サッカー日本代表の中国戦大勝にもスペインの名指導者は警鐘 「細かいミスが気になった」

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2024年09月09日 07:10  webスポルティーバ

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「森保一監督が率いる日本代表は、戦術システムがとてもうまく機能している。それぞれのコンビネーションが抜群。特に守田英正、遠藤航、堂安律、久保建英、三笘薫、南野拓実は常に連係がとれていた」

 スペイン人指導者、ミケル・エチャリはそう言って、2026年W杯アジア最終予選、日本が中国を7−0で下した試合を振り返っている。

 エチャリは、バスクでは尊敬の的となっている指導者である。栄誉職であるバスク代表監督は10年以上も務めた。監督養成学校の教授であり、そのスカウティング力はジョゼップ・グアルディオラ(マンチェスター・シティ監督)にも称賛される。フアン・マヌエル・リージョ(元ヴィッセル神戸監督)、ウナイ・エメリ(アストン・ビラ監督)、ハゴバ・アラサテ(マジョルカ監督)、ホセバ・エチェベリア(エイバル監督)、そしてシャビ・アロンソ(レバークーゼン監督)というバスク出身の名将たちに影響を与えてきた。

 そのエチャリが、中国戦で合格点をつけたのは――。

「日本は3−4−3(3−4−2−1)のシステムを採用している。ここ数試合、積極的にトライしている戦術だが、そのたびに成熟が見られる。攻撃能力の高い選手を擁していることも大きいのだろう。

 試合は開始後すぐ、日本が主導権を握ることになった。力の差は大きい。技術も、体力も勝っていた。何より、コンビネーションで相当な差があった。

 開始12分、押し込んだ形から左CKを奪うと、キッカーの久保が上から落とすようなボールを蹴り、遠藤がフリーでヘディングシュートを叩き込んでいる。ボールの質は際立ってよかった。遠藤は味方との連係で、うまくフリーになっていた。

 ただ、中国があまりに惰弱だった。これだけフリーでの得点は、トップレベルではほとんどない。混乱ぶりは目を覆うばかりだった。

 それ以降も、日本は優勢を続けている。ほとんど攻められることはなかった。前半終了間際、久保がサイドでふたりを引きつけ、堂安に戻したところ、完ぺきなクロスをファーに入れ、三笘がヘディングで流し込んだシーンの連係はとても合理的で、技術もすばらしかったが......」

【長谷部の入閣は喜ばしい】

「前半に関しては、細かいミスが気になった。たとえば、谷口彰浩は何でもないボールをクリアし損ねていた。強豪だったらつけ入られるだろう。高さ、強さに関しては、(アジアカップでの失敗もあって)準備していたようだが、世界のトップはフィジカルなどのインテンシティからテクニックまで違うし、攻め手も多く持っている。

 攻撃も先制後はややスローだった。終了間際の1点を決められなかったら、これほど楽な展開にならなかっただろう」

 エチャリはそう言って警鐘を鳴らした。大勝に隠された、わずかなミスこそ、次の敗因になるからだ。

「この日、ベストプレーヤーだったのは南野だろう。前半から、前線のライン間やラインの裏で躍動していた。あらゆる選手と連係を結び、センスが光った。プレーセンスに恵まれ、非常にいいボール奪取も見せている。

 後半、南野が試合を決めた。三笘からのパスを引き出し、鮮やかに3点目を記録。さらに町田浩樹が縦に入れたボールへの上田綺世の落としに反応し、南野はそのまま切り込んで4点目を決めた。最近の試合を振り返っても、存在感が増している。真価を見せる時だ。

 後半60分を過ぎると、両チームが選手交代に動く。これで試合はやや膠着することになったが、徐々に戦力差が表われた。76分には、途中出場の伊東純也が久保のパスを受け、ミドルを決めている。

 5−0になったことで、中国から完全に戦意が消えた。

 日本はさらに2点を追加したが、試合はすでに決していたと言えるだろう」

 エチャリはそう言って大勝を振り返りながら、こう締めくくっている。

「繰り返すが、新しいシステムが成熟しつつあるのは間違いない。それがこの結果につながった。日本人のテクニックや俊敏性やコンビネーションの高さを生かしたタクティクスであるのは事実だ。

 ただ、相手の力不足も否めない。ほとんど攻められていないだけに、プレッシャーも低かったまることは覚えておくべきだ。

 一方で、『長谷部誠がコーチに入閣』は喜ばしいニュースと言える。私は2010年南アフリカW杯の前から長谷部のプレーを見てきたが、彼ほど戦術インテリジェンスに優れた選手はなかなかいない。ドイツ、ブンデスリーガで長くプレーし、培ったものだろうが、"筋がいい"のだろう。フランクフルト時代のプレーも見たが、頭のよさは傑出していた。

『サッカーを知っている』。その感覚は、プロ選手といえども誰もが持っているものではなく、貴重なものだ。

 森保監督は、頼もしい味方を得たと言えるのではないだろうか。

 次のバーレーン戦でも健闘を祈りたい」

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