猫との暮らしがこんなに素敵なものだったなんて…コロナ禍のアイルランドで出会った黒猫 腕に抱いた瞬間「時が止まった」

0

2025年06月13日 09:10  まいどなニュース

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

まいどなニュース

お迎えしたとき、茶色っぽい被毛だったあずきちゃん(画像提供:しゃも&黒猫あずきさん)

Xユーザー・しゃも&黒猫あずきさん(@chamodanro)と暮らすのは、小さな黒猫の女の子「あずき」ちゃん。出会いは2020年6月。コロナ禍が始まったばかりのアイルランドで訪れました。

【写真】生後推定2カ月の頃、すっかり甘えん坊に

イギリスの西側にある島国で、美しい自然と豊かな歴史を持つ国・アイルランド。そこで暮らす飼い主さんは、もともと猫が苦手だったといいます。あることをきっかけに、猫に魅了されるようになりました。

「スイス在住の友人が兄妹の猫ちゃんを迎えたんです。Xに日常をアップしていて、それを見ているうちに猫の魅力に惹かれるようになりました」

命を預かる責任や経済的な不安もあり、すぐには迎える決断ができなかったそうですが、シェルターから猫を迎えた同僚の話を聞くうちに、少しずつ心の準備が整っていったそうです。

「その同僚は医療従事者として、コロナ禍、多忙でつらい日々を送っていました。でも愛猫の存在に癒やされ、支えられていると話してくれたんです。長らく猫を迎えることを慎重に検討してきましたが、私も猫を迎えたいと心が決まりました」

しかし、シェルターは閉鎖中。譲渡できる猫もおらず、何カ月も待たねばならない状況でした。見学にこぎつけても、直前で他の見学者に先を越される日々が続きます。

「落ち込んでいたとき、同僚が里親募集の掲示板を見つけていくつか問い合わせてくれました。でも、なかなかタイミングが合わず、お迎えには至りませんでした」

ようやく同僚のもとに届いた連絡。それは「親戚の家で里親を探している子がいる」というものでした。場所は治安の悪い地域。同僚が同行してくれたおかげで、安心して足を運ぶことができました。

「到着した先は、荒れた住宅地にある一軒家。すると家の中から父親が小さな黒猫を抱え、子どもとともに出てきました。それが、当時生後推定2カ月だったあずきです。『抱っこしてみる?』と声をかけられ、あずきを腕に抱いた瞬間、私は時が止まったかのように固まってしまいました。すぐに心を奪われたんです。まさに運命を感じた瞬間でした」

その場で「お迎えします」と伝え、正式に譲渡を受けることに。あとからやって来た母親に、譲渡金の100ユーロを支払いました。

「母親は、子どもたちに『さあ、車に乗りな! 買い物に行くよ!』と言って、すぐに出かけていきました。私と同僚は、呆気にとられつつ、あずきをケージの中へ。そして静かに帰路につきました」

“あずきちゃんファースト”な毎日へ――成長の早さに驚く日々

あずきちゃんを迎えた日から、まるで運命が動き出すように、驚きと愛情に満ちた日々が始まりました。

「成長がとても早く、毎日が目まぐるしく過ぎていったため、細かいことはあまり覚えていません。ただ、初日から新しいトイレできちんと用を足してくれたことには驚きました」

友人からのアドバイスのおかげで、あずきちゃんの貴重な成長の軌跡を写真にしっかりと残すことができたといいます。

「『猫はあっという間に成長するから、たくさん写真を撮っておくといいよ』と友人に言われ、たくさん撮影しておいたのは本当に正解でした」

成猫になった今もかわいらしいあずきちゃんですが、子猫時代の無邪気さや愛らしさは格別だったと飼い主さんは振り返ります。その魅力は、「また子猫をお迎えしたくなるほど」と感じるほどだそうです。

一方で、以前は外への興味も強く、窓を開けるとすぐに出ようとするため、換気もままならない日々が続きました。抜け毛対策も兼ねて、掃除機を毎日かけるようになったといいますが、「それもまったく苦にならなかったです」と飼い主さんは微笑みます。

「小さいころには、居間の薄いカーテンをビリビリに破かれてしまったこともありました。何度もカーテンを交換し、最終的にはパネルカーテンを何枚か縫い合わせて、下の部分は縫わずにあずきが通れるように工夫したところ、それ以降は破られることもなくなりました」

あずきちゃんと暮らすようになってから、掃除の頻度が増えたことも、今ではすっかり自然な日常の一部になりました。最初は経済的な負担を心配していた飼い主さんですが、今では「何でもしてあげたい」という思いに変わったそうです。

「まるで我が子のように愛おしく感じています。今では質の良いごはんを選びたいと思うようになり、猫用ベッドも、あずきが気に入るものがなかなか見つからず、これまでに10個以上購入しています。あずきのためなら、出費も全く惜しくありません。おそらく、自分自身のものよりもあずきのものにお金をかけていると思います」

賢くて愛らしいあずきちゃん――今、飼い主さんが感じていること

あずきちゃんは現在4歳になりました。かわいらしい顔立ちの一方で、気の強さも持ち合わせているそうです。

「窓の外に猫を見かけると、怖がることなく立ち向かおうとします。一方で、裏庭に鳥のヒナを見かけたときには、そっと見守っていたこともあり、優しい心を感じました」

譲渡前の家庭では2匹の犬と一緒に暮らしていたというあずきちゃん。そのためか、飼い主さんがボールを投げると取りに行って戻してくれるなど、“犬のような行動”も見せてくれるといいます。

「知育玩具を難なく使いこなしてしまったときは、とても驚きました。単純なおもちゃでは満足できないようで、すぐに飽きてしまうようです」

そんなあずきちゃんとの暮らしは、飼い主さんの生活にも大きな変化をもたらしました。

「『あずきが家で待っている』と思うと、仕事を終えて寄り道をせず、まっすぐ帰るようになりました。以前よりも家で過ごす時間が格段に増えています」

猫と暮らす喜びを知らずにいた過去を振り返り、その時間すら惜しく感じるようになったといいます。

「猫との暮らしがこんなに素敵なものだったとは思ってもみませんでした。もしもっと早く、人生の早い段階で動物とともに暮らしていたら、私はもっと情緒豊かで、優しい人間になれていたのではないか―そんなふうに思うこともあります」

(まいどなニュース特約・梨木 香奈)

動画・画像が表示されない場合はこちら

    前日のランキングへ

    ニュース設定