「不倫はいつか終わるけど今のままなら……」セカンドパートナーとの関係を続ける女性心理とは

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2025年06月11日 22:11  All About

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友達以上恋人未満のセカンドパートナー。いけないと分かっていても恋愛感情が抑えられないこともある。ジムで出会った8歳年上の男性と“肉体関係のない恋愛”を楽しむ43歳女性は、「おそらくこのままの関係だと思う」と話す。サムネイル画像:PIXTA
既婚であっても、男友達はほしい。グループで付き合っていれば「不倫」に陥ることもないはず。自然とできた友人グループで楽しんでいるうちはいいのだが、自分の中の恋愛感情にふと気づいてしまうこともある。

ジムで知り合ったグループで

2年前からスポーツジムに行くようになったエリカさん(43歳)。勤務先から自宅までの乗換駅に直結しているので、通いやすいのがポイントだった。

「週に2回くらいしか行けませんが、でも体の爽快感がまったく違うんです。少し脂肪も落ちた。本当は3回行きたいけど、11歳の息子がいるのでなかなか難しくて」

ジムに行く日は夫が早く帰ってきてくれる。その分、週末、土日のどちらかは夫が趣味に費やすという取り決めだ。

「最初は夕食の下準備もしてから出勤していたんですが、息子と夫が『僕たちが作るよ』と言ってくれて。トレーニングをしてから帰宅して、息子と夫の手料理を食べるのが楽しみでした」

同じ曜日、時間に通っているとジムに顔見知りもできてくる。半年ほどたつうちにもともと常連だった数人に、エリカさんを含めた新たな顔が数人、6人ほどのグループができた。

残業と偽り飲み会に参加

「帰りに1杯やっていくんだけど一緒にどうですかと誘われて。断ろうと思ったけど、なんだかそれもねえ。私以外にも既婚女性がいたので、二人でひそひそと『面白そうだから、軽く行きましょうか』ということになって。

そのとき、夫にはなぜか『今日は急きょ、残業になっちゃった。なるべく早く帰る』とLINEしちゃったんですよね。正直に言えなかった」

夫からは「お疲れ。先に食べてるよ」と返事があった。かすかな罪悪感を覚えながら飲み会に参加したのだが、「とんでもなく楽しかった」とエリカさんは振り返る。

「利害関係のまったくない関係だし、それぞれ仕事も立場も違う。ジムに来ていることだけが共通点。でもこういう偶然の出会いが面白いんですよね。40代から60代の大人たちが、くだらないシャレを言ったりして大笑いして。みんなプライバシーには踏み込まない、でもなんだかとても楽しかったんです」

この人たちと仲よくしていきたい。心からそう思ったという。

特定の人とデートする仲に

それ以降、時々残業と偽ってジム後の飲み会に参加するようになった。そしてその中の一人の男性と妙に気が合ってしまった。

「会話の間が合うんですよ。私はもともとポンポンものを言うたちなんですが、夫はものすごくのんびりした人だから、会話の速度が合わない。でもジムで知り合った彼は、間合いがバッチリで、しかも面白いと思うポイントが同じ。

聞いたら彼は代々続く江戸っ子、私もそうなんです。親が落語好きで、子どものころから寄席に連れていかれたというのも同じで。彼は8歳ほど年上なんですが、育った環境が似ていたんですね」

あるとき飲み会で彼が、こっそりと落語のDVDを貸してくれた。それを返すという言い訳をしながら、彼女は彼に個人的に連絡をとった。

「また貸したいものがあるんですよと彼が言って、じゃあ、明日、会いましょうかと。たまたま翌日、私は午後休だったのでそう言ったら、ランチでもしましょうということになって……。そこで初めて、彼は小さいながらも会社経営者だと聞きました。時間の自由が効くんですよと笑っていて」

ゆっくりランチをとりながら、何が面白かったのか忘れたが、エリカさんはずっと笑っていたと記憶している。結婚してからこんなに笑い転げたことがあるだろうかというくらい楽しかった。

「彼も『ジムの連中との飲み会も楽しいけど、今日はいつも以上に笑いました。エリカさんは楽しい人だなあ』って。楽しい人と言われたのがうれしかった。もう外見の美醜をどうこういう年齢でもないですからね。『こういうのは相性ですよ』と言ったら、『あなたと相性がいいんでしょうね』と。ドキッとしました」

肉体関係のない恋愛なら

もちろん、それ以上のことにはならなかった。だからこそ、今も時々二人で会っていると彼女は言う。

「不倫関係になったら、終わりが見えている。でも今のままならずっと付き合っていける。言葉にしてはいないけど、二人ともそんなふうに感じているんだと思います。肉体関係のない恋愛。プラトニックというには少しだけ、二人とも下ネタで盛り上がったりもするので、エロ要素の入ったプラトニックラブかな」

苦しかった時期もある。好きなのだから、もっと近くなりたいとも思った。だが、そういう気持ちは保ったまま、彼との時間を楽しもうと気持ちが変わってきたという。

「大事な人です、とても。でもおそらくこのままの関係だと思う」

少しせつなそうに、だが幸せそうに彼女はそう言った。そんな“恋愛”もあっていいのではないだろうか。

亀山 早苗プロフィール

明治大学文学部卒業。男女の人間模様を中心に20年以上にわたって取材を重ね、女性の生き方についての問題提起を続けている。恋愛や結婚・離婚、性の問題、貧困、ひきこもりなど幅広く執筆。趣味はくまモンの追っかけ、落語、歌舞伎など古典芸能鑑賞。
(文:亀山 早苗(フリーライター))

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