「トランプ・モバイル」の独自端末(ウェブサイトより) 【ニューヨーク時事】トランプ米大統領の一族が運営する企業が今週、米国製だとして発表した独自のスマートフォン端末を巡り、実際には中国製ではないかとの疑いが強まっている。トランプ氏が国内の製造業復活を掲げ、米アップルにスマホを米国内で生産するよう圧力をかける中、ダブルスタンダードだと批判する声が出る恐れがありそうだ。
一族企業のトランプ・オーガニゼーションは、「トランプ・モバイル」と銘打った携帯電話サービスを開始。「米国で設計・製造された」とする金色の独自端末「T1」も499ドル(約7万2600円)で売り出すと明らかにした。
ただ、米国でスマホ生産を手掛ける企業の幹部は米メディアに対し、T1を製造しているのは中国の電子機器大手、聞泰科技(ウイングテック)だとの見方を示した。米国製という表示は偽りだとして、「連邦取引委員会(FTC)が間もなく調査に入るだろう」との見通しも語った。
報道によれば、T1はウイングテックが製造するスマホの別バージョンの可能性が高いとみられている。この機種は米通信大手TモバイルUSがT1の半額ほどの約250ドルで販売。米インターネット通販サイトのアマゾン・ドット・コムでは169ドルで売られている。
トランプ氏一族は近年、SNSや暗号資産(仮想通貨)といった領域にビジネスを広げており、携帯電話も事業に加えた格好だ。いずれも政府の規制の影響が大きく、利益相反を懸念する声がある。