姉妹車15号車を従えてトップチェッカーを受けた20号車BMW MハイブリッドV8(BMW MチームWRT) 2026年WEC第2戦スパ・フランコルシャン 5月9日、ベルギーのスパ・フランコルシャン・サーキットで2026年WEC世界耐久選手権第2戦『トタルエナジーズ・スパ6時間レース』の決勝が行われ、BMW MチームWRTの20号車BMW MハイブリッドV8(ロビン・フラインス/レネ・ラスト/シェルドン・ファン・デル・リンデ組)が総合優勝を飾った。
晴天の下、現地14時にスタートにスタートが切られたスパでの6時間レースは、オープニングラップで94号車プジョー9X8(プジョー・トタルエナジーズ)をオーバーテイクした12号車キャデラックVシリーズ.R(キャデラック・ハーツ・チーム・JOTA)がトップに浮上し、そのまま最初の1時間を支配した。しかし、スタート2時間後は20号車BMWがリーダーとなる。
地元ベルギーのチームが運営する20号車は、最初のピットインで作業時間を短くし、全車の中でもっとも早く1回目のピットインを行った8号車トヨタTR010ハイブリッド(トヨタ・レーシング)とともに他車とピット・シークエンスをずらした戦略を採用。以降、12号車キャデラックと20号車BMWがピットタイミングのたびにトップに立つこととなった。
変化が訪れたのはレース折り返し直前だ。実質の総合首位を走るキャデラックのピットイン後、翌周にピットに入った2番手35号車アルピーヌA424が、ライバルより2秒早い作業で逆転に成功する。その後、アントニオ・フェリックス・ダ・コスタ駆る35号車は後続に20秒以上のギャップを築いていく。
しかし4時間目を前に導入されたバーチャル・セーフティカー(VSC)がふたたび展開に変化を与えた。これは、アウトラップでレ・コンブに差し掛かったマルテ・ヤコブセンの94号車プジョーが、不運にも目の前でスピンしたLMGT3カーに激突したあとに起きたものだ。このVSCは残り2時間での全車のピットインを促し、この時点でトップを走っていた20号車BMWと2番手トヨタにとって有利に働くことに。
残り1時間42分でレースが再開されると15号車BMWが35号車アルピーヌを抜いて3番手に浮上し、50号車フェラーリ499P(フェラーリAFコルセ)もアルピーヌをかわしていく。その40分後、今度は51号車フェラーリが、ターン1でアウグスト・ファーフス駆る32号車BMW M4 GT3エボ(チームWRT)に追突されるアクシデントが起き、ふたたびVSCが入る。これにより全車がラストピットに向かった。
なお2番手につけていた8号車トヨタは、ピットに入ったタイミングがVSCの直前となったために順位を下げ、その後もう一度入って左側のタイヤを交換したことで12番手まで下がってしまう。一方、小林可夢偉が乗り込んだ姉妹車7号車は、直前に7番手前後を走行していたがリスタートの時点で4番手にジャンプアップを果たす。
フィニッシュまでの残り30分を切ってのレース再開では、5番手を争う35号車アルピーヌと009号車アストンマーティン・ヴァルキリー(アストンマーティンTHORチーム)がケメルストレートで交錯し、グラベルに押し出された後車がハーフスピン後、ガードレールにクラッシュ。ふたたびセーフティカーが入る。
10分ほどの中断のあと、最後のリスタートではダ・コスタ駆るアルピーヌがラディオンで単独スピンを喫し、危うく後続の007号車アストンマーティンが巻き込まれるところだったが、トム・ギャンブルが間一髪のところで衝突を回避。その後ギャンブルは、51号車フェラーリとともに2番手の15号車BMWを追っていた7号車トヨタを残り3分でかわしてみせた。
結局20号車BMWは、終盤の2時間で一度もトップの座を譲らず6時間レースのトップチェッカーを受けた。これにケビン・マグヌッセンが乗り込んだ僚友15号車BMWが続き見事、WRTが地元ベルギーでワン・ツー・フィニッシュを達成。BMWにとってはWECハイパーカーでの初優勝となっている。なおBMWの2台には、SCリスタート時の手順に関する審議が出されており、暫定リザルトから結果が変更となる可能性がある。
50号車フェラーリは最終盤の猛攻が及ばずも3位表彰台を獲得。4位には前述のとおり007号車アストンマーティンが入った。昨年デビューしたヴァルキリーは過去最高位を更新している。5位のトヨタと6位につけた83号車フェラーリは、ともにグリッドから順位を7つ上げてのフィニッシュだ。
特筆すべきは8位入賞を果たした17号車ジェネシスGMR-001(ジェネシス・マグマ・レーシング)の存在だろう。韓国メーカーの新型LMDhは、デビューからわずか2戦目でポイントを獲得した。一時レースをリードした12号車キャデラックは9位。8号車トヨタは最終盤に2台が脱落したことで10位に入りポイントを獲得している。
上位4台が5秒以内に収まる僅差の戦いとなったLMGT3クラスでは、開幕戦イモラで首位を走りながら終盤のマシントラブルに泣いた10号車マクラーレン720S GT3エボ(ガレージ59)が、波乱のレースの末に雪辱を果たした。
今戦でトップチェッカーを受けたのは、2時間目からレースをリードし、一時は後続に10秒以上の差をつけた21号車フェラーリ296 GT3エボだったが、ビスタAFコルセには終盤、ピットアウト時のアンセーフリリースに対するタイムペナルティ5秒が与えられた。
この結果、トップと0.937秒という僅差の2番手でチェッカーを受けた、アンタレス・オー/トーマス・フレミング/マービン・キルヒホーファー組の10号車マクラーレンが繰り上がりで優勝を飾っている。
同じく3番手でフィニッシュした27号車アストンマーティン・バンテージAMR GT3エボ(ハート・オブ・レーシング・チーム)が2位、4番手の92号車ポルシェ911 GT3 Rエボ(ザ・ベンド・マンタイ)が3位となって表彰台を獲得した一方、21号車フェラーリは予選後の1グリッド降格に続き、決勝でもペナルティにより4位へと降格。大会2連覇は幻に終わった。
LMGT3クラスのドラマのひとつに78号車レクサスRC F GT3(アコーディスASPチーム)の戦線離脱があった。ポールシッターだったこのクルマは、レースの序盤をリードし中盤以降も表彰台圏内のポジションを走っていたものの、奇しくも51号車フェラーリがアクシデントに巻き込まれたのと同じタイミングでスローダウンし、最終的にコース外にマシンを停めている。フィニッシュまで残り1時間2分での出来事だった。
WECの次戦となる第3戦はル・マン24時間レースだ。シーズンのハイライトとなる一戦は6月13〜14日に決勝レースが行われる。
[オートスポーツweb 2026年05月10日]