0
2026年05月14日 18:10 ITmedia PC USER

アイ・オー・データ機器の「LCD-YC1412DX」は、14型の画面を上下に連結させたデュアルタイプのモバイルディスプレイだ。2画面タイプのモバイルディスプレイは、近年複数のメーカーから登場しているが、14型というコンパクトなサイズは数が少なく貴重な存在だ。メーカーから機材を借用したので、レビューをお届けする。
●14型×2で実質21型のビッグサイズを実現。アスペクト比は16:9
まずは基本的な仕様からチェックしよう。
本製品は14型の画面2つがヒンジによって上下に連結された構造になっており、それぞれの解像度は1920×1080ピクセルだ。アスペクト比は他社によくある16:10ではなく、16:9である点には要注意だ。ADS方式のTFT液晶を採用しており、ノングレア仕様となっている。タッチ操作には非対応だ。
|
|
|
|
視野角は水平/垂直ともに170度、最大輝度は250ニト、コントラスト比は800:1、最大リフレッシュレートは60Hzとなっている。このあたりのスペックは、昨今のモバイルディスプレイとしては突出したものはなく、平均的な印象を受ける。
本体はアルミボディーを採用する。背面に折りたたみ式の一体型スタンドを搭載しており、30〜70度の角度で立てることができる。上部の画面は、完全に折りたたんだ状態から背面に折り返すことも可能だ。このあたりのギミックも、他社のデュアルタイプのモバイルディスプレイと同様で、ヒンジの仕様についてもほぼ同じだ。
スタンドは背面から見ると大きく右側に寄った独特のデザインで、縦置きにも対応している。このスタンドは折りたたむと背面との段差がなくなり、見た目にもすっきりしている。バッグなどに入れる場合、引っ掛かりがないのは利点と言えるだろう。デザイン上、他社製品との差別化になる部分だ。
●ボディーは比較的軽量
接続方式はHDMIとUSB Type-Cで、USB Type-Cは3基も備えている。これらが搭載されるボディー右側面には、イヤフォンジャックや、後述する表示モード切り替え用のスライドスイッチも並んでおり、ポートやスイッチ類が集中している。ちなみに反対側の左側面にはポートやボタン類は何もなく、縦置きしやすい仕様だ。
|
|
|
|
重量は公称値が約1.3kg、実測だと1.2kgとデュアルタイプの製品にしては軽量だが、これは画面サイズが14型と小ぶりなためだろう。
付属品はHDMI/USB Type-Cそれぞれの接続方式に対応したケーブルのみで、ACアダプターは付属しない。持ち歩き用のポーチ類も省かれているが、本製品は折りたたんだ状態ではノートPCに類似した形状で、それゆえ市販の14型ノートPC用の保護ケースを探せば、サイズ的にも適した製品を調達できるだろう。
●3基のUSB Type-Cポートはどのように使い分ける?
では実際に使ってみよう。ポート類は本体の右側面に集中している。USB Type-Cポートが3基もあるため、どれにつないでよいか初見では戸惑うが、1つだけ飛んで配置されている3番目のポートは用途が限定されており(後述)、実質的には2基のポートのいずれか一方を使うと考えればよい。この2基のポートは機能的には同じだ。
さて本製品はデュアルタイプのモバイルディスプレイではおなじみとなる、3つの表示モードに対応している。1つは大画面モードで、2つの画面を連結して約21型の巨大なディスプレイとして使うモードだ。置き方は縦置きと横置き、いずれにも対応する。
|
|
|
|
この大画面モードを横置きで使う場合、ケーブルは画面上部に挿す格好になるが、本製品に付属するUSB Type-CケーブルはL字型になっているため、極端にケーブルが突き出すといったことはない。スタンドの角度についても、垂直状態から後方に約17度傾いた、ごく自然な角度で立てられる。
もう1つは複製モードで、2つの画面を折り返し、前面と背面とで同じ内容を表示するという、プレゼンテーションなどに向いた使い方ができる。Gセンサーの内蔵により、画面を折り返すと天地が反転して自動的に適切な向きへ切り替わる。。
最後は拡張モードで、2つの画面を別々のディスプレイとして認識させるモードだ。ノートPCと併せて3画面で使うことも可能な他、2台のノートPCで2つの画面をシェアするという使い方にも対応する。この場合はHDMIポートとUSB Type-Cポートの併用が必須となり、どちらもUSB Type-Cで接続することはできない。
メーカーの推奨する表示モードは以上の3つなのだが、応用編として本製品をノートPCの背後に設置し、本製品の上画面にだけ映像を表示し、直下にあるノートPCの画面と2画面表示にするという使い方も用意されている。下の画面が完全に死んでしまうことになるが、現実的には設置性を優先し、こうした配置で使うケースも多いだろう。ちなみに、3基のUSB Type-Cポートのうち、3番目のポートを使うのはこの場合のみだ。
これらの画面モードの切り替えは、本体側面のスライドスイッチで行う。プッシュ式のボタンを繰り返し押してローテーションで切り替えたり、OSDメニュー上から切り替えたりするのと違って、直感的に分かりやすい。本製品を高く評価できるポイントの1つだ。
ただこのスライドスイッチは、付属のL字型仕様のUSB Type-Cケーブルを挿すとケーブルによって覆い隠されてしまい、極めて操作しにくい。ケーブルを付け替えるか、もっと距離を開けて下に寄せるか、あるいはヒンジのある上側に寄せるのがベターだろう。基板のレイアウトの関係もあるだろうが、後継モデルでは改善が望まれる部分だ。
●気になるベゼル幅とOSDメニュー
以上のように、表示モード回りの仕様はデュアルタイプのモバイルディスプレイとしては文句なしなのだが、実際に使っていて目立つのは、ベゼルの幅にかなりの厚みがあることだ。
本製品は過去に紹介した一部他社製品のように、ヒンジ寄りの内側のベゼルが外側のベゼルよりも太いというおかしな設計でこそないものの、ベゼルを含めた上下画面の間の非表示エリアは、実測で32mmもある。以前紹介した同じ14型×2画面のASUS JAPAN「ZenScreen Duo OLED MQ149CD」は26mmだったので、5mm以上余分な厚みがあることになる。
外側のベゼルについても、実測24mmとかなりの幅があり、正面から見ると黒い部分が目立ってしまう。本製品の画面のアスペクト比は16:9だが、初めて表示した時、本来は16:10なのが黒帯で表示されてしまっているのでは? と疑ったほどだ。2画面を上下に連結して1つの画面として使う機会が多い場合、競合製品と比べてやや不利な部分と言わざるを得ないだろう。
OSDメニューについても見ていこう。OSDメニュー操作用のボタンは本体背面にあり、右手で操作するレイアウトになっている。最近のモバイルディスプレイは物理ボタンの数を極力減らした製品が目立つが、本製品は上下/左右に加えて決定ボタンと合計5個のボタンを搭載しており、見た目には操作はしやすそうに感じる。
ところが、このボタンはモールドこそ異なるもののボタン形状が同じこともあり、目視なしではボタンの違いがさっぱり判別できず、誤操作が頻発する。せめて中央の決定ボタンの形状が違っていればよかったのだが、見た目と違ってかなり使いづらく感じてしまう。これならば、ボタン数が少なくても役割を形状で判別できる他社モデルの方が扱いやすい。
さらにUIも独特で、メインメニューを呼び出すまでに複数のステップが必要だったり、大分類→小分類という階層構造が分かりにくかったり、いちいち画面上でボタンの役割を確認する必要があったりと、お世辞にも使いやすいとは言えない。わざわざ一般的でないUIを採用する必然性があれば話は別なのだが、他社のメニューと比べてできること自体に違いはないので逆に戸惑ってしまう。
もし、これがWebのポータルサイトのように毎日使うメニューであれば、多少おかしな設計でも繰り返し使っていくうちに慣れてしまうものだが、ディスプレイのメニューのUIはそう頻繁に操作するものではないため、初心者はもちろん中級者以上のユーザーにとっても、使って慣れるという解決策が取りにくい。利用頻度が高い画面モード切り替えの機構が、物理スイッチとして分離されているのは、せめてもの救いと言えるだろう。
●保証期間は3年と長め 他社と比べて何を優先するかが悩ましい
以上のように2画面モデルとしての機能はこなれており、なおかつモード切り替えが側面のスライドスイッチで簡単に行えるなど利点もあるのだが、ベゼルの太さ、および一般的なUIのイメージから逸脱したOSDメニューの使いづらさが足を引っ張っている格好だ。本連載では多数のモバイルディスプレイを扱っているが、メニューの扱いやすさだけで序列を付ければ、本製品が上位に来ることはないだろう。
また他社の14型のデュアルモデルは1画面のアスペクト比が16:10がほとんどのところ、本製品は16:9というのも少々引っ掛かる。上下の画面を連結させて使うにしても、別々の画面で使うにしても、天地が窮屈なのはややマイナスで、わざわざデュアルタイプのモバイルディスプレイを選ぶユーザーにとって16:9というアスペクト比が望ましい仕様かどうかは、疑問符がつくところだ。
一方で保証期間は3年と長く、実売価格は5万円台と比較的リーズナブルだ。本文中で紹介した同じ14型のASUS JAPANのデュアルモデルは、有機EL搭載でベゼルは本製品よりもスリムになっている。
しかし実売価格は8万円台で、かつパワーパススルー非対応だったりイヤフォンジャックが非搭載だったりと違った意味でクセがある。そのため、他に14型でデュアルモデルを取り扱っているサンコーなどの製品も並べた上で、何を優先して選ぶかという判断が必要になりそうだ。
|
|
|
|
|
|
|
|
Copyright(C) 2026 ITmedia Inc. All rights reserved. 記事・写真の無断転載を禁じます。
掲載情報の著作権は提供元企業に帰属します。