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みなさんは、いつまでも子離れできない親のせいで子どもが不幸になった、という話をよく聞きませんか?
例えば、いい年して親がいないと何もできない大人になったり、結婚しても親にべったりでパートナーが困ったり……。自立できないのは、非常に危険です。
そこで、保育士、そしてソーシャルワーカーとして子育て時のママ&パパのケアに携わってきた岸本元気さんから、親自身が上手に子離れするためにはやめた方がいいことを教えていただきました。
ぜひ、この記事を参考に、よりよい親子関係を築いていってくださいね!
■子離れできないのは「子どもと同じ」と思う親!
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まず、子離れのために、幼稚園から小学校高学年までの子どもには、たくさん経験させないといけないステップがあります。
それは、”同じ → 違い → 離れ”といったステップ。簡単に言うと、みんなと一緒に同じ体験をすること、友達や親との違いを受け止めること、友達や親と離れることを指します。
みっつめに”離れ”があることからわかるように、このステップは子どもだけが経験すべきものではありません。親自身も一緒に経験していくことが、将来的な子離れへもつながるのです。
そして実は、親が子離れできないのは、ステップ2の”違い”を十分に満たしていないことが原因!
子離れできない親は、「子どもと自分は同じである」と感じているからです。親子でも別の人間なので、自分の分身を求める親はやっぱり子どもに依存しがちになりますよね。
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しっかり「子どもと自分は違う生き物」ということを受け止めて、子離れしていくために親が避けるべき行動は以下の通りです!
■子離れできなくなる親のNG行動5パターン
(1)ことあるごとに「私に似て」と言う
「あなたが運動が苦手なのは、私に似たからよね……」「この子、私に似て、絵を描くのが好きなのよ」というような言葉で、いつまでも子どもを呪縛していませんか?
もちろん、親子は似ていて当然です。しかし、全てが同じというわけではありません。似ているところもあり違うところもあります。
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いつまでも口にしていると、知らず知らずに「この子は私と同じ」という暗示をかけてしまいやすいです。すると、子どもと親との違いを受け入れられなくなってしまいます。
(2)「みんなから好かれるようになりなさい」と言う
また、「みんなから好かれる子になりなさい」と教え込むのも危険です。
この言葉を親から言われ続けた子どもが、誰かに好かれるため、必死に相手に合わせようとしたり、人の顔色を伺って自分を抑え込んだりする様子は、決して楽しそうに見えません。
子どもに伝えるなら「どんなお友達のことも好きになろうね」がベターです。自分の子どもは努力していても、他の子が好意を示してくれないことはよくあります。
それを知って親が感情的になり、「うちの子かわいそう」などと思い込むと、心配しすぎて子離れできません。
(3)他の子と違っていると不安になる
字の書き方や逆上がりなどの場合、上手な子のやり方を真似することは大切ですよね。それは、そこにうまくいくやり方があるから。
ただし、その子に合うかは別問題です。子どもは、自分なりの方法を見つけて、試してみる能力を持っています。にも関わらず、他の子と違うと不安を感じるのは子どもではなくて親です!
他の子と違うやり方をしても、見守ってあげてください。子離れするためには、自分の子と他の子の違いを受け入れることが絶対に必要なのです。
(4)子ども同士のことに口を出す
また、親が子どもの遊んでいる場にいると、つい注意をしてしまったり、「こうやるんでしょ」とおせっかいを焼いてしまいがちですよね。
もちろん怪我や事故につながるような危ないことの注意は大切です。しかし、親の注意やおせっかいは、大人が想像する以上に、子どもの印象には残ってしまうもの。
なるべく、本人たちにまかせるようにしましょう。さらに、親の役割を”関わること”から”見守ること”へシフトさせていくこと、これがスムーズな子離れへとつながっていくのです。
(5)「●●してあげたでしょ」と親の期待を押し付ける
最後のNGは、「さっき、やってあげたでしょ」「この前買ってあげたでしょ」「おやつならさっき食べたでしょ、だから我慢しなさい」といったような注意をすることです。
子どもに我慢させるには効果的な言葉かもしれません。
しかし、「●●してあげたでしょ」は「親として●●したのだから、子どもはこうするべき」という見返りを期待する気持ちです。子どもも意思があるので、その期待通りに動いてくれるとは限りません。
期待と違うと感じると、厳しく注意してしまったり、イライラしてしまったりするので、子離れのために「●●してあげたでしょ」は避けましょう。
いかがでしたか? 5つのNG行動に共通するのは、親の期待でしたね。
子どもに過剰な期待をすると、自立できないだけでなく、親の価値観以外の可能性を潰してしまうことにもなります。そのため、”関わる”より”見守る”スタンスの方が、子どもと親にいいんですね。
もし、これから子どもがいなくなったときの不安を感じたら、子どもは自分と違うことをしっかり受け止めていきませんか?
【取材協力】
※ 岸本元気・・・『親と子のメンタルヘルス研究所』所長。『ソシアルプラン』代表者・言葉がけコンサルタント。保育ソーシャルワーカー(保育士・精神保健福祉士)。1967 年、福岡県生まれ。
親と子と先生のためのメンタルヘルス支援を行う、『親と子のメンタルヘルス研究所』にて言葉を使った認知行動療法(言葉がけセラピー)を行い、子どものうつ病や様々なメンタル不調、発達障がいをもつこどもたちの生活サポートを行う。
また、数少ない保育現場専門のソーシャルワーカーとして様々な家族支援や子育て支援(保育相談支援)も行っている。
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