写真 アットコスメ(@cosme)を運営するアイスタイルが、「@cosme ベストコスメアワード 2026上半期新作ベストコスメ」を発表した。総合大賞は資生堂の敏感肌スキンケアブランド「d プログラム」の「モイストケア ローション EX」(医薬部外品、125mL 3300円)が受賞。総合2位は「ロージーローザ(ROSYROSA)」の「パウダーブラシEX<アングルド>」(1980円)、総合3位に「アヌア(Anua)」の美容液「ビタミン10 ポアストリクス™︎ セラム」(20mL 2950円)が続いた。2026年上半期は夏の酷暑や冬の乾燥が顕著であったことから、環境変化に対応しようとする"守り"の意識の高まりが伺えるラインナップとなった。 アイスタイルの遠藤宗社長は、「気候変動による肌悩みの増加や、消費において失敗したくないというニーズを背景に、守るケアへの意識が高まる中、今回の受賞品は市場に一石を投じるラインナップになりました。先日訪れた中国の展示会で中韓ブランドの圧倒的なパワーを実感しており、今後は日本ブランドの世界進出や海外ブランドの日本展開に一層貢献するとともに、韓国版ベストコスメの拡大なども通じて、東アジアのビューティマーケット全体を拡大させる取り組みを強化していきたい」と展望を語った。
物価高に挑む値下げと"肌守り"ニーズが合致
総合大賞を獲得した「d プログラム モイストケア ローション EX」は、昨年10月にリニューアルしたもの。乾燥や花粉、紫外線による蓄積ダメージといった環境下で、肌の土台を守るお守り的スキンケアとして支持を集めた。また物価高が続く中で、品質や容量を保ちながらも値下げに踏み切った点が消費者に高く評価されたという。
資生堂ジャパンの家谷直嗣 d プログラム ブランドマネージャーは、「今回の受賞品は、構想から約4年をかけて昨年10月にリブランディングの中心商品として発売に至りました。敏感肌の人は商品選びに慎重で、必ずしも変化を求めているわけではないという中でのリニューアルでしたが、昨今の過酷な肌環境を背景に、肌治安を良くしたいという生活者の意識変化が影響していると感じています」と語る。また、「リニューアルに伴う値下げの決断に対しては、企業努力を讃えていただけるお声を多くいただき、想定以上の反響がありました。結果として、20〜30代を中心に新規愛用者が前年比50%以上増加しています。口コミでも"人生コスメ"として使っていきたいというコメントをいただいており、この受賞をきっかけに、さらに1人でも多くの敏感肌の人に届けたいという思いが強まりました」と喜びを語った。
また、アットコスメリサーチプランナーの西原羽衣子氏と原田彩⼦氏は、背景にある"肌守り市場"の拡大について、肌に刺激があると言われている攻めのスキンケアが注目されてきた中で、自身の肌の繊細さに気づく人が増加したと見る。さらに昨今の異常気象など、外的要因による肌ダメージに対し、肌の治安を守るスキンケアとして敏感肌向けのブランドに注目が集まっていると分析した。
こうした自身の肌や生活に真摯に向き合う姿勢は、商品選びの変化にも表れている。両氏によると、ここ数年は一部の「バズ(話題の)商品」に口コミが集中する傾向にあったが、今年は状況が逆転。バズっている商品が必ずしも自分に最適ではないと気づき、自分に合うものを冷静に選ぶ傾向が強まっているという。バズ商品への興味を持つ消費者は依然として多いものの、特に10〜20代ではその傾向が落ち着きつつある。
さらに、物価高の影響により「本当に投資する価値があるか」を以前よりもシビアに考える消費者が増加しており、ライフスタイルの変化が化粧品選びにも直結している。バズっているだけでは買えない時代がきていると指摘し、今回総合大賞を受賞した商品が値下げを実行しているように、物価高の味方になるアイテムが支持される傾向は他の受賞商品にも見られるという。両氏は、今後のメイクアップアイテムに関しても、スキンケア効果を兼ね備えたものや、1つでリップ、チークの両方に使えるマルチユースな商品など、コストパフォーマンスを重視したアイテムがますます求められていくと分析した。
スキンケアの枠を超える乾燥対策アイテムの広がり
2026年の上半期は、大賞のd プログラムをはじめ、3位にランクインした「アヌア」の「ビタミン10 ポアストリクス™︎ セラム」や同4位の「PDRNヒアルロン酸ハイドレイティングミスト」(100mL 2950円)、メイクアップアイテムでは7位「M•A•C」の保湿オイルを含んだ「パウダー キス ヘイジー マット リップスティック」(全24色、3.5g 各4840円)、8位「ジバンシイ(GIVENCHY)」の保湿成分配合の「プリズム・リーブル・ケア&カラー・セラム・プライマー」(全3色、30mL 7700円)など、総合TOP10のうち9アイテムが肌や唇へのうるおい、保湿を謳うなど、乾燥対策が圧倒的なキーワードとなった。ユーザーアンケートでも「メイクアップアイテムにも保湿力を求めるようになった」という回答が約4割にのぼったといい、スキンケアのみならずベースメイクやヘアケア、美容グッズにまで保湿特化のアイテムが横断的に上位にランクインした。
西原氏・原田氏は、クチコミで"水分チャージ"というワードの出現率が昨対比1.4倍に増加したことに注目。生活者の関心は成分買いや機能性の高さに加えて、日常的な快適性や肌状態の安定に向かっているとした上で、乾燥対策がスキンケアで補うものからあらゆるアイテムで同時にケアするものへと変化しており、今後は複合的な乾燥対策ニーズに応えられるかが商品選択の重要な基準になるとした。
ベスト美容グッズ部門でハンド用、かかと用の保湿マスクがそれぞれ上位に入った花王「キュレル(Curél)」の原田慎吾氏は、「手足の深刻な乾燥悩みに本質的にお応えしたいという思いのもと、昨年10月にキュレル初のボディケア用品として発売しました。発売直後から多くの反響をいただき、年中手足の乾燥にお悩みの方が多いことを改めて認識しました」と語る。また、「お手入れが底上げされた実感のお声が多数あった。特に乾燥が気になる1〜2月に多くご使用いただき、期間売上は計画に対しハンドが148%、かかとが191%の実績となりました」と予想以上の反響だったという。
美容の民主化が進む韓国市場、下期はNAD+やクーリングに注目
今回の発表では初の試みとなる「@cosme韓国ベストコスメアワード」も実施。今後の発展が期待されるルーキー賞を受賞したアイテムを公開した。
韓国版アットコスメ「グローピック(GLOWPICK)」を運営するグローデイズ(Glowdayz, Inc.)のコン ジュンシク代表取締役社長は、韓国の生活者は成分に対する理解度が高く、成分美容が高度化していることを指摘。例えば、クリニック発祥の成分 PDRNを採用した商品は前年から急増し、直近では他成分と掛け合わせて複合的な肌悩みに応えるアイテムが人気を集めているといい、「プリメラ(Primera)」の「PDRN-NIA10 トーニング グロウ セラム」(30g 3520円)や、「アヌア」の「PDRNヒアルロン酸 水分カプセルミスト」(50mL 1485円、100mL 2380円)が受賞。機能性を求める傾向は他のカテゴリーにも及んでおり、ベースメイクでは従来の密着力重視から"化粧ノリ爆あがり"を謳う土台系のプレップアイテムへと関心が移行。受賞ラインナップに「ヒンス(hince)」の「ラディアンス メイクアップ ブースティング プレップ」(30mL 2640円)や「フィー(fwee)」の「スパグロウ UVトーンアップ ベース」(全2色 各2310円)などが並んだ。サンケア領域では、高いSPF値に加えて肌なじみの良さとトーンアップ機能を備えたサンセラムが定着しつつあり、「ヘラ(HERA)」の「UV プロテクター トーンアップ ピーチ」(50mL 5610円)などが受賞。さらに、リップメイクも色や質感だけでなく保湿や角質ケアを重視する「ムジゲ マンション(Muzigae Mansion)」の「ティンテッド リップバーム」(全4色、各3g 各2530円)など、ケア機能を搭載したアイテムへとシフトし、インナービューティにおいても、グルタチオンなどを配合した「ビロソ ラボ(BIROSO LAB)」の「モモグロウ コラーゲン グルタチオン マンゴー」といった、肌悩みに直結するサプリやゼリーが支持を集めた。
下期の展望については、これらのトレンドがさらに進化すると予測する。PDRNの低価格化や大衆化が進む一方で、新たに加齢で失われる成分を補うNAD+が注目成分として浮上。また、高温多湿化する韓国の気候を背景に、マスクやトナーパッドなどスキンケアの各ステップに冷感効果を取り入れる"クーリングビューティ"の広がりも予想している。同時に、日常使いが定着したサンケア商品のプレミアム化や、化粧品成分を取り入れた手軽なサプリの普及も見込まれるとし、「これまで専門家の領域とされていた高機能な成分や剤型が一般の生活者にも手に入りやすくなり、韓国市場全体で美容の"民主化"が確実に進んでいる」と総括した。
こうした韓国トレンドの波は日本市場にも大きく影響を与えており、中でも注目されているのが「ガジェ美スキンケア(美顔器)」の日常化だ。西原氏・原田氏の分析によると、韓国のヒット美顔器が日本でも広がりを見せており、"美顔器初心者"、"美顔器デビュー"といったワードの検索数が増加。スキンケアブランド「メディキューブ(MEDICUBE)」の「ブースタープロ」を筆頭に、初心者向けや低価格帯モデルの普及を後押ししているという。新たに美顔器を発売した家電メーカー、エーステージ(A-Stage)の藤岡毅社長は「機能・使いやすさ・デザインと手に取りやすい価格のバランスを追求し、"続けられる本格ケア"という新しい選択肢を提示した。初めてでも選びやすいといった声があり、新しい顧客層へ広がっている」と手応えを語っている。
下半期トレンド予測は"推し事美容"や"サプリ水"
アットコスメトレンド予測部が発表した2026年下半期のキーワードには、推し活と美容が融合した"推し事美容"や、インナーケアの次なるブーム"サプリ水"などが挙げられた。推しのために美容へ投資する消費行動が活発化しており、推しと同じカラーのメイクや、握手会など接近するシーンに備えたスキンケアの需要が高まっている。
ファンケルの齊藤彩菜氏は、「AI角層解析サービスのイメージキャラクターに人気アーティストを起用したところ、情報解禁後に数千人のキャンセル待ちが出るほどの反響があり、直営店舗の新規来店客数も前年比130%と大きく伸長しました」と、推し活がもたらすプロモーション効果の大きさを語った。その他にも、目元とチークをつなげる血色パンダチークや、赤みを補正する仕込みフィルター肌、1年中対策が求められる日差し対策などを、今後のトレンドとして予測。アットコスメ スタッフエキスパートのウトン光恵氏は、東京・原宿のアットコスメトーキョー(@cosme TOKYO)で行ったアンバサダー起用関連のイベント件数は、現時点で昨年の5倍の勢いで増加していることを報告した。
また、次なるインナーケアのブームとして注目するサプリ水について、天然水にセラミドを配合した「2Water Ceramide」を展開するトゥーフーズ(2foods)の清信奏江氏は、「水をせっかく飲むなら、摂りたい成分も摂れる水を選ぶという流れは、より広がっていくのではないかと考えています。サプリメントを習慣的に飲むのが苦手だったり、錠剤やカプセルが飲みにくいという方もいらっしゃる中で、いつもの水分補給がそのまま肌のうるおいケアになるという、日常的に続けやすいインナーケアの実現を目指し開発に至りました。全国の店舗展開に加え、特にECモールでの販売が好調で、今後はセラミド以外の成分展開も予定しています」と語った。
さらに、店頭での動向についてアットコスメ事業部 下野あやの氏は、「お客さまの声からインナーケアに対する意識の高まりを感じており、サプリメント・ドリンク・ゼリーだけではなく高機能水やコンブチャ、スープなどで手軽に摂取できるアイテムの取り扱いを徐々に増やしています。基礎化粧品の入れ替えと同じように、生活習慣に取り入れやすいアイテムとして店舗スタッフからもおすすめする機会も増えてきました」と語り、販売現場でもインナーケアを日常へ取り入れる提案が活発化している。
■@cosme ベストコスメアワード 2025 上半期新作ベストコスメ 総合大賞:d プログラム「モイストケア ローション EX」2位:ロージーローザ「パウダーブラシEX<アングルド>」3位:アヌア「ビタミン10 ポアストリクス™︎ セラム」4位:アヌア「PDRNヒアルロン酸ハイドレイティングミスト」5位:ルルルン「ルルルン ハイドラ PD マスク」6位:ルルルン「ルルルン プレシャス GREEN(Glow Up)」7位:M•A•C「パウダー キス ヘイジー マット リップスティック」8位:ジバンシイ「プリズム・リーブル・ケア&カラー・セラム・プライマー」9位:エスティ ローダー「ダブル ウェア ステイ イン プレイス メークアップ N」10位:ディオール「ディオール アディクト リップ グロウ オイル」