとまっているが、月額料金が税込み3278円ではなく税別の2980円表記になっていたことと、「相手がRakuten Linkユーザーでなくても、固定電話への通話もかけ放題」との記述が気になった。厳密には、Rakuten Link未使用時、国内通話は30秒22円となり、0570などから始まる他社接続サービス、一部特番188への通話は無料とならない。
―― 楽天モバイルを契約するメリットは?
Rakuten Link AI 楽天モバイルを契約するメリットはいくつかあります。
1.料金プランのシンプルさ:楽天モバイルは基本料金が無料で、使ったデータ量に応じて3段階の料金設定があり、20GB以上使っても通信速度の制限なしに無制限に利用できます。月額2,980円(税抜)で利用できるため、コストパフォーマンスが非常に良いです。
2. 通話料が無料:専用アプリ「Rakuten Link」を使用することで、国内通話が無料になります。相手がRakuten Linkを使っていなくても、固定電話への通話もかけ放題です(一部対象外あり)。
3. 楽天経済圏の特典:楽天モバイル契約者は、楽天市場や楽天トラベルなどでの買い物がさらにお得になります。楽天ポイントの還元率がアップするため、普段から楽天を利用している人には大きなメリットです。
4. 広範な通信エリア:楽天モバイルの自社回線は全国の人口カバー率が約99.9%で、都市部では安定した通信が可能です。地方ではパートナー回線(auやdocomoの回線)に接続されることもありますが、基本的に広いエリアで利用できます。
これらのメリットにより、楽天モバイルは多くのユーザーにとって魅力的な選択肢となっています。
反対に、デメリットを聞いたところ、Rakuten Link AIはデメリットを5つ挙げた。通信速度が時間帯や通信環境によって異なる点や、サービスエリアが限られている点、キャンペーンなどによっては条件が複雑である点、端末によっては動作しない点は問題ないが、契約後に受けられるサポートが限られる点はもう少し補足がほしい。楽天モバイルは全く店舗を持たない通信事業者ではないし、オンライン専用サービスでもないからだ。
―― 楽天モバイルを契約した場合に生じるデメリットは?
Rakuten Link AI 楽天モバイルを契約した場合のデメリットには以下のような点があります。
1. 通信速度の変動:楽天モバイルの自社回線は、特に混雑する時間帯や地域によって通信速度が低下することがあります。特に地方では、パートナー回線に切り替わることがあり、その際に速度が遅くなる場合があります。
2. サービスエリアの制限:自社回線のエリアは拡大していますが、まだ一部の地域ではカバーされていない場合があります。特に山間部や離島などでは、通信が不安定になることがあります。
3. サポート体制:楽天モバイルはオンライン中心のサービスであるため、対面でのサポートが限られています。店舗でのサポートを希望するユーザーには不便に感じることがあります。
4. 契約条件の理解:楽天モバイルの料金プランはシンプルですが、特典やキャンペーンの内容が複雑な場合があり、契約前にしっかりと確認する必要があります。特に、解約時の条件や手数料については注意が必要です。
5. 端末の互換性:楽天モバイルは自社回線を使用しているため、全端末が対応しているわけではありません。特に、SIMロック解除が必要な端末や、特定の周波数帯に対応していない端末では利用できないことがあります。
これらのデメリットを考慮し、自分の利用スタイルに合った選択をすることが重要です。
今度はお題を変えて、日々の生活にちなんだ内容にした。例えば、スーパーマーケットでの買い物で、買い物のかごに品物をたくさん入れると、合計いくらなのかがレジに通すまでに分からない場面がある。そんなときにも、Rakuten Link AIは役立つ。事前にRakuten Link AIで買い物リストを作成し、金額を入力した後、合計いくらか聞くと、正確に計算してくれる。スマートフォンで買い物リストを作成したメモアプリと電卓アプリの両方を開いたり切り替えたりせずに済む。
―― トマト1個で100円、きゅうり1本で48円、豆腐186円、牛肉436円、豚バラ肉375円。合計いくら?
Rakuten Link AI 各商品の価格を合計すると、以下のようになります:
- トマト:100円
- きゅうり:48円
- 豆腐:186円
- 牛肉:436円
- 豚バラ肉:375円
合計金額は次の通りです:100 + 48 + 186 + 436 + 375 = 1145円
したがって、合計は1145円です。
旅行には活用できるのかも確かめた。目的地をRakuten Link AIに伝えて、おすすめのプランはあるのかを聞くと、日数は提示していないものの、1日目から4日目までのプランを作成してくれた。あくまでも案にすぎないが、旅行ガイドブックはもういらないかもしれない、と思える出来だった。
―― 今月、旅行目的で鹿児島へ行く。おすすめの旅行プランはある?
Rakuten Link AI 鹿児島への旅行プランとして、以下のおすすめの行程を提案します。
1日目:鹿児島市内観光
- 鹿児島中央駅到着:鹿児島市の中心地に位置する鹿児島中央駅に到着。
- 城山展望台:鹿児島市内と桜島の美しい景色を楽しむために、城山展望台を訪れましょう。
- 天文館:地元のグルメを楽しむために天文館エリアを散策。黒豚のしゃぶしゃぶや、さつま揚げなどの名物料理を味わえます。
- 鹿児島市立美術館:地元のアートや文化に触れるために、美術館を訪れるのも良いでしょう。
2日目: 桜島と温泉
- 桜島フェリー:鹿児島港から桜島へフェリーで渡ります。フェリーからの景色も楽しめます。
- 桜島観光:桜島の火山活動を見学したり、展望台からの景色を楽しんだりします。桜島ビジターセンターもおすすめです。
- 温泉:桜島観光の後は、近くの温泉(例えば、指宿温泉や桜島温泉)でリラックスしましょう。
3日目:自然と歴史を楽しむ
- 霧島温泉郷:霧島エリアに移動し、霧島温泉郷で温泉を楽しむ。周辺には美しい自然が広がっています。
- 霧島神宮:歴史的な神社を訪れ、自然の中での散策を楽しみます。
- 霧島連山ハイキング:時間があれば、霧島連山のハイキングコースを楽しむのも良いでしょう。
4日目:地元の文化体験
- 鹿児島黒酢工場見学:地元の特産品である黒酢の工場を見学し、試飲体験を楽しむ。
- さつまいもスイーツ:鹿児島名物のさつまいもを使ったスイーツを楽しむために、地元のカフェを訪れましょう。
- お土産購入:最後に、鹿児島の特産品やお土産を購入して帰路につきます。
このプランを参考に、鹿児島の魅力を存分に楽しんでください!
一方、旅行便の検索や提案まではRakuten Link AIは担ってくれないようだ。
―― 鹿児島へ行く航空便を楽天トラベルで探して
Rakuten Link AI 鹿児島への航空便を楽天トラベルで探すには、以下の手順を参考にしてください:
1. 楽天トラベルのウェブサイトにアクセス: [楽天トラベル](https://travel.rakuten.co.jp/)にアクセスします。
2. フライト検索:トップページの「航空券」タブを選択し、出発地と目的地(鹿児島)を入力します。
3. 日程の選択:旅行の日程を選択し、必要に応じて往復か片道を選択します。
4. 検索ボタンをクリック:「検索」ボタンをクリックして、利用可能なフライトを表示させます。
5. フライトの比較:検索結果から、航空会社や料金、出発時間などを比較し、自分に合ったフライトを選びます。
6. 予約手続き:希望のフライトが見つかったら、予約手続きを進めてください。
具体的な料金やフライトの空き状況は、楽天トラベルのサイトで直接確認することができます。早めに予約することで、よりお得な料金を見つけることができるかもしれません。
●Rakuten Linkアプリの方向性 「パーソナルコンシェルジュ」としての役割も果たすように
楽天モバイルは10月31日に開催したRakuten Link AIの発表会で、楽天グループが持つサービスや楽天モバイル、Rakuten Linkでよくある質問から得られた独自のデータベースを活用し、楽天グループならではの情報を提供していくと明らかにしていた。
例えば、楽天市場での買い物を支援する、楽天トラベルでカスタマイズされた旅の提案や予約の支援をする、より詳しい情報を得るために楽天ブックスでおすすめの本を提案する――といったことが可能になる予定だ。
楽天モバイル広報は「楽天グループの他サービスとの連携を深めることにより、将来的にRakuten Link AIにおいて、パーソナルコンシェルジュの機能を提供できるよう、現在も検討を進めている」としている。
Rakuten Linkを軸に、通話やメッセージだけでなく、楽天グループのあらゆるサービスへアクセスさせ、使ってもらいたいようだ。実際、Rakuten Linkの公式サイトには「無料通話&メッセージ・お支払い・楽天ポイント獲得などができるスーパーコミュニケーションアプリ」とあり、楽天グループのサービスを統合的に体験できるアプリへと進化するだろう。それだけに、基本機能のコミュニケーションをより快適に利用できるよう、UIのアップデートも期待したいところだ。
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