DeNA・石田裕太郎(写真=萩原孝弘)◆ 勝ち星が伸びない右腕
これほどまでに勝敗と投球内容が一致しない投手も珍しい。
石田裕太郎は6月3日の楽天戦を終えた時点で、防御率1.93をマークし、先発ローテーションの一角としてクオリティースタートも10登板で8と文句のない数字を記録。それでも成績は3勝5敗。防御率だけを見れば勝ち越していても不思議ではない数字だが、現実は負けが先行している。
その原因は打線の援護に恵まれないこともポイント。先発投手がマウンドにいる間に味方打線がどれだけ得点を挙げたかを示す指標が援護率だが、石田はここまで60回2/3を投げて援護点はわずか14点。9イニング換算の援護率は約2.08となる。
これは単純に言えば、石田が7回を投げる試合なら味方打線は平均して1.6点しか奪えていない計算になる。
実際、石田の今季の登板内容を振り返ると、その数字が決して誇張ではないことが分かる。自身の開幕戦となった3月29日は8回に捕まり4失点したが、その後は敗戦を喫した試合での失点はトータル7。ちなみに勝利したゲームは3試合とも無失点となっている。
◆ コーチも「申し訳ない」
もちろん、野球は投手一人で勝敗が決まる競技ではない。打線の状態や相手投手との兼ね合いもある。確かに阪神の才木浩人、巨人の井上温大や竹丸和幸と相手エースやチームが苦手としている投手と投げ合っていることも原因とはなっている。
この過酷な現状に中井大介打撃戦術コーチも胸を痛めている。
「本当に裕太郎にはいつもいいピッチングをしてくれている中で、なかなか勝ちをつけてあげられないというのは、打線を担当しているコーチとして申し訳ないなって思っています」と率直な思いを吐露する。
一般的に守備の好リズムが攻撃に繋がると言われるが、石田の登板に関してはそのテンポに落ち度は感じさせない。中井コーチも「しっかりピンチをしのいで帰ってくれたり、チームの攻撃に流れや勢いが出るような抑え方をしっかりやってくれている」と右腕のピッチングを高く評価している。
だからこそ「いいピッチングをしてくれているからこそ、攻撃にうまくリズムを繋げていきたいんですけど、なかなかそれが……。特に裕太郎のときはそういうものが続いている」と歯がゆさを隠せない。
先発投手にとって理想的な援護率は4点前後とされる。仮に石田が平均的な援護を受けていた場合、ここまでの投球回数なら27点前後の援護があっても不思議ではない。「先に1点、2点取っていれば全然違う展開だと思う。早く1点取ってあげれば、より裕太郎は楽に投げられると思いますし、打線全体としてもしっかり考えていきたい」と中井コーチは責任者として対策を練ると前を向いた。
この不運な巡り合わせを打破し、次こそは右腕に笑顔の白星を届けられるか。打線の奮起が何よりも待たれる。
取材・文 / 萩原孝弘