限定公開( 2 )

アニメを見ている際「このキャラの髪型、どうなっているんだろう」とギモンに感じた事がある方はきっと多いはず。その中の代表格とも言える「アトム」の髪型を、粘土で再現してみせたのはフィギュア造形師の榎木ともひでさんです。
二本の角を思わせる特徴的な髪型は、二次元だからこそ再現できるものと思っていましたが、榎木さんが投稿した写真に写るアトムの髪型は、タテ・ヨコ・ナナメ、どの角度から見ても破綻なく成立しているように見えます。これはすごい……。
榎木さんのXへの投稿によると、本作は「ペンローズの三角形」に続く「不可能図形」を粘土で再現したシリーズの最新作。
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過去にも「スネ夫」や「島村ジョー」、「ブラック・ジャック」といったさまざまなキャラクターの不可思議な髪型を立体で表現しており、本作は前作から約1年半ぶりの新作となります。
今回の「アトムヘアー」を完全再現するにあたり、大きな役割を果たしているのが、使用されている塗料。光の反射を極限までカットする世界一黒いとされる塗料「真・黒色無双」を使用することで、立体物でありながら影や奥行きを感じさせず、まるで二次元のイラストがそのまま現実世界に飛び出してきたかのような錯覚を生み出しています。
アトムの髪型をフィギュアで再現した経緯について榎木さんに伺うと、以前から構想はあったものの「突破できる完全なアイデア」が浮かばず、長らく放置していたものとのこと。「正面のツノが前に出ていれば、見る角度を変えると左右に振れる」という理屈はわかっていたものの、それを自然に見せる造形方法にようやくたどり着いたのだといいます。
制作にあたっては、アトムの象徴的な2本のツノが、見る角度を変えても絵で見た印象のままになるよう徹底的にこだわって作られています。特に正面のツノは、右から見るのと左から見るのとで位置が変わるという、まさに「不可能図形」の立体化を見事に成功させています。いったいどうなっているんだ……。
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投稿の返信欄には「完璧」「これはすごい」と、その魔法のような造形に対して称賛の声が多数寄せられました。しかし、榎木さん自身は作品の出来栄えについて、少し意外な後悔を口にしています。
榎木さんにとって一番やりたいのはあくまで「ギミックを思いついた髪の毛の造形」であり、顔はその説明のために作らざるを得ない部分でした。そのため、「早く完成させたい思いが優って、顔の造形をおざなりにしてしまったところを完成してからちょっと後悔しています」と明かしてくれました。形的には納得しているものの、細部の手間を少し省いてしまったという職人ならではの反省点があるようです。
なお、インタビューの際、榎木さんはその「不可能図形」の秘密を着色前のフィギュアでそっと明かしてくれました。
真っ黒に塗られた状態や正面から見ると完璧なアトムヘアーですが、背後から見るとこの通り。実は角の数の合計を「3本」にすることで、見る角度によって2本のツノに見えるあの不思議な髪型を立体として成立させていたのです。
アトムの髪型は、原作者である手塚治虫氏自身の髪の寝癖がヒントになったと言われていましたが、二次元ならではの嘘を三次元のギミックと特殊な塗料の合わせ技で見事に成立させた圧倒的なアイデアによって、アニメ・漫画界のひとつの謎が解けた瞬間と言えるかもしれません。
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<記事化協力>
榎木ともひでさん(@eyewater_e)
(山口弘剛)
Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By 山口 弘剛 | 記事元URL https://otakuma.net/archives/2026051502.html|
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