
今、注目されているフジテレビと親会社「フジ・メディアHD」の経営刷新。
フジ・メディアHDは16日、大株主の投資ファンド「ダルトン・インベストメンツ」が提案したSBIホールディングスの北尾吉孝会長兼社長ら12名の取締役候補案について 「反対する」と表明しました。
これをうけ、ダルトンは17日に声明を出し、「当方と協議もしないで 全員反対と決めたのは遺憾で、真摯に検討したとは思えない」「清水氏が株主と密にコミュニケーションをとったと言ったが、極めてミスリーディングで、こちらの候補者についての協議は一切なかった」などと厳しく批判しています。
こうしたなか、ダルトンが提案する フジ・メディアHDの取締役候補のひとりで、ジャパンディスプレイの社長を務めた菊岡稔氏がJNNの単独インタビューに応じました。
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Q:ダルトンがフジの対応を批判しましたが、菊岡さんはどう思いますか?
菊岡稔氏
「株主(ダルトン)の立場としてはもっともな正論なのかなと思います。フジ側が取締役の候補である我々に対して真摯に検討したというのはそうなんだろうなと思いますけれども、結局は検討するのであれば、それに対してどういう形で考えているかをダルトンに対してフィードバックするなり、交渉するというのが通常の世の中の考え方かなと思います。ダルトンからは一切そういう協議がなかったと聞いております。私も時間を割いて、真剣に考えて、フジ側からのインタビューなり、質問状に応じましたので、正直驚きましたしがっかりもしました」
また、次のフジ・メディアHDの取締役候補の選定を、退任する予定の金光修社長らが行ったことについては…
菊岡稔氏
「経営諮問委員会とか取締役会というまさに今回の人事案を検討された方々のほとんどが株主総会後に退任される。その退任される方々が、次の取締役候補の選定作業を行ったというところは、合理的な判断ができる体制に基づいてなされてるとは、客観的な観点からするとちょっと考えづらい。株主(ダルトン)としては、そこは正しい手続きに沿って行われた意思決定ではない、とおっしゃるのは当たり前なのかなと思います」
フジ・メディアHDは"ガバナンス重視"を掲げ、来年6月に過半数を社外取締役で構成する委員会が社長などの取締役人事の議案を決める「指名委員会等設置会社」に 移行することを検討していますが…
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菊岡稔氏
「方向性はいいと思うんです。指名委員会等設置会社というのはガバナンス上、一番厳格な組織なので。 株主総会を経て移行しなければいけないということもあり、フジは改革案に2026年6月に移行すると書かれたと思うんです。ただ、私としてはやっぱり今から1年以上かけてやるということは、あまりにも現状の置かれている環境からすると、時間をかけすぎだと思います。私はジャパンディスプレイのときにはそれを3か月でやりました。臨時株主総会を開けばできるにも関わらず、定時株主総会でやることを想定していること自体が遅いと思うんですよね。数か月でまとめるぐらいの強い覚悟とスピード感というのがやっぱりないと」
Q:フジテレビが魅力あるメディアに生まれ変わるためにすべきことは?
菊岡稔氏
「まとめて申し上げると経営資源の配分の最適化なんですよね」「非広告収入をどう拡大していくかとか、コンテンツを含めて単に既存の媒体ではなく、いろんな媒体を使ってそれをグローバルも含めて展開するとか。フジテレビにはFOD(フジテレビが運営する動画配信サービス)があるけど、もっと一般的な形でのNetflix等を含めたYouTubeとかいろんな媒体があるなかで、どういう形で提携なり抱え込んでいくかというところをやはりメディアの専門家を交えて、本当に吟味していくべきです。メディアの専門家たちが結集した上で、資金、経営資源を奪いあうぐらいの気持ちで、やはり成長プランを作るべきだと思う」
Q:今後、委任状争奪戦になる可能性が高いですか?
菊岡稔氏
「二者択一、ダルトン案というのがあって、会社案というのがあるわけではなく、取締役候補というのは全員独立していて、フジが提案しているAという人と、ダルトンが提案しているBという人は、それぞれ1人ずつイエスかノーかを株主がおっしゃるので、1人1人について極端に言えばある株主は、フジ側のAさんという人も、ダルトン側のBさんという人もどちらも賛同するかもしれないし、ですから、二者択一じゃないんですよね。 私はダルトンに推薦されてるけど、ダルトンに所属しているメンバーではない。ダルトンさんがフジの改革のために主張していることに一定程度賛同しつつ、ただ、どうしたら自分が今までやってきたことのスキルセットや経験を、会社を良くするために役に立てることができるんじゃないかと思って、候補になることについての依頼を受け入れたわけです。今回フジ側が反対したからといって、何一つ変わることはなく、引き続き株主候補として残るのであれば、選任されるべく、自分なりの活動もするし、選任されたら、その責務を独立した立場で担っていきたいというふうに思っております」
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