JR東日本が発表した「タッチレス乗車」。その狙いは単なる“スムーズな乗車”ではないようです。
多様化する自動改札 熊本では全国初“Suica廃止”も良原安美キャスター:
電車を利用する際に使う自動改札は今、決済方法が多様化しています。
世田谷線を除く東急電鉄の場合、1つの改札にSuicaやPASMOなどの、▼ICカードをかざす部分に加え、▼紙の切符を入れるところ、▼事前購入によるQRコードをかざすところ、そして、▼タッチ決済対応のクレジットカードなどをかざすところなど、本当にいろんな決済方法に対応しています。
一方、熊本では11月16日から県内の路線バスと鉄道5社でSuicaなどの全国交通系ICカードの利用を廃止しました。これは全国で初めてのことです。
廃止の理由は、現在厳しい経営状況にある中で、2025年に決済機器の更新が迫っており、その費用が高いためだということです。
バス・熊本電鉄は現在利用可能な現金やローカルICカードに加え、2025年3月にはクレジットカード決済の導入を予定しています。クレジットカード決済の導入の方が決済機器の更新より安く済むそうです。
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良原キャスター:
JR東日本が12月10日に発表したのが、Suicaの“そのサキ”です。
現在は改札にSuicaをタッチをして入る仕組みですが、2034年までに“タッチなし”で改札通過が可能になる“ウォークスルー改札”を実施していくということです。
ベビーカーを持っていても、両手に荷物を持っていて手がふさがっていても、“タッチなし”で改札通過が可能になります。
どのように実現していくのかというと、JR東日本は位置情報などを利用する方針だとしています。
ITジャーナリスト三上洋氏は、「GPSの場合、屋外でも2〜3メートルの誤差が出る。多くの改札がある屋内では誤差がもっと大きくなる」と話します。
三上氏は実現するために、スマートフォンのBluetoothなどの高速無線通信などを利用するのではないかと分析。「GPSに加え、スマホの近距離無線などの複数の技術を活用していくのではないか」ということです。
井上貴博キャスター:
もう少し早い時期にこういう世界になるのかと思っていました。現状、Suicaの利用上限は2万円なので、クレジットカードの方が楽だと思います。JR各社と、どこまで、どのスピードで連携していくのかも気になります。
ホラン千秋キャスター:
「ETCカードができるならもっと早くできてもいい」というような話もしていました。もちろんシステムは違うと思いますが、技術的に可能だとすると、スマホやSuicaを探す手間が無くなるのは良いですね。
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井上キャスター:
券売機の初期投資のコストもゼロになりますし、その場所にお店も出店できますよね。
良原キャスター:
移動・決済以外にもSuicaのデータを活用するとJR東日本は発表しています。
Suicaによる改札入出場の情報から、例えばタクシーの手配ができて、駅にタクシーが待機していたり、湯沸かしが手配されて家に着いたらお湯が沸いていたりする機能も広げていきたいということです。
また、購入した食材で健康状態に合わせた食事の提案など、ライフスタイルを網羅してくれるようになるかもしれません。
この狙いについて、元新幹線運転士でNスタプロデューサーの福岡大司氏は、「今後、人口減少が続き、鉄道利用者の伸びが期待できない中、『移動の先』にあるサービスもビジネスとして取り込もうとしている。移動の先には必ず『帰宅』『観光』『買い物』などがあり、Suicaを使って『生活』全体を支援していく方向性なのではないか」ということでした。
井上キャスター:
既に銀行事業もやっていますので、街づくりをどうしていくかということになりそうです。「どの企業がつくる街に住みたいか」という選択を迫られるようなるかもしれませんね。
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