「ぎゅってしたかった」教え子の男子高校生に性行為、罪に問われた女性教員 食い違う証言内容

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2024年08月28日 10:30  弁護士ドットコム

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「ぎゅってしたかったな でもいっぱいメール嬉しかった おやすみ」


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まるで久しぶりに会えた恋人へのおやすみメールのようなこの文章は、当時教諭だった女性が、教え子だった男子高校生に向けて送ったメールだ。



女性は男子生徒と性交したとして児童福祉法違反で起訴され、現在東京地裁で公判が続いている。女性は「性的行為は同意していなかった」と公訴事実を否認している。(ライター・高橋ユキ)



●「特別好意を持っていたわけでなかった」

特別支援学校の教諭だった被告人は教え子である男子高校生、Aさんと性交したとして児童福祉法違反に問われている。



東京都教育委員会は2022年9月7日付で被告人を懲戒免職としており、当時の発表によると処分当時30歳だった被告人は2020年12月30日の午後、Aさんを車に乗せてドライブし、都内の商業施設駐車場で性交したという。



都教委の処分に先立ち2022年3月、児童福祉法違反で起訴されたが、この当時「特別好意を持っていたわけでなかった。前向きな気持ちで話をさせるためにドライブした」と述べていた。



●男子生徒にはADHDと軽度の精神遅滞

今年8月、東京地裁で行われた被告人質問でも、一連の行為は被告人が望んでいたわけではなかったと主張した。



公判によれば被告人とAさんは、2020年12月20日と、同月30日の2回、学校外で会った。両日とも被告人がレンタカーを用意し、商業施設で待ち合わせた。20日には車内でわいせつ行為に、30日には性交に及んだとされる。



特別支援学校の教諭だった被告人によれば、AさんはADHDと軽度の精神遅滞があり、初めての場所が苦手だという。



Aさんの父親からは「異性のトラブルが心配なので(女子生徒を)関わらせないでほしい」といった要望を伝えられていた。Aさんのことを「かなり手のかかる生徒だと思っていた」と被告人は語る。



それでもまだAさんが学校で暴力を振るうことなどはなかったが、2020年の夏、児童相談所に一時保護されたのち、家庭に戻ってからは「体を触ってきたり、高圧的な喋り方をするようになった」と振り返る。



あくまでも教師としてAさんに関わっていたと主張している被告人は、2020年の11月ごろ、Aさんから「学校をやめて就職したい」と相談を受けたと語った。



●誘い出したのは「就職の世話」のためと主張

二度のわいせつ行為に至った際、Aさんを学校外に誘い出したのも、性的な行為が目的ではなく、就職の世話が理由だったと法廷で主張した。しかし、当のAさんには“就職活動のために”とは伝えていなかったのだともいう。



「その日に就職先候補の介護施設の見学に行こうと思って私から誘いました。『ご褒美でご飯をしよう』と……介護施設の見学のことは、言ったら(Aさんは)来ないと思いました。具体的な就職話をメインにすると、はぐらかされて応じないので、本人と車で話してそのまま連れて行こうと……」(被告人質問での証言、以下同)



半ば騙すようにしてAさんを誘い出したと主張している被告人だが、連絡を取り合うためにAさんが使っていた携帯電話は、被告人が買い与えていたものだった。「緊急の時に通報できるだろうと……あと就活に使えるかなと」思ったと、被告人はその理由を語る。



こうして2020年12月20日、学校外の商業施設駐車場に停めたレンタカーで待ち合わせ、その車内でわいせつな行為に及んだというのだが、行為については記憶がおぼろげだった。弁護人の問いに対し、こう答える。



「あまり詳しく覚えていませんが……私が車の三列目で仰向けになっていたのは覚えています。Aさんは私の上に乗っている状態。服は、上はつけてましたが、下は記憶がごちゃごちゃしていますが、多分脱いでたと思います。脱がされたと思う。Aさんは体を触っていました」



「最初は『やめて』とか言ったと思うし、叩いたり蹴ったり抵抗していましたが、Aさんの方が力が強くて動けなかった。Aさんが疲れたのか行為はしばらくして終わりました。私は服を着て運転席に戻りました」



●「裸で抱き合うのも気持ちいいけど、次は…」

同様に、性交したとされる12月30日についても、就職関係の用事という本来の目的を隠してAさんを誘い出し、学校外の商業施設内駐車場に停めたレンタカー内で待ち合わせたと被告人は語る。さらに数時間ドライブしたのち、駐車場に戻ったところで性交されたと主張した。



「Aさんが私の首をヘッドロックのような形で絞めて、私はシートベルトをしたままだったので痛くてベルトを外したと思います。そのままAさんの体の上に上半身を倒される形に……その後は(記憶が)飛び飛びで覚えていませんが、一番後ろの三列目のシートに移動し、私が仰向けで、Aさんが上に乗っている状態。私は……服はたぶん下は脱いでいました。脱がされたからです」



「Aさんからは……体を触られたり、性交したと思います。あまり覚えていませんがうっすら血がついていたから触られたと思いますし、痛い、とかやめて、とか伝えたと思います。その後はすごく険悪な雰囲気で、ほとんど喋らないで帰りました」



性交後、被告人はAさんにメールで「好きだ」「裸で抱き合うのも気持ちいいけど、次は出すとこ見てみたい」などメッセージを送り、裸の写真を送信している。



これについて問われると、被告人は言った。



「あまり覚えていませんが、思い返すとショックな出来事だったので、それをショックと受け止めてしまうと心が壊れてしまう気がして、前向きにしたことで、楽しかったことだと解釈したかったんじゃないかと思います」



●「下着何色が好き?」とメール

このように弁護人からの質問に対しては終始、同意のないままにAさんから無理やり性的な被害にあったと語っていた被告人だったが、質問者が検察官に交代すると、また違う面が見えてきた。



わいせつ行為に至ったとされる2020年12月20日の前日には、こんなメールを送り合っていたことが明かされる。



Aさん「明日かわいい服装で来てくださいね」
被告人「えーいつも着てるやつで行く」
Aさん「ダメです、必ずかわいい服装で来てくださいね」
被告人「下着何色が好き?」



唐突に下着の話を被告人から切り出したことについて検察官から問われると「これくらいしないと20日は来ないと思った」と、あくまでも就職活動を円滑に進めるために性的なやり取りを交わしたと証言した。



●メールは「喜ばせるためだった」

さらに翌日には冒頭に挙げたように「ぎゅってしたかったな でもいっぱいメール嬉しかった おやすみ」とメールしているが、これも「喜ばせるためだった」と述べる。そして2020年12月30日にレンタカー内で性交したときのことについて改めて問われると、記憶が曖昧になった。



検察官「12月20日に嫌なことをされたはずなのに、なぜまた同じシチュエーションになろうとしたんですか?」 被告人「生理中だったので、ないだろうと思っていたのと、冬休みが心配で急いで会いたいと」 検察官「駐車場の車内で性交している、抵抗はしましたか?」 被告人「はい」 検察官「これもよく覚えていない?」 被告人「痛かったとかは覚えてます」 検察官「体のどこを触られたとかは?」 被告人「ん〜……おぼろげにしか覚えていません。どのくらいの時間だったとかそういうことは全然覚えてないです」



●検察官「Aさんが積極的に嘘をついていると?」

Aさんは被告人との関係について、わいせつ行為に至る2020年12月20日よりも前から「キスやハグをしていた」と語っており、被告人の証言とは食い違っている。



検察官「Aさんが積極的に嘘をついていると?」 被告人「そう思っていたこともあります。ん〜……時間が経ち、記憶が曖昧になっているところがある」



Aさんと被告人の証言が食い違っているだけでなく、逮捕時の被告人の供述と、公判での被告人の話にも食い違いがみられる。



逮捕時は調書に「Aは学校で私にしか心を開いていない。期待に応えたいと思っていたので抵抗しないでいると、指を入れられた」と供述しているが、法廷では「私の言葉ではない」とこれを否定した。わいせつ行為や性交に至った経緯を裁判所はどう判断するのか。



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