“翌日配送”が当たり前でなくなる可能性も…今年4月に施行された「物流効率化法」のポイントを解説

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2026年05月10日 19:10  TOKYO FM +

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“翌日配送”が当たり前でなくなる可能性も…今年4月に施行された「物流効率化法」のポイントを解説
杉浦太陽と松井玲奈がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「杉浦太陽・松井玲奈 日曜まなびより」(毎週日曜 7:30〜7:55)。「学びと成長」をコンセプトに、毎回さまざまなゲスト講師をお招きして、明日の暮らしがもっと豊かになる情報や気になるトピックをひも解いて、今よりもちょっと成長することを目指す番組です。

5月10日(日)の放送テーマは、「新ルール導入! みんなで支えよう物流の効率化」。経済産業省 物流企画室の新井和樹(あらい・かずき)さんから、今年4月に施行された「改正物流効率化法」についてお話を伺いました。


(左から)松井玲奈、新井和樹さん、杉浦太陽



◆「物流の2024年問題」は解決していない

2024年4月から、トラックドライバーの長時間労働を是正するための上限規制が始まりました。これにより、過度な働き方は抑えられる一方で、輸送できる荷物の量が減少する可能性が指摘され、「物流の2024年問題」として大きな注目を集めました。もともと、トラックドライバーの年間賃金は他産業と比べて5〜10%ほど低い水準にあり、人手不足も深刻です。こうした背景もあり、働き方改革と物流の安定確保の両立が課題となっています。

その影響は、消費者の行動にも広がりつつあります。再配達を減らすために配送日時を指定したり、急ぎでない荷物は余裕をもった受け取りに切り替えたり、置き配を活用したりと、受け取り方を見直す動きが少しずつ浸透しています。

しかし、新井さんは「正直なところ『2024年問題』は終わったわけではありません」と現状を説明します。規制の施行後も大きな混乱は見られなかったものの、依然として輸送能力は逼迫しており、企業への影響も出始めています。

実際、経済産業省がおこなった荷物の輸送を依頼する「荷主」を対象とした調査では、約1割が「ドライバーの時間外労働の制限を理由に輸送を断られた経験がある」と回答しています。さらに、「2024年問題の影響はでてきていると感じますか?」というアンケートに対して、「影響が出ていると思う」「どちらかと言えば出ていると思う」と回答した荷主は約半数にのぼりました。新井さんは「このまま何も対策がおこなわれないと、コロナ禍前の2019年と比較して、2030年には約34%、重さにして9.4億トンの輸送能力が不足することが懸念されています」と警鐘を鳴らします。

◆物流効率化法の3つの取り組み

こうした状況を受けて、物流の持続性を確保するための新たな枠組みも動き出しています。その1つが「物流効率化法」です。この法律は、荷物の輸送を依頼する企業である「荷主」と、実際に運搬や保管を担う「物流事業者」の双方に対し、効率化に向けた取り組みを促すものです。物流効率化法は、2025年4月から規制的措置(努力義務)としてスタートしました。そして今年4月からは、一定規模以上の事業者に対して、より具体的な措置(義務)が実施されています。

2025年4月からすべての荷主などに求められている努力義務としては、「荷待ち時間の短縮」「荷役時間の短縮」「積載効率の向上」の3つが挙げられます。なお、荷待ち時間とは、トラックドライバーが現場に到着してから作業が始まるまでの待機時間を指し、荷役時間は実際に荷物の積み下ろしをおこなう時間のことです。

これらは荷主側の都合や施設の混雑などに左右されることが多く、ドライバー自身ではコントロールできない課題でもあります。物流効率化法では、こうした時間をできるだけ短くするように、荷主や物流事業者に取り組みを求めています。

2020年の調査では、ドライバーの拘束時間は1運行あたり平均12時間に及び、そのうち約3時間が荷待ちや荷役に費やされていました。こうした状況を改善するため、現場ではさまざまな工夫が進められています。

新井さんは「荷主や物流事業者は、荷待ち時間を短縮するために、荷下ろし場の使用時間を予約できるシステムを導入しています。また、荷物の積み下ろしにパレットと呼ばれる荷物をまとめて載せる台や、フォークリフトを導入するなどして、荷役時間の短縮に努めています」と紹介します。一般的に、荷物の積み下ろしを人力でおこなうと2時間かかる作業が、パレットとフォークリフトを使用すると30分もかからずに終わるケースもあるそうです。

さらに重要なのが「積載効率の向上」です。トラックは常に満載で走っているわけではなく、少量の荷物を急いで運ぶケースや、配送後に何も積まずに戻ってくる「空車回送」が発生するケースも少なくありません。そこで、複数の企業の荷物をまとめて運ぶ「共同配送」や、帰り道に運ぶための荷物をあらかじめ確保するなど、トラックをできるだけ満載に近い状態で走らせる工夫が求められています。そのためには、出荷のタイミングに余裕を持たせたり、荷主同士が情報を共有しあうことが欠かせません。

一方、こうした取り組みが進むことで「注文したら翌日に届く」という従来のサービスが当たり前でなくなる可能性もあります。消費者側も、利便性の裏側にある物流の事情を理解しておくことが大切です。

◆物流改革が促す意識の変化

物流効率化法により、年間9万トン以上の貨物を扱う「特定荷主」に対しては、新たに3つの取り組みが義務化されました。1つ目は、先に挙げた「荷待ち時間の短縮」「荷役などの時間の短縮」「積載効率の向上」について、中長期的な計画を作成すること。2つ目は、その進捗を毎年定期的に報告すること。そして、3つ目は物流効率化を全社的に推進する責任者である「物流統括管理者の選任」です。

「この物流統括管理者は、経営判断をおこなう役員などのなかから選任される必要があり、物流と経営戦略を結び付けて最適化を目指す、チーフロジスティクスオフィサー(CLO)としての役割も担うことになります」と新井さんは解説します。

そして、最後に「物流はモノを運ぶだけではなく、日本の経済活動そのものを支える大切な基盤です。物流をこれからも安定して機能させていくためには、ムダを減らし、効率よく運べる仕組みをつくっていくことが欠かせません。そしてそれは、私たちの暮らしを守ることにもつながります。ぜひ、この機会に物流のことに関心を持っていただけたらと思います」と呼びかけました。

番組のエンディングでは、杉浦と松井が今回学んだ「物流効率化法」について復習。2人が特に注目した点をピックアップして発表します。まず松井は“物流効率化法 2026年4月から本格施行”とスケッチブックに書きました。続いて、杉浦は“皆さんの取組がこれからの物流を支えます”と注目ポイントを挙げ、「物流効率化法について知りたい方は、経済産業省のWebサイトをご覧ください」とコメントしました。


(左から)松井玲奈、杉浦太陽



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<番組概要>
番組名:杉浦太陽・松井玲奈 日曜まなびより
放送日時:毎週日曜 7:30〜7:55
パーソナリティ:杉浦太陽、松井玲奈
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/manabiyori/
番組公式X:@manabiyori_tfm


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