皮膚科医の紫外線対策は“日焼け止め”不要「パウダーファンデ」で1日効果持続のワケ

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2025年05月17日 09:10  週刊女性PRIME

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※写真はイメージです

皮膚科医として長年、患者さんと接する中で、近年は紫外線対策への意識が高まっていることを感じます。多くの方が選択する紫外線対策のひとつに日焼け止めを塗ることが挙げられますが、実は圧倒的にその量が足りていないんです

 そう警鐘を鳴らすのは、よしき銀座クリニック院長の吉木伸子先生。

日焼け止めは量と塗り直しが大切

 時季として5月〜9月に紫外線量が多いことはイメージがしやすいが、温暖化の影響で、そもそもの紫外線量が年々増加している。

紫外線対策は1年中というのがもはや一般常識ともなりましたが、夏場は特に日焼け止めの適正量を意識して守りましょう。乳液や液状タイプの日焼け止めは顔に対して500円玉大、クリームタイプの場合は真珠粒2つ分程度の量が適量です。適量を塗ることで初めてSPFの表示どおりの効果が出ます

 SPFとは「Sun Protection Factor」の略で、示された数値は、日焼けの原因となるUV-B(紫外線B波)をカットする時間を表しているもの。数字横の「+」マークは、しわやたるみの原因となるUV-A(紫外線A波)を防ぐ効果を表している。

数値によって差異はあれど、日焼け止めが紫外線を防御する力は塗って1時間が過ぎるころから下がり始め、2時間持たないことが多いのです。ですから、日焼け止めは2時間おきに適正量を塗り直すことが大切で、使用方法にも表示されています

 とはいうものの、毎日、2時間おきに塗り直すのは大変……。吉木先生が、日焼け止めを塗らない紫外線対策の秘策を教えてくれた。

実は、ほぼすべてのパウダーファンデーションには日焼け止めの成分である“酸化チタン”“酸化亜鉛”が入っており、UV効果があります。ムラなくしっかり塗れば1日効果が持続しますし、日焼け止めを何度も塗るよりも肌への負担も少なく済みます。私は真夏の海に行くときも、日焼け対策はパウダーファンデーションのみですが、日焼けしません」

 リキッドタイプでも、ある程度は紫外線をカットするが、日焼け止めと同様、時間の経過とともに効果が下がる傾向にあるとのこと。

肌が乾燥しているとよりシミができやすい

 日焼けによって生じる悩みのひとつがシミ。実は、肌が乾燥しているとシミはできやすくなる。老化とともに肌は乾燥しやすくなるが、これが、年々紫外線を吸収しやすくする原因だ。

乾燥した肌は、角質層に隙間ができ、ウイルスや菌などの外部の刺激から肌を守る“バリア機能”が正常に働かなくなります。紫外線に対しても同じことが起こり、シミのもととなるメラニンが増えてしまうのです

 日常のスキンケアの中で、肌乾燥の大きな要因になっていると吉木先生が指摘するのがクレンジング。

例えば、メイク落としと洗顔が一度で済むタイプのものがありますが、油性と水性の汚れを同時に洗い落とすため、洗浄力が強い傾向があります。すると肌の潤いも奪われてしまい、その後、保湿剤でケアしたとしても乾燥しやすくなってしまいます

 肌に余計な負担をかけないためにも、ダブル洗顔で優しい洗い上がりを心がけて。さらに、クレンジングの質感選びと、落とし方が重要。

オイルやリキッドのようにサラッとしたテクスチャーのものを使うと、肌をこすって摩擦が起き、乾燥やシミの原因となってしまうことも。ですから、テクスチャーに厚みのあるジェルやクリームタイプのものがおすすめです。

 クレンジング剤をたっぷりと手に取り洗いましょう。その後、洗顔石けんを手と顔の間にクッションができる程度に泡立てて、優しく洗ってください」

 日焼けによるダメージを防いで若々しい肌を保つには身体の内側からの健康も大切。

例えば、アスリートの方というのは強い日差しの下で長時間過ごしているにもかかわらず、シミが少ない方が多いんです。これは、食事や睡眠、ストレスなどをきちんと管理し、心身共に健康であるからだと考えられます

 吉木先生いわく、日焼けを予防するあまり、まったく日に当たらないのもよくない。

「骨の強化、免疫力向上など、心身の健康を維持するために必要な栄養素のひとつにビタミンDがあります。体内でビタミンDを生成するには日光浴が必要です。適切なUV対策をして肌を守りつつ、適度に日光を浴びて健康を維持していただきたいですね」

紫外線に強い栄養素

 紫外線を受けると肌の中で活性酸素が生成され、シミの原因になる。活性酸素を除去してくれる三大抗酸化ビタミンがビタミンA、ビタミンC、ビタミンEの「ACE(エース)」。

ビタミンA】皮膚の乾燥を防ぎ、うるおいを与える働きがある。特に強い抗酸化作用を持つβ−カロテンはにんじんやほうれん草など色の濃い野菜に含まれる。

ビタミンC】コラーゲンを生成してハリのある肌の土台をつくる効果があり、パプリカやカリフラワーなどに含まれる。

ビタミンE】血流を促して肌の血色をよくする効果があり、アーモンドなどのナッツ類やオリーブオイルに多く含まれる。

 いずれのビタミンも、健やかな肌を保つために欠かせない栄養素。

 ビタミンを手軽に摂取できるサプリメントもあるが、いろいろな栄養素をバランスよく取り入れるためにも食べ物からとるように心がけて。

ビタミンACE
 フルーツには果糖も含まれているため、ビタミンはできるだけ野菜からとることがおすすめ。吉木先生おすすめは、カリフラワー、れんこん、パプリカ、かぶなどの野菜。難しいことを考えず緑黄色野菜を中心にとってもOK。

吉木伸子先生●よしき銀座クリニック院長。平成5年横浜市立大学医学部卒業後、慶應義塾大学病院皮膚科学教室、浦和市立病院(現さいたま市立病院)皮膚科勤務などを経て平成10年よしき皮膚科クリニック銀座開業、令和5年よしき銀座クリニック開業。『スキンケアは「引き算」が正しい』など著書多数。

取材・文/熊谷あづさ

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