【ボクシング】PFP投票者が示す井上尚弥「PFP1位」の長期政権の可能性 ヘビー級ウシク苦戦とその他の理由とは?

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2026年06月04日 09:50  webスポルティーバ

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前編:PFP投票者が語る井上尚弥の現在と未来

"モンスター"はいつまで"世界最高のボクサー"であり続けるのか。

 4階級制覇王者で現在は世界スーパーバンタム級の4団体王座を保持する井上尚弥(大橋)は5月2日、中谷潤人(M.T)に勝ったあとに『リングマガジン』が選定するパウンド・フォー・パウンド(PFP)1位に再浮上した。過去2度の1位浮上時は比較的すぐに2位に落ちたが、今回は"安定政権"を築く可能性もありそうだ。

 PFP2位の世界ヘビー級統一王者&2階級制覇王者のオレクサンデル・ウシク(ウクライナ)は5月23日、リコ・バーホーベン(オランダ)に大苦戦。ボクシングでの実績に乏しいキックボクシング王者との異色マッチで序盤にリードを許し、なんとか11回TKOで勝ち残ったものの、PFP1位復帰が議論されるような内容ではなかった。この試合後、「やはり井上こそがNo.1」という声が高まっているのは事実である。

 それでは逆に、次戦は来年になると目される"モンスター"が2026年中に1位から陥落することがあるとすれば、どのような流れか。そして、来春にも実現が期待される2階級制覇王者ジェシー・"バム"・ロドリゲス(PFP4位/アメリカ)とのスーパーファイトはどんな意味を持ってくるのか。今回は筆者も参加しつつ、『リングマガジン』のランキング選定委員に4つの質問をぶつけ、近未来の行方を占ってみた。

【パネリスト】
◆ダグラス・フィッシャー(ロサンゼルス在住。『リングマガジン』編集長 Xアカウント : @dougiefischer)

◆エイブラハム・ゴンサレス(ロサンゼルス在住。『FightsATW.com』の創始者であり、ライター Xアカウント : @abeG718)

◆アダム・アブラモビッツ(フィラデルフィア在住。『Saturday Night Boxing』, 『リングマガジン』で執筆 Xアカウント : @snboxing)

◆杉浦大介(ニューヨーク在住。日本人唯一の全米ボクシング記者協会会員 Xアカウント : @daisukesugiura)

1.井上が2026年の残りを試合せずに終えた場合、PFP1位の座が脅かされることがあるとすればどのようなシナリオか?

フィッシャー : すでにPFPトップ5に入っている選手が、同じくPFPランカーを相手に特別なパフォーマンスを見せる必要がある。シャクール・スティーブンソン(PFP3位/WBOスーパーライト級王者/アメリカ)がデビン・ヘイニー(PFP8位/WBOウェルター級王者/アメリカ)を圧倒するような勝ち方をすれば、多くのメディアやファン、特にアメリカのファンが、シャクールをウシクや井上の上に置き、PFP1位に推すようになる可能性はある。ただ、私はその試合が今年、実現するとは思っていない。

 実現の可能性があるのはデビッド・ベナビデス(PFP5位/世界2団体ライトヘビー級・世界2団体クルーザー級王者/アメリカ)対ドミトリー・ビボル(PFP6位/世界3団体ライトヘビー級王者/ロシア)だろう。しかし、ベナビデスがビボルを一方的に圧倒する姿は想像できない。そのカードはスタイルの異なる五分五分の対戦だと思うし、ベナビデスがライトヘビー級の体重を作るのに苦労するようなら、むしろビボルに分があると思う。結局のところ、今年は誰もが「適切な相手」と戦い、その上で「PFP1位を奪うに値するパフォーマンス」を見せることはできないのではないか。だから私は、今年のうちに井上を1位から引きずり下ろす選手は現れないと思う。

ゴンサレス : ここ数年、井上はリング誌のPFPランキングに入っている選手のなかでも最もアクティブな選手のひとりだった。だから、今年の残りを休養に充てるのであれば、それは十分に報われるべきことだと思う。では、その間に彼の1位の座が脅かされるシナリオがあるかと言えば、なかなか難しい。

 可能性があるとすれば、スティーブンソンがヘイニーを12ラウンドにわたって完全に支配し、さらに5階級制覇王者になるようなケースだろう。もうひとつ考えられるのは、ベナビデスがビボルをKOする場合だ。それは非常に大きなインパクトを持つ勝利になる。なぜなら、ビボルは史上屈指の強打者であるアルツール・ベテルビエフと2度戦い、いずれも最終ラウンドまで持ちこたえた選手だからだ。

アブラモビッツ : 私は、井上が今年試合をしなくてもPFP1位の地位を失うとは思わない。私ならそのまま1位に置き続ける。彼のレジュメ(実績)は、ほかの誰よりも頭ひとつ抜けていると思うからだ。

杉浦 : すでに挙げられているスティーブンソン、ベナビデス以外に、レジュメが高く評価されるウシクの存在は依然として軽視できない。もともとクルーザー級王者でありながら、すでにタイソン・フューリー、アンソニー・ジョシュアら、当時のヘビー級の王者級をそれぞれ複数回にわたって下した実績は驚異である。何より、ウシクがほぼすべての重要試合を自国外で行なってきたことはもっと特筆されて然るべきだ。最新のバーホーベン戦の出来は残念であり、3位以下へ落とすことも検討されたほどだが、「キックボクサー相手にモチベーションが上がらなかったのでは」という見方が選定委員の中でも大多数だった。

 今年後半、ウシクが"マイク・タイソンの再来"とまで呼ばれる売り出し中のモーゼス・イタウマに勝つようなことがあればまた1位復帰だろう。イタウマとの新旧対決の早期実現はまずないとしても、27戦全勝19KOのWBC暫定王者アギット・カバエルを圧倒すれば、一定数の選定委員がウシクの再浮上を推すことは考えられる。もっとも、39歳になったウシクは直近の7年中6年で1年1戦しかしていない。カバエル戦があるとしても2027年に持ち越しの可能性は高そうではあるのだが。

後編につづく:「在米記者が占う「PFP1位」井上尚弥の対"バム"・ロドリゲス戦と2年後」

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