
「きょうのお値段」。今回は小学校の給食費1食289.47円です。こちら福岡市の金額ですが、今、福岡市の“ある給食”が注目されています。
【写真を見る】「こんな少なくてええんか!?」物議をかもした給食、他の日のメニューは
「から揚げ1個」は少ない?給食の裏側を取材【福岡市内の小学校の4月18日のメニュー】
・麦ごはん
・春キャベツのみそ汁
・鶏のから揚げ(1つ)
・牛乳
出水麻衣キャスター:
こちらについて、SNS上では「こんな少なくてええんか!?って心配になった」「その後の授業、集中できないのでは?と心配してしまう」というような声が上がりました。
実際に福岡市に取材してみたところ、こちらは福岡市の基準である1食あたりの金額(289.47円)に収まるように作られていて、カロリーもこの日は620kcalだったということで、福岡市の基準(1食600kcal)をきちんと満たしているということでした。
から揚げも写真だと小さく見えますが、2つ分くらいの大きさがあるそうです。
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他の日のメニューはこちらです。バラエティー豊かな給食ですよね。
17日(木):麦ごはん、チキンカレー、ベーコンソテー
21日(月):減量キャロットパン、スパゲッティミートソース、海藻サラダ
給食をめぐっては色々言われていますが、とにかく“やりくりが大変”なんだそうです。
福岡市では1食289.47円となっていて、このうち保護者の負担分が243.15円(月4200円)、福岡市の負担分が46.32円となっています。
保護者負担分の月々4200円は2021年から増額されていないものの、物価高の影響で公費負担の金額がどんどん増えている状況です。
そんな中で福岡市も工夫をしています。
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高い野菜を減らして安い野菜を増やしているということで、例えば青ネギを1g減らして玉ねぎを5g増やす、というような微々たる調整によって、栄養バランスを変えることなく予算内にきちんと収める努力をしているということです。
そもそも給食というのは、6月ごろに次の年度分の大体の献立を決めて、提供の半年前ぐらいに具体的な食材やグラム数などを決めていくそうです。そして提供月の3か月前に市場価格などを見て献立を最終決定、実際に給食が提供されるという流れです。
献立の最終決定から提供までの期間に物価などが上がると、予算を超えてしまうこともありますが、そのまま提供せざるを得ない状況だということです。
市の担当者によりますと、物価高などでグラム数の調整回数が以前よりも増えていて大変なんだそうです。
出水キャスター:
実は給食費は都道府県によってばらつきがあります。
【平均月額(小学校)】(文科省 2023年5月1日現在)
福島県:5314円
富山県:5311円
新潟県:5265円
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滋賀県:3933円
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こういったばらつきがある中、いま政府内では小学校の給食無償化を恒久財源の確保策と併せて議論していこうという話も出ています。
2025年2月の衆院・予算委で石破総理も「2026度以降、できる限り早期の制度化を目指したい」と発言していて、給食無償化の動きが進んでいます。
ただ、学校給食の無償化には課題もあります。学校給食に詳しい千葉工業大学の福嶋尚子准教授によると、
▼自治体ごとに制度がバラバラ
▼食単価の基準をどうするか
▼財源の使い道の明確化
▼アレルギーや不登校で給食を食べない児童・生徒への対応
などの課題があります。
こうした中で、給食無償化はどうなっていくのでしょうか。
石田健さん:
税収が上振れた分をわかりやすく(国民に)還元するという考え方もあるとは思いますが、こういった現場の方々の努力や疲弊、子どもが安心してよりよい給食を食べられるように、ぜひ未来の投資にお金を使ってほしいなと思います。
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<プロフィール>
石田 健さん
ニュース解説メディア「The HEADLINE」編集長
鋭い視点で政治・経済・社会問題などを解説