正月太りを「腸活」で予防! ポイントは高発酵性食物繊維の摂取

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2023年12月29日 10:01  マイナビニュース

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今年も残すところあと数日となり、「お正月はおせち料理などを食べながらゆっくりと過ごすそう!」と考えている方も多いのではないでしょうか。そんなお正月の悩みゴトとしてよく聞くのが「お正月太り」です。



お正月太りの対策としては、食べる量を減らす、運動をするなど様々ありますが、実は今、大腸にいる腸内細菌が作り出す「短鎖脂肪酸」の力によるお正月太り予防が注目を集めています。



本稿では、お正月太りの原因と予防法について、腸内環境を起点に解説したいと思います。


○お正月太りの原因とは



ご存知の方も多いと思いますが、お正月太りとは、年末年始の休暇明けに急激に体がむくむことや、体重が増加することです。



お正月と言えば「おせち」と「おもち」ですが、おせちは保存期間が長く想定されている料理。そのため防腐のために、砂糖の量が多い料理がほとんどで、高カロリーな食事と言えます。おもちも何個でも食べられるという方も多いのではないでしょうか。



おもちは2個で約お米1杯分のカロリーと、思っている以上に高カロリーな食べ物です。



また、年末年始は冬の一番寒い時期でもあり、外に出て体を動かす機会が減少します。寒すぎて、こたつから出られない!と、普段買い物に行くけれど、通販で済ませてしまうなんて人も多いのではないでしょうか。



冬の寒い気候も、正月太りにつながる原因のひとつとして考えられます。



このように、お正月太りは、新年会、忘年会、帰省などでご馳走を食べる機会が増えるだけでなく、いつもよりも活動量が少なくなるなどの生活習慣の乱れが原因で起きるといわれています。

○腸活の新トレンド「短鎖脂肪酸」とは



ヨーグルトや乳酸菌飲料、納豆などから腸内環境を整える「腸活」が活況な今、腸内環境に気を遣う方も多いのではないでしょうか。実は、腸活は便秘以外にもダイエットにも効果があると言われています。



そんな、腸活の新トレンドとして注目を集めるのが、腸内環境で生み出される「短鎖脂肪酸」です。



短鎖脂肪酸とは、大腸において、食物繊維やオリゴ糖を腸内細菌が発酵することにより産生される有機酸を指します。短鎖脂肪酸には、酢酸、プロピオン酸、酪酸などが含まれ、最近の研究で様々な生理作用があることも分かってきました。


○短鎖脂肪酸がお正月太りに効果のある理由/メカニズム



ここからは短鎖脂肪酸がお正月太りを予防に寄与する理由を効果と合わせて説明していきます


○理由(1)大腸のぜん動運動を促進して便通改善



短鎖脂肪酸のうち酪酸は腸内のセロトニンを合成する酵素を増やす作用があります。セロトニンは腸管神経に作用してぜん動運動を活発化させるため、便秘の改善につながります。



便秘はむくみの原因となるので、味の濃い食べ物を食べる事が原因の一つである正月太りには特に効果を感じやすいのではないでしょうか。

○理由(2)食欲を抑えて食べ過ぎを防ぐ



短鎖脂肪酸はPYYやGLP-1など、満腹感をもたらす消化管ホルモンの分泌を促進します。これらのホルモンの分泌が促進されることで満腹感が長く持続し、食べ過ぎを抑制してくれます。

○理由(3)脂肪の蓄積を抑制する



短鎖脂肪酸のうち酢酸やプロピオン酸は体内に蓄積された余計な脂肪を蓄えている「白色脂肪細胞」にはたらきかけ、糖や脂肪の取り込みを抑制し、脂肪細胞の肥大化を抑制してくれます。

○理由(4)代謝を促進してエネルギー消費を促す



短鎖脂肪酸は交感神経を活性化し、エネルギー消費を促進する作用もあります。エネルギーがより燃えやすくなることで、同じ量を食べても体に蓄積されにくくなります。

○短鎖脂肪酸の効果的な増やし方



このように健康に良い効果やダイエット効果のある短鎖脂肪酸ですが、どのような方法で増やすことができるのでしょうか。そのカギは食物繊維にあります。

○短鎖脂肪酸を増やすためには食物繊維の摂取が欠かせない!



短鎖脂肪酸はお酢、チーズ、バターなどの食品にも含まれています。



口から直接摂取しても小腸で吸収されるため、大腸には到達しませんし、健康に関わるほどの量はなかなか摂ることができません。



そのため、短鎖脂肪酸を効率よく増やすためには、食物繊維やオリゴ糖などを豊富に含む食品を摂取し、それらを腸内細菌の力で発酵させて「大腸内で自らつくり出す」方法が最も効果的なのです。



その中でもおすすめなのが「高発酵性食物繊維」です。

食物繊維は皆さんも聞いたことがある栄養素だと思いますが、今回は効率的に短鎖脂肪酸を産生させる「高発酵性食物繊維」を紹介します。

○そもそも、食物繊維とは



高発酵性食物繊維の説明の前にまずは、食物繊維の前提知識について解説します。


食物繊維は小腸で消化・吸収されずに、腸まで達する食品成分です。食物繊維は、便秘の予防をはじめ、多くの生理機能が明らかになることで、近年では第6の栄養素として注目されています。



最近は腸内細菌の重要性も認識されつつあり、腸活に取り組む人も増え、食物繊維を意識して摂っている方も増えています。



食物繊維は大きく「不溶性」と「水溶性」の2種類に分けられ、それぞれ異なる役割を持ちます。

○水溶性食物繊維



腸内細菌(善玉菌)のえさになって、腸内環境を整えます。血糖値の上昇やコレステロールの増加を抑えます。

○不溶性食物繊維



水分や老廃物などを吸着して、便のかさを増やします。腸を刺激してぜん動運動を活発化し、排便を促します。今回紹介する高発酵性食物繊維は水溶性食物繊維の中に分類されます

○おすすめの食物繊維は「高発酵性食物繊維」



食物繊維は水溶性食物繊維と不溶性食物繊維に分けられるというのは先述した通りですが、腸内細菌の餌となる水溶性食物繊維のなかにも、腸内で善玉菌の餌になりやすい発酵性のものと、餌になりにくい非発酵性のものがあります。



つまり、高発酵性食物繊維を積極的に摂取することで、先述した短鎖脂肪酸の恩恵を受けやすくなるのです。


これまでは、食物繊維は量で語られることも多かったのですが、お正月太りの予防などの観点では、高発酵性食物繊維かどうかを意識してとることが重要だと言えます。また、高発酵性食物繊維の代表としては「グアー豆食物繊維」「イヌリン」「水溶性ペクチン」などがあげられます。


○「高発酵性食物繊維」具体的に含まれるたべものは豆、穀類、果物 



では、高発酵性食物繊維を摂取するには具体的にどのような食品を食べると良いのか紹介します。

○果物



私たちが普段食べている、キウイやリンゴ、オレンジなどの果物に高発酵性食物繊維は多く含まれています。果物内の食物繊維として、ペクチンという高発酵性食物繊維が含まれているのです。



中には、ペクチン含量が少ないフルーツも。いちご、ぶどう、モモには含まれるペクチンの量が少ないことがわかっています。そのため、種類を意識して選ぶことが重要です。



また、くだものには豊富なビタミンが含まれています。ダイエットと合わせて、肌質改善効果も期待できます。

○豆類



豆類には食物繊維が多く含まれています。ゆでた小豆には同カロリーでごぼうの2倍近くの水溶性食物繊維が含まれているほど。



その中でも、高発酵性食物繊維を含むのが「グア豆」。グア豆にはグアー豆食物繊維という、高発酵性食物繊維が含まれています。また、食物繊維意外にも健康に良いサポニン、ポリフェノールなどの機能性成分が多く含まれているのです。



グア豆はインドの輸入ショップをはじめ、最近ではコンビニエンスストアの商品でも使用されています。

○穀物



イネ科に属する植物の種である穀物にも高発酵性食物繊が含まれています。穀物のなかでも、もち麦、オートミールなどに含まれる食物繊維「β‒グルカン」が発酵性食物繊維といわれています。



もち麦やオートミールは、糖質が低くダイエットに良い食べ物として知られていますが、腸内環境にも良いことがわかっています。



いつも食べているお米をもち麦やオートミールに置き換えるなど、普段の食事に取り入れやすいのが穀物です。



上記を参考にお正月には高発酵性食物繊維を効率的に摂取しましょう!

○おわりに



運動不足や外食の機会が増えることによるお正月太りには、腸内で生成される代謝物である「短鎖脂肪酸」を増やすことが効果的です。「短鎖脂肪酸」は脂肪蓄積を抑制し、代謝を上げるなど、ダイエットに効果のある作用があります。



このようなダイエットのカギとなる短鎖脂肪酸を身体に増やすために大事なのが、「高発酵性食物繊維」。高発酵性食物繊維を含む豆や果物を積極的に食べ、効率よくお正月太りを予防、解消しましょう!


○著者プロフィール:石原則幸


1989年3月 三重大学大学院農学研究科修士課程農芸化学専攻修了、2005年3月 三重大学大学院より博士(学術)を授与、民間企業にて機能性食品に関する研究開発に従事。2022年12月より三重大学大学院生物資源学研究科 連携教授。機能性食品素材である食物繊維、緑茶カテキン、鶏卵由来の生理活性成分に関連した商品化に携わっている。また、腸内細菌や栄養学の分野での知見も深い。

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