豊田章男会長「失礼な態度をしてしまい大変申し訳ございませんでした」1年越しでル・マンのトロフィーを受け取る

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2024年07月22日 19:10  AUTOSPORT web

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ピエール・フィヨンACO会長から『スピリット・オブ・ル・マン』のトロフィーを受け取る豊田章男トヨタ自動車会長
 7月19日、ル・マン24時間レースを運営するACOフランス西部自動車クラブのピエール・フィヨン会長が、トヨタ自動車の豊田章男会長と面会。2023年のル・マン24時間レースの場で手渡す予定となっていた『スピリット・オブ・ル・マン』のトロフィーを贈呈した。

■今年のル・マンを見て「もう一度頭を下げてでも賞をいただきたい、と思った」

 この賞はチームやメーカーのディレクターを含む“耐久レースの価値を体現する”人々を表彰するもの。日本人では通算29回のル・マン出場を誇る寺田陽次郎氏をはじめ、ニッサンのグループCエンジンを開発した後、東海大学を率いてル・マンに挑んだ林義正氏、元TMG代表を務めた木下美明氏の3名が過去に同アワードを受賞している。

 豊田会長の受賞は、100周年大会を前にした2023年5月29日にACOが発表していた。授賞式はル・マン開催期間中のACO定例会見の場で行われるのが通例だが、豊田会長は記者会見には登壇したものの、正式な授賞式が行われることはなかった。このため、今回は1年越しのトロフィー授受、そして“正式受賞”となった。

 昨年のル・マン100周年大会は、テストデー直前の“ルールにないBoP(性能調整)変更”が物議を醸していたタイミングだった。豊田会長はACO記者会見登壇後、ドライバー『モリゾウ』として『トヨタイムズ』のインタビューに答え、「そこまでして他のチームを勝たせたいのか? と思ってしまった」「政治的な戦いはやりたくない」などと語っていた。

 今回の1年越しのトロフィー授与にあたり、フィヨン会長と豊田会長からは、以下のコメントが発表された。昨年、両者の間にあったわだかまりが解消され、良い関係性に向かっていることを印象づけるものとなっている。

■ACO ピエール・フィヨン会長

「直接スピリット・オブ・ル・マン賞をお渡しすることができ、とても嬉しく思います」

「本当は昨年、受賞式をしたかったのですが、その理由はよく理解しています。過去は過去というふうに言いたいと思いますし、今日の機会を本当に嬉しく思います」

「モリゾウさんがモータースポーツのために、ル・マンのために、そして耐久レースのために、今までさまざまな取り組みと多くの貢献をしてくださり、この賞に値する方だと確信しています。こうして、この賞を正式にお渡しすることができ、とても光栄に思います」

「モータースポーツで重要なことは、ル・マンのDNAでもありますが、マニュファクチャラー・メーカーに対して、革新の可能性、将来の市販車を考える機会を提供する場であることだと思っています。これが、ル・マンの過去100年のストーリーでもあり、多くのイノベーションが生まれてきました」

「これからもトヨタは道を示してほしいと思っていますし、モビリティの未来を一緒に考えていきたいです。カーボンニュートラルに向かっても、一緒に進んでいけたらと思っております」

■トヨタ自動車 豊田章男会長

「昨年は失礼な態度をしてしまい大変申し訳ございませんでした」

「スピリット・オブ・ル・マンは、モータースポーツに関わるすべての方を代表して受け取るものだと思っています。ドライバーやエンジニア、メカニック、マーケティングも含め、サポートいただくすべての方々を代表して受賞するにあたり、昨年はどうしてもポリティクスに関わると感じ、受け取ることができませんでした」

「しかし、今年のル・マン24時間レースの最後の1時間を見ながら、もしお許しいただけるのであれば、もう一度頭を下げてでも賞をいただきたい、と思ったのが正直な気持ちです」

「スピリット・オブ・ル・マンは非常に伝統のある賞ですので、今後もモータースポーツに貢献することによって、『モリゾウに賞をあげてよかった』と思っていただけるよう、一層努力してまいります」

「クルマ好き、運転好きがエキサイトしてくれるモータースポーツであってほしいと思います。それはトヨタだけではできませんので、フィヨンさんとであれば、すぐに答えはなくても、何かできそうな気がしております」

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