高市早苗首相=2日、首相官邸 政府・与党内で、食料品の消費税率を来年4月から1%に2年間引き下げる案が有力となった。高市政権が衆院選公約に掲げた税率ゼロよりも早期の実現を優先する。ただ、減税に伴う年4兆円超もの代替財源の確保は後回しにされ、課題は山積したままだ。
税率ゼロでは、消費税の軽減税率8%分の年5兆円程度の税収減となる。1%案なら年4.3兆円程度の減収となるが、消費税収は原則、社会保障財源に充てられている。代替財源が確保できなければ、年金や医療、介護などのサービスを維持するために、国債増発につながりかねない。
高市早苗首相は、赤字国債に頼らず、租税特別措置や補助金の見直し、税外収入で財源を捻出すると強調するが、めどは立っていない。税収の上振れを活用する案も取り沙汰されるが、経済成長による税収増に期待するのは財政規律上、危うさを抱える。
税率1%案では、レジシステム改修など準備が税率ゼロより短期間で済む。ただ、小売りの店頭では値札の貼り替えなど重い負担が掛かるため、小規模事業者を含め、来年4月に混乱なく税率1%に移行できるか不安は残る。
また、物価高対策としての政策効果にも懐疑的な見方がある。原材料高に苦しむ事業者は価格転嫁を進めるため、減税分ほど店頭価格は下がらない可能性が高い。外食業界は弁当や総菜との税率差が広がるため、客離れを懸念する。補助金で業界を支援すれば、新たな財政負担につながる。
野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは「政府は消費税引き下げの功罪を再度慎重に考える必要がある」と懸念している。