耳をふさがないイヤフォン「Suunto Spark」レビュー 走るだけでフォーム計測できる独自機能に注目

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2026年05月14日 13:31  ITmedia PC USER

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Suuntoから登場したオープンイヤー型イヤフォン「Suunto Spark」

 骨伝導イヤフォンやスポーツウォッチ、ダイブコンピュータなどを手掛けるフィンランドのSuunto(スント)が、オープンイヤー型の空気伝導式イヤフォン「Suunto Spark」を5月8日に日本で発売した。価格は2万9700円で、カラーバリエーションはブラック、ホワイト、オレンジだ。


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 Suuntoは「液体封入式コンパス」の開発をきっかけとして1936年に創業した老舗だ。同社は骨伝導技術を用いたイヤフォン「Suunto Wing」や「Suunto Sonic」を展開してきたが、ついに“耳をふさがない”オープンイヤー型イヤフォンのSuunto Sparkを投入する。


 耳をふさがないイヤフォンは市場で人気を集めつつあり、既に多くの製品が各社から登場している。Suunto Sparkの特徴は、骨伝導イヤフォンなどで培ったオーディオ技術を継承しつつ、マルチドライバーによる音質の向上と、イヤフォン単体で首の疲労や姿勢の乱れ、ランニングのパフォーマンスを計測できる独自の「ランニング・センサー機能」を搭載している点だ。


 短い期間だが実機を試す機会があったので、ファーストインプレッションをお届けする。


●見た目と本体


 まずは基本的なところをチェックしよう。Suunto Sparkの充電ケースや本体デザインは一般的なオープンイヤー型の完全ワイヤレスイヤフォンと変わらない。肌触りの良いソフトタッチの素材で覆われており、北欧ブランドらしいミニマルで洗練された印象を与える。


 本体は片耳約9gの軽量設計で、実際に装着してみると耳への負担がほとんど感じられない。同社がメモリーチタニウムループと呼ぶ機構と独自のフック形状、そしてシリコンによって、耳へのフィット感は良好だ。激しく頭を動かしても外れてしまうことはなかった。


 本体はIP55等級の防水/防塵(じん)性能を持っており、雨天時のランニングや、大量の汗を伴うトレーニングなどにも耐えられる。


 充電ケースにはUSB Type-Cポートが備わっており、急速充電にも対応している。充電時間は公称値でイヤフォン本体が60分以下、充電ケースは100分以下だ。ワイヤレス充電には対応していない。音楽再生は公称値で連続7時間、充電ケースと併用することで最大36時間となる。


 上記スペックは市場で人気の他社製品に劣ることはなく、必要十分だ。購入検討の足かせになることはない。


●気になる音質は?


 Suunto Sparkは空気伝導方式、つまり指向性の強いスピーカーによって耳の穴に向けて音を届ける。従来の骨伝導イヤフォンは音量を上げると不快な振動が顔に伝わったり、低域の不足が感じられたりしたが、オープンイヤー型はそうしたデメリットを回避できるため、スポーツイヤフォンはこれが今後のスタンダードになっていくだろう。


 マルチドライバーの構成は低域用、高域用、音漏れ防止用の3ユニットとなっている。音質について、筆者が2022年頃に購入した他社著名ブランドのオープンイヤー型空気伝導式イヤフォンと比べると、その差は歴然で、本カテゴリー製品の進化を感じさせられた。


 イコライザーもSunntoアプリから設定可能だ。「レジェンダリー」「低音ブースト」「高音ブースト」「ボーカルブースト」「カスタマイズ」が用意されており、それぞれしっかり音の特徴が変わる。筆者のおすすめはレジェンダリーで、高音域から低音域まで、バランス良く音楽を楽しめる。


 音楽の視聴を通じて特に印象に残ったのは、低域がしっかりと表現できているところだ。こうしたオープンイヤータイプは低域がスカスカしてしまいがちだが、Suunto Sparkは鳴る音にパワーが感じられて、余裕さえ感じさせる。


 音量を上げるとオープンイヤー型であることを忘れそうになるくらい迫力ある音を楽しめる。外でランニングに使う場合は音量を下げるか、イコライザーを高音ブーストに変更して、低音を抑えた方がいいと感じるほどの迫力だ。


 ちなみに高音域もきれいに出ており、音楽鑑賞も十分に楽しめるレベルだった。周囲に人がおらず音漏れを気にしなくていい環境なら、音量を上げてデスクワークのお供としても満足できる。


 また、音漏れ防止用のドライバーが搭載されている点もユニークだ。空気伝導方式は構造上、周囲への音漏れが気になるが、Suunto Sparkは逆位相の音波を発生させて不要な放射音を能動的に打ち消す構造としたことで、音漏れを抑制しているという。


 確かに音量を「ちょっと控えめだけどしっかり聞こえる」程度まで下げたところ、他社製品よりも音漏れが少ないように感じた。これなら周囲に人がいるオフィス環境での音楽再生用途にも使える。


 ワイヤレスはBluetooth 5.4を採用しており、コーデックはSBC、AAC、LHDC 5.0に対応している。対応デバイスとLHDC 5.0で接続すれば、最大96kHz/24bitの伝送が可能だ。ただし、LHDC 5.0はXiaomiやOPPOなど一部のデバイスメーカーが採用している“レア”なコーデックなので、活用できる機会は限られるだろう。


 2台の機器に同時接続できるマルチポイントにも対応している。例えば、Aの機器で音楽再生中にBの機器で着信した場合、自動で着信が割り込んでくるので応答できる。


 さらに、昨今のトレンドである「空間オーディオ」にも対応している 。内蔵されたジャイロセンサーが頭の動きを検知し、音の定位をリアルタイムで修正する。機能をオンにした時点での正面が前となり、首を横に振ると音の方向を感じ取れた。心なしか音の迫力も増して聞こえるので、音楽鑑賞の時に試してみてもいいだろう。


●首回りの健康チェック機能も


 Suunto Sparkは内蔵センサーを使って、頸部(けいぶ、首回り)の柔軟性を評価する機能がある。Suuntoアプリから機能を呼び出し、案内に従って首を動かすと、しっかりと首を動かせるか、健康状態を確認できるという。


 実際に試してみたところ、筆者の場合は首の横の動きが若干怪しいと表示された。これがストレッチを習慣づけるいいきっかけになるかもしれない。


 また、頸部疲労アラート機能もある。首を長い時間、動かさないでいると、警告してくれるもので、デスクワークなどで活用できそうだ。


 さらにこのセンサーを使ったヘッドジェスチャーコントロール機能も搭載している。首を横に2回振ると再生中の曲をスキップしたり、縦に2回うなずくと着信している電話に応答、通話中に首を横に2回振ると通話を拒否したりできる。実際に試したところ感度は良好。ハンズフリーで操作できるのは便利だ。


●ランニングの計測機能は?


 Suunto Sparkは、単体でランニングの運動時間、消費カロリー、歩数、平均歩数ケイデンス(1分間あたりの足の回転数)、平均接地時間(片足が地面についている時間の長さ)、上下運動(ランニング中の体の上下の動き)などを計測してSuuntoアプリ上に表示できる。


 計測はSuuntoアプリ内にあるスポーツモードから「ワークアウトを開始」ボタンをタップするか、左右どちらかのイヤフォンを長押し(要事前設定)して開始/終了できる。


 計測を終えたら、Suuntoアプリ内のアクティビティから結果をチェックできる。今回は約5分という短い時間だが、同時に装着していたApple Watch Ultra 2のワークアウト機能で取得したランニングのデータと比較してみた。


 あくまで相対的な比較となるが、いずれも大きな差はなく目安として活用できることが分かる。


 唯一、Suunto Sparkで計測した上下動の値が優秀すぎる(5.6cm)ところが気になるが、イヤフォンのSuunto SparkとスマートウォッチのApple Watchで装着する部位が違うために生まれた差かもしれない(スローペースだったので、本来は動きが大きかったはず)。いずれも継続的に使用して推移をチェックするなら使えそうだ。


 気になったのは、Suunto Spark単体では距離や心拍数などを計測できず、Suuntoアプリ上でデータをチェックする際に物足りなさを感じる点だ。これはSuuntoのスポーツウォッチと組み合わせることでデータを補完できるので、本格的にデータを記録したい場合はそちらも検討していいだろう。2つを組み合わせることで、ペースや心拍数などを走行中に音声でチェックできるというメリットも出てくる。


●誰にマッチする?


 Suunto Sparkは片耳約9gという軽さによる快適な着け心地、オープンイヤーであることを感じさせない迫力のある音質を備えており、単純に耳をふさがないイヤフォンとしてクオリティーが高い。ただし、価格がイヤフォン製品の中では高価格帯に位置する2万9700円という値付けとなっており、他のイヤフォンの選択肢も増えてくるレンジだ。他のSuunto製品との連携やランニング用途に価値を見いだせるかが、選択のポイントとなるだろう。



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