厚生労働省の労働政策審議会分科会=13日、東京都千代田区 実際に働いた時間ではなく、あらかじめ労使で決めた「みなし労働時間」に基づき賃金を払う「裁量労働制」の見直しを巡る議論が平行線をたどっている。対象業務拡大を求める経済界に対し、労働者側は「長時間労働につながる」と抵抗。労働市場改革を成長戦略の一つに掲げる高市早苗首相は「検討加速」を指示したが、労使の溝は深く決着は見通せない。
裁量制は、仕事の進め方や時間配分を労働者の判断に委ねる仕組みで、現在は弁護士など20職種と事業の企画・立案・調査・分析業務のみに適用できる。首相が2月に見直し検討を表明、今夏にまとめる成長戦略に反映させる方針だ。
これを好機と捉えるのが、かねて見直しを求めてきた経団連だ。現行制度では顧客との交渉など「非対象業務」が一部でも含まれると適用できないが、柔軟に働けるよう、こうした業務の追加を求めている。
一方、労働者側は反対の姿勢を崩さない。見直しよりも適正な運用の徹底が先だと訴えており、13日開かれた厚生労働省の労働政策審議会分科会でも、労働者側委員は「一部で際限なく長時間労働となっており、裁量が必ずしも確保できていない」と強調した。
労働者側の懸念を受け、経団連は同日、裁量制拡充に向けた提言を公表。長時間労働を防ぐ新たな仕組みの導入を提案した。ただ、労働者側の警戒感は強く、議論の行方は見えないままだ。