またもFL5型ホンダ・シビックRが席巻。南米王者モンテネグロが初優勝/TCRヨーロッパ第4戦

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2024年07月16日 17:50  AUTOSPORT web

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昨季の南米大陸王者イグナシオ・モンテネグロ(ALMモータースポーツ/FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR)がヨーロッパ・シリーズ初優勝を飾っている
 早くも折り返しを終えた2024年TCRヨーロッパ・シリーズ第4戦が7月4〜6日にベルギーのスパ・フランコルシャンで開催され、トラックリミット違反が多発した混沌の予選から週末の決勝2ヒートを含め、すべてのセッションをFL5型ホンダ・シビック・タイプR TCRが席巻。

 予選では“幻のポールシッター”と化したルベン・ヴォルト(ALMモータースポーツ/FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR)がレース1を制覇すると、続くレース2ではイグナシオ・モンテネグロ(ALMモータースポーツ/FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR)が最初にチェッカーを受け、昨季の南米大陸王者がヨーロッパ・シリーズ初優勝を飾っている。

 今季もタイトル候補として挑む2022年王者フランコ・ジロラミ(モンラウ・モータースポーツ/クプラ・レオンVZ TCR)を軸に、スパで開催された同戦にはさらに2台のクプラ・レオンVZ TCRがグリッドに加わることに。

 フランス出身の実力派兄弟でもあるジミー・クレーレは、ニコラ・バルダン(バルダン・グループ・バイ・コムトゥユー/アウディRS3 LMS 2)とのラインアップに加わり新型クプラでシリーズに復帰。一方、本家スペインで長年クプラ・レーシングの開発ドライバーを務めてきたジョルディ・ジェネの子息であるエリックも、ジロラミや僚友ヴィクトル・ダビドフスキーとともにモンラウ・モータースポーツの3台目を託され、シリーズデビューを果たすこととなった。

 そんななか迎えた予選では、Q1、Q2の両セッションともにトラックリミット違反が続く展開となり、まずはオーレリアン・コンテ(SPコンペティション/クプラ・レオンVZ TCR)がモンテネグロらを抑えてターゲットタイムを記録する。

 続くQ2では首位ヴォルトに対しレベンテ・ロソンツィ(ALMモータースポーツ/FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR)やルベンとフェリペのフェルナンデス兄弟(ゴート・レーシング/FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR)、そして元王者で選手権首位ジロラミらが挑む構図となる。

 しかし、ジロラミはすべてのラップが削除され12番手に。フェルナンデスも最終アタックラップでのミスやベストラップ削除などが響き、セッション終了でポールポジションを射止めたのはヴォルトとされた。

 ただしフェリペ・フェルナンデスのラップが誤って削除されたことを確認したスチュワードは、直後にリザルトの改訂を通告し、あまりにも多発したトラックリミット違反を事由としつつ、彼がヴォルトにわずか0.055秒差でレース1の最前列スタートを切る権利を回復させた。

 これでフロントロウはフェリペとヴォルトのFL5シビックR、セカンドロウはコンテとジロラミの新型クプラが並ぶ条件となったレース1は、オープニングラップでそれぞれ偶数列発進のドライバーがオーバーテイクを決めると、続くラップのオー・ルージュではヴィクトル・アンダーソン(MA:GP/リンク&コー03 TCR)とルベン・フェルナンデスのシビックが接触し、ここで早くもセーフティカー(SC)が導入される。

■雨が降る難しい条件でモンテネグロがTCRヨーロッパ初勝利
 その再開後もリードを維持したヴォルトに対し、フェリペを追い抜いて2番手に浮上したジロラミだったが、スプリント9周のチェッカーで約1.5秒届かず。まずはシビックRのヴォルトが今季初勝利を手にした。

「チームは信じられないほど素晴らしいクルマを与えてくれ、40kgの補正重量があったにも関わらずドライブするのが本当に楽しかった」と喜びを語ったヴォルト。

「ターン1ではフェリペよりレイトブレーキングを試みたがうまくいかず、オー・ルージュで彼のスリップに入り、続くケメル・ストレートでアウト側に振った。充分なスペースを与えてくれた彼に感謝している。練習走行と予選ではパワーステアリングに問題があったが、レースでは問題なかった。選手権争いに復帰できたし、これで不運が消えたことを願っている」

 続いて土曜13時を前に開始されたレース2は、前戦ザルツブルクリンクに続くリバースポールから出たジョバンニ・スカマルディ(SPコンペティション/クプラ・レオンVZ TCR)が全車に抜かれるまでグリッドを離れられず、いきなりアドバンテージを消失する事態に。

 これで首位に躍り出たのがロソンツィのシビックRで、その背後では路面にウエットパッチが残るコンディションながら、MA:GPのアンダーソンやジロラミ、コンテらがオー・ルージュで並走バトルを繰り広げる。

 後続では下位のクラッシュでふたたびSCが発動し、トラックの特定エリアでは雨も降る難しい条件と化すなか、2周目にロソンツィの前に出ていたモンテネグロが、延長9周を走破してTCRヨーロッパ初勝利を獲得する結果となった。

「ついに勝てた! 今季が始まって以来、表彰台にはいつも上がっていたが、ここまで本当に運が悪かったからね」と、まずは欧州武者修行初年度で勝利の瞬間を迎えたTCRサウスアメリカ王者の19歳。

「レース前には必ずチームミーティングを開いて話し合いをし、ここALMモータースポーツではチームオーダーなしでレースができるけれど、今はクリーンに走ることだけを心掛けている」と続けたモンテネグロ。

「レヴィ(ロソンツィ)を攻撃していたら、彼がターン1でミスをしたので追い抜くことができた。あとはラップごとにミラーを見て(ヴィクトル・)アンダーソンがどれだけ離れているか、何秒遅れているかをチェックしていたんだ。終盤の最終セクターは完全に濡れていてスリックタイヤを履いていたから、ラップはちょっとクレイジーだったよ!」

 これで残すは2戦となった2024年TCRヨーロッパ・シリーズ。続く第5戦は夏休み明けとなる9月6〜8日にチェコ共和国のブルノ・サーキットで争われる。

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