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ある“事件”がきっかけで我が子の発達障害を知った…母親たちの苦悩と願い

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2019年06月19日 11:30  AERA dot.

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写真※写真はイメージ(gettyimages)
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「発達障害」という言葉は、広く知られるようになった。当事者ならずとも、身近な周囲の人にその特性を疑ったり、「自分もそうかも」と考えたりした経験のある人も少なくないはずだ。だが、発達障害について偏見なく理解しているかと尋ねられたら、自信を持ってうなずける人は少ないだろう。発達障害とはなにか、なぜ生きづらいのか。どんな支援が必要か。子どもと大人の現場から考えたい。

【発達障害の主な種類/当事者の親の声などはこちら】

*  *  *
 息子が「自閉症スペクトラム(ASD)」だと会社員の女性(37)が知ったのは、昨年2月の「事件」がきっかけだった。

 小学5年生だった息子はその日、自宅で父親と口論になり、はだしで外に駆け出した。同じようなことは過去に数回あったが、この日は虐待を疑った近所の人が通報。息子は警察に保護された。事件後、役所の子育て支援課から児童精神科の受診をすすめられた。

「小さい頃からずっと育てにくさを感じてはいたんです」

 と女性は言う。保育園の頃は、毎朝「行きたくない」と必ず大泣きした。一度登園してしまえばケロッと一日を過ごせていたから、「場面の切り替えが苦手」というASDの特性によるものだったのだろう。だが、当時は自分も周囲も「甘えん坊」だと捉えていた。就学後は机の上が整理できず、勉強も遅れがち。知能検査も受けたが、結果は「ボーダーライン」。担任やクラスの友だちが常に目をかけフォローしてくれたおかげで、学校生活はなんとかしのいでいた。しかし、家では徐々に暴言や暴力が激しくなっていった。

「本人は、ちゃんとしたいという理想と、うまくやれていない現実とのギャップに苦しんでいたんでしょう。『最低限こうでなくては』とか『普通はこうだ』と押しつけがちな夫とも衝突することが増えていました」

 そしてあの「事件」は起きた。

 文部科学省の2012年の調査では、公立の小・中学校の通常学級に通う子どもで発達障害の可能性があるのは6.5%とされる。1クラスに1人か2人はいる計算だ。

 05年に施行された発達障害者支援法により、ASDや注意欠陥・多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)の存在が広く知られるようになり、発達障害を疑ったり、診断を受けたりするケースも年々増加している。アエラが実施したアンケートにも、多くの悩みが寄せられた。

 親からは「対応が難しい」「一般的な振る舞いができないので親子ともに自信をなくしている」といった悩みのほか、「育て方のせいだと夫や義理の両親から責められてつらい」「夫が全く子どもの障害を認めようとしないため、相談や交渉は一人でやるしかない」など孤立感を訴える声も目立った。

「(当事者が)同級生やその親から『KY』(空気が読めない)『バカ』など心無い言葉に傷ついている」「担任が学習障害のある息子の目の前で『◯◯くんは、努力してもできないから、みんな諦めて』と話したために不登校になってしまった」など、周囲の理解や支援が追いついていない現状も透けて見える。

 こうしたなか、確定的な診断名が出ることを恐れ、受診をためらう人も少なくない。

 冒頭の女性も通報事件がきっかけで受診はしたものの、「(発達障害という)レッテルを貼られると、自分自身も周囲も障害という枠の中でしか息子を見られなくなるのではないか」と不安に駆られたという。だが実際は、診断を受けて安堵した。

「『これからどう関わっていけばいいか、一緒に考えていきましょう』と言われて、ああ、手探りで訳のわからない状態から抜け出せると」(女性)

 一方、小学1年生の娘を持つ自営業の女性(43)は、「ASDとADHDの重複」を疑いながらも受診には至っていない。娘はASDの特性のひとつとされる「想定外の事態への強い拒否感」がある。仕事で遅くなったからと夕食のメニューを急遽変えただけでも、長い間泣きわめく。服装へのこだわりも強く、どんなに出かけるはずの時間を過ぎていても着替えを急ぐことができない。実は夫にも「こだわり」と「衝動性」が見られ、女性は7年前から臨床心理士のカウンセリングに通っている。そこで「夫は受診すれば診断名がつくレベル。おそらく娘さんも同じ」と言われた。

 夫は人の気持ちを想像することが苦手。突然、自分がいいと思うおもちゃを買って帰り、娘から「こんなの欲しくない」と言われ大げんかになることも。2人の仲裁で女性はヘトヘトだ。しかし、そんな状況を保育園の担任に話しても「信じられません。園ではちゃんとしてますよ。お母さん、もっと甘えさせてあげてください」と言われた。

「診断名がつくかつかないかのいわゆる『グレーゾーン』のあるあるですよね。でも、保育園の園長からは『受診は待った方がいい』と言われました。『いま診断名がついて特別支援学級に行くと、通常学級に戻れないから』と。診断がついたところで、『ああやっぱり』となるだけだろうと私も思います」(女性)

 彼女が診断名より欲しいのは、少しでも状況を改善するための具体的なアドバイスや支援だ。発達障害に詳しいあきやま子どもクリニックの秋山千枝子医師もこう話す。

「診断名がつくかどうかにかかわらず、本来は親御さんが育てにくさを感じた時点で支援を開始してほしい」

 発達障害の難しさは、医師だけではなく、他の支援機関や学校などと連携し「チーム」で対応する必要があることだ。そんな体制を持つ医療機関は限られ、評判が高いところほど、受診予約は半年、1年先まで埋まっている。療育を受けられる児童発達支援施設(未就学児対象)や放課後等デイサービス(小学生以上高校生まで)も増えてはいるが、定評ある施設は空きが出るまで1、2年待ちがザラ。

 3歳でASDの診断を受けた娘を2年待ってようやく児童発達支援施設に入れたという女性(36)は、来年の小学校進学に不安を募らせる。

「行政の窓口に相談しても、『学校と直接話してみてください』と言われて終わりでした」

 具体的な支援を受けられる場所と、先の見通しが欲しい──。当事者に共通する願いだ。(編集部・石臥薫子)

※AERA 2019年6月24日号

このニュースに関するつぶやき

  • 「園ではちゃんとしてますよ、もっと・・・」何か同じ事を言われてたな・・・
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  • ほんとに発達障害って子供と保護者への支援しかないよね。発達障害は大人になれば治るとでも思っているのかしら?発達障害者が働いて、自立するには周囲の理解や支援が必要なのにね。 https://mixi.at/a9ZOSng
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