GSアライアンス、テスラよりも先にEVを開発した日本発のEV復活を目指すe-Gle Techを設立 GSアライアンスは6月17日に、EV(電気自動車)を開発・製造する企業として「e-Gle Tech」を設立したことを発表した。
その他の画像はこちら●インホイールモーター技術を使ったEVを開発・製造
e-Gle Techは、米テスラに先がけてEVを開発した慶應義塾大学の名誉教授(工学博士)である清水浩氏が、2004年に開発した8輪EVのコンセプトモデル「Eliica(エリーカ)」で採用した、インホイールモーターの技術を用いるEVを開発・製造を目指す。
インホイールモーターは、ホイール内にモーターを搭載し、ギアを介さずに直接駆動させることによって、従来の駆動モーターシステムと比較して効率的であり、省スペース化(バッテリービルトイン式フレーム)や車両設計の自由度向上、燃費、航続距離の向上といったメリットがある。
同技術を採用した「Eliica」は、停止時から時速160kmまでの加速でポルシェ 911ターボを上回り、最高速度は時速370kmに達するスーパーカー顔負けの性能を有するEVだった。
「Eliica」を開発した清水氏は、慶應義塾大学発のベンチャー企業としてEVの普及を目指す「シムドライブ」を設立し、世界初のEV量産企業になることを目指したものの、インホイールプラットフォームの採用は既存の自動車産業にとって車体形態のすべてを変えることを意味し、あまりにもハードルが高すぎたことや、日本企業の閉鎖的な思考からの続く協力者の不在、量産に至るまでの資金不足といった理由から量産には至らず、世界初のEV企業としてのポジションをテスラに譲ることとなっている。
インホイールモーターには、ばね下重量が重くなり乗り心地が悪くなる、1基のモーターが故障したら危険、振動(衝撃)に弱い、コストが高くなるといった課題があったものの、現在はそれらも解決されたという。量産には至らなかったものの、清水氏はインホイールモーターを使用したEVの試作車をこれまでに数多く開発しており、うち9台は公道を走行できる認証も取得している。
今回、設立されたe-Gle Techは、清水氏による最先端のインホイールモーター、バッテリービルトイン式フレーム方式の技術と、GSアライアンスの最先端のバッテリー技術を組み合わせることで、航続距離のさらなる向上やEVの低価格化も目指す。