韓国のウェブコミック・WEBTOON(ウェブトゥーン)の大ヒット漫画を、日韓のトップクリエイター陣によってミュージカル化した「ミセン」が大阪にて開幕。舞台写真とともに、主人公チャン・グレ役を演じた前田公輝らキャストのコメントが到着した。
「ミセン」は、2014年度には韓国の名だたるドラマ賞を総なめにし、「ミセンシンドローム」と呼ばれるほどの社会現象を起こした大ヒット作。日本では2016年よりピッコマにて連載され、同年、フジテレビでもリメイクドラマが放送された。
そんな国境を越えたヒット作をホリプロと韓国のクリエーター陣で世界初のミュージカル化。
脚本のパク・へリムによって豊かな人間ドラマが描かれ、チェ・ジョンユンによる耳に残る音楽、オ・ルピナによる現実と想像を越える演出、さらに、振付師KAORIaliveによる物語に寄り添いながら見どころ満載のダンスが融合し、ミュージカルだからこそ観ることのできる、大人の心にリアルに刺さる作品が誕生した。
「ミセン」とは囲碁用語で、漢字では「未生」。「死に石」に見えても、まだ完全な「死に石」ではなく、どちらにも転ぶことのできる可能性を秘めた石のことをいう。人生は自分の選択次第でいつでもあらゆる道に進むことができる、という意味が込められている。
クリエイター・キャスト 会見コメント
■オ・ルピナ(演出)
今回、「ミセン」という作品で面白く表現してみたかったものは、チャン・グレが世の中を囲碁というフィルターを通して見る、ということです。ステージの一番高いところにカメラを置いているので、囲碁の碁盤を上から見るのと同じように、お客様もそのようにステージを見ることができると思います。私が頭の中で想像していたものより、映像デザイナーさん、照明デザイナーさん、美術デザイナーさんのスタッフの皆さんがより美しく表現してくださったので、面白い場面として生まれたと思います。
そして、その動きを華やかに素敵に大きく見せて下さるのがKAORIaliveさんの振付で、圧巻ですので、皆さん是非観に来ていただきたいと思います。
私は韓国で作曲家の方と作家の方と一緒に「ミセン」を準備して、そして日本に来て俳優の皆さんと稽古をしていたのですが、皆さんと一緒に稽古をする一日一日が本当に幸せで、「ミセン」として生きることができて、まだ「ワンセン」(「未生」の対義語で完全に生かされている石)になっていなくて、その全ての瞬間が幸せでありがたかったです。この作品を準備している私たちはまだ「ミセン」ですが、お客様が客席をいっぱいに埋めてくださって、この作品を「ワンセン」にしていただければありがたいです。ありがとうございます。
■パク・へリム(脚本・歌詞)
この作品は会社の中での葛藤を描いていますが、その中にある人間的な絆や温かさを入れようと思いました。稽古を通じて皆さんの絆が深くなっていったので、この作品のテーマである「絆」というものがより良く表れたのではないかなと思います。
■チェ・ジョンユン(音楽)
私はこの作品が必死さ、熾烈さと温かさが共存している作品だと思いましたので、その明るいエネルギーを音楽として表現することに重点を置きました。
韓国で作曲をして、そのまますぐ日本に送りましたので、少し心配はありましたが、日本の音楽監督、音楽チームの皆さんが素晴らしく作ってくださったので、完成度が高くなり、とても嬉しく、そして期待感も高くなりました。皆さんも楽しんでいただければと思います。
■前田公輝(チャン・グレ役)
2か月稽古させていただいて、チャン・グレという役を通しているから余計に感じるのですが、本当にこの作品に出会えたこと、このカンパニーに出会えたことがすごく幸せです。
「ミセン」の作品を知ってくださっている方は、ミュージカル化、というところに驚きがあると思います。曲中、近いメロディーでニュアンスが異なるメッセージ、というところがいくつか出てくるのですが、メロディーが繰り返されることによって、「ミセン」の世界が思い出すことができる、振り返ることができるものになっています。韓国のドラマだと20話あるのですが、毎日の日常に「ミセン」があることによって幸せが育まれるところがあって、時代が変わっても繰り返される意味というものが曲調にも入っていると思いますので、そういったところも楽しんでいただきながら、「ミセン」の世界を是非広げていけたらいいなと思います。
■橋本じゅん(オ・サンシク課長役)
この「ミセン」というドラマが衝撃的に面白くて、まだご覧になっていない皆さん、ご覧になることを本当におすすめいたします。韓国ドラマは話数が多いので挫折してしまう、という声を聞くこともあるのですが、見れば見るほど面白くなる。ただ会社の話を舞台にする、20話あったものを2時間半のミュージカルにするということで、どうするんだ、と。全く想像がつかなかったというのが本音なのですが、蓋を開けたらルピナさんの演出は本当に人に寄り添う。作品に寄り添う。僕は今年で舞台生活40周年、5年ぶりの舞台ですけれども、新鮮に、まっさらな気持ちで吸収していく中で、とても優れた演出家に出会うことができました。そしてこの作品が世界初の、お隣の韓国と日本との合作で内容も面白い。何が言いたいのかというと、三都市で18回、瞬きしている間に通り過ぎてしまうので、本当に観に来ていただきたいです。皆さんに証人になっていただきたいと思います。先は分かりませんけれども、この18回、是非見逃さないでくださればと思います。宜しくお願いいします。
■清水くるみ(アン・ヨンイ役)
最初にこの作品のお話をいただいたとき、もともと「ミセン」のドラマを観ていたので、「ミセンをミュージカルにするの?できるのかな」って思っていたのですが、蓋を開けてみたら、もともとファンだったジョンユンさんの素敵な音楽と、へリムさんの脚本も本当に素晴らしくて、そしてルピナさんの演出が加わって、この演出を想像していた脚本なんだな、と思いました。立体的になっていく中で、ミセンってミュージカルにするべき作品だったんだ、ということに気が付きました。劇場に入ってから、映像も加わってさらに立体的になって、是非観に来ていただきたいな、と思いました。個人的には私はキュートな役をやることが多くて、クールな役をやるのは舞台ではほぼ初めてで、少しチャレンジの部分もあるので、是非観に来ていただきたいな、と思います。
■内海啓貴(ハン・ソギュル役)
おはようございます。繊維一課のハン・ソギュルです!…内海啓貴です。宜しくお願いします。
稽古始まってから2か月経ちましたけれども、本当にカンパニーの皆さん、仲が良いんですよ。最初に焼肉に行って、昨日は温泉に行きましたしね。とにかく本当に仲が良いです。だからこそ、仲の良さを芝居に活かせるように、でも初めて芝居で会ったときは新鮮さを忘れずに演じていこうかなと思います。僕の思う見どころはこのカンパニーの仲の良さ、温かさです。ワンセン!
■糸川耀士郎(チャン・ベッキ役)
チャン・ベッキ役の糸川耀士郎です。僕が思うことはただひとつ。チャン・ベッキを完璧に演じる。それだけです。…(笑)。
僕は稽古場で何度、みんなの目を盗んで涙を流したかわからない、本当に胸の熱くなる作品で、僕はこの作品を観終わってすごく両親に会いたいな、と思いました。大切な人にちょっと会いたくなるような、そんな作品です。
でもやっぱり、それ以上に僕はチャン・ベッキを完璧に演じる、それだけ考えて舞台上に立つのみです。
■中井智彦(パク・ジョンシク課長役)
絆の物語、ということもすごく感じるのですが、ワン・インターナショナルという大企業の中でどう生きていくかっていうのは、会社だけではなく、僕ら俳優もそうですし、それぞれが自由に生きられるわけではない社会があるじゃないですか。その中で、自由に生きようとする人たち、そして規律を守ろうとする人たち、規律からはみ出て生きている人たち、すべてが人間だなと思います。それはパク・ジョンシクを演じてすごく感じたことです。一度失敗したから終わりではなく、再生ができるんだ、という希望の光を演出のルピナさんが最後に与えてくださった気がしています。絆と再生を感じていただける、そんなミュージカルかなと思います。真面目過ぎたかな。中井智彦でした。
■あべこうじ(キム・ドンシク課長代理役)
初ミュージカルということで、どのようなことになるのか、むかむか…じゃなくてむちゃくちゃ楽しみでございます。どのようなことになるのか、むかむか…じゃなくてむちゃくちゃ楽しみでございます。見に来ていただかないとその感動や絆やパワーやエネルギーが伝わらないと思いますので、一言言わせてください。皆さん、観に来てくれなきゃ、観に来てないんだなーってなりますよ!こちらで、宜しくお願いいたします。
■東山光明(居酒屋店長役/パク・クォンイル役/露店商役 3役)
まずは自分の地元大阪で2025年の一番初めのミュージカルをできること、そして大阪から公演が始まることは個人的にとても嬉しいです。両親も観に来てくれるのですが、父がオ・サンシク課長のような人生でして、サラリーマン生活をして、その後事業を始めて今も現役でやっているのですが、そんな父に観てもらったときにどんな感想をもらえるのか、すごく楽しみです。
とにかく2025年の新年にふさわしい、1年を新しい気持ちで出発するのにふさわしいミュージカルが『ミセン』だととても感じておりますので、観に来てくださる方、楽しみにしていてください。劇場でお待ちしております。
■石川 禅(チェ・ヨンフ専務役)
前田公輝さんがチャン・グレという主人公を見事に演じてくれているのですが、チャン・グレという人物は非常に内向的で、感情表現を思い切り出す人物ではないんですね。こういう人物をミュージカルで主役にするというのは、各々の心のひだみたいなものをじっくり見て、洗い出してやっていかないと、この主人公が生きてこないということが往々にしてあるんです。私は今回、チェ専務という嫌な人物を演じるのですが、この人の心のひだ、優しい面、温かい面、厳しい面、怖い面も、リアルに演じていくことが、今この社会にある会社の組織そのものを演じることにもなる。それが、観に来てくださる、会社勤めをしていらっしゃるお客様の琴線に触れればいいなと思っています。私たちこれまで一生懸命走ってきましたが、とにかくこの舞台、総合芸術とはよく言いました。映像美術の素晴らしさで、稽古場で私たちがやっていた時とも全然違います。今回、上演回数が少ないです!良いらしいよって言ったときにはもう終わっていますから!ちょっと興味あるな、と思ったらすぐにチケットを買って観に来てください。
■安蘭けい(ソン・ジヨン次長役/グレの母役 2役)
言いたいことはみんなが言ってくださったので、本当にそうだなと思って聞いていました。私が思うのは、ワン・インターナショナルという男性社会で生きている我々女性の気持ちや、「ミセン」は少し昔の話なので、男尊女卑が今より激しく、今とはまた違うのですが、女性として生きていくことの難しさを私とアン・ヨンイちゃんが演じているので、ミュージカルファンは女性が多いので、とても共感していただけるのではないかなと思っています。男性の方が女性を大きく包んでいるかと思いきや、女性の方が男性を包んでいる、支えているんだなとこの作品をやりながら思います。
ミュージカル「ミセン」<大阪公演>は1月11日(土)〜14日(火)新歌舞伎座にて上演中。
<愛知公演>は2月1日(土)〜2日(日)愛知県芸術劇場大ホールにて、<東京公演>は2月6日(木)〜2月11日(火・祝)めぐろパーシモンホール 大ホールにて上演。
(シネマカフェ編集部)