環境激変、対応に苦慮=自動車決算、ホンダは赤字転落―EV減退、中東緊迫化も

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2026年05月15日 08:02  時事通信社

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時事通信社

決算記者会見で、記者の質問に答えるホンダの三部敏宏社長=14日午後、東京都新宿区
 自動車大手の2026年3月期決算は、事業環境の激変に苦慮する姿を浮き彫りにした。特にホンダは、北米での電気自動車(EV)需要の急減で、上場以来初となる4000億円超の巨額赤字に沈んだ。米高関税や中国勢の台頭にさらされる国内メーカー。中東情勢緊迫化で、資材や燃料の価格高騰や輸出停滞も懸念されている。

 ◇環境規制撤廃決め手

 「非常に厳しい事業環境の中で、業界の構造の大転換の時期にある」。ホンダの三部敏宏社長は14日、東京都内で開いた決算説明会で険しい表情を浮かべた。

 米国のバイデン前政権が進めた気候変動対策を踏まえ、EV開発に「全振り」したホンダ。トランプ政権が昨年9月、EV促進策を打ち切ると状況は一変した。米調査会社によると、今年1〜3月の米EV販売は前年同期比3割近く減少した。

 トランプ政権は2月、自動車の温室効果ガス排出規制の撤廃を打ち出した。「このままでは将来にわたって損失を生み出す」(三部氏)。これが決め手となり、ホンダは北米で予定していたEV3車種の開発を中止、方向転換を余儀なくされた。設備の減損や部品メーカーへの補償など関連損失は2年間で計約2兆円に上る。

 北米市場でのEV停滞に、同業他社も振り回される。マツダは自社開発EVの投入時期を2年程度延期し、電動化への投資縮小を決定。15日に決算発表を予定するSUBARUも、関連損失を計上する見通しだ。

 ◇中国「世界標準に」

 世界最大の市場である中国でも苦境が続く。汎用(はんよう)部品の大量生産などによるコスト競争力、日系メーカーの半分以下とされる2年程度の開発スピードを武器に、急速に力を付ける比亜迪(BYD)など現地新興メーカーの後塵(こうじん)を拝している。

 ホンダは現地メーカーとの合弁工場で一部生産を休止する方向だ。三部氏は「インドや中国の新興勢力のやり方が、今や世界標準になっている」と指摘。ある自動車大手の中国担当者は「新型車を発売するときには、すでに改良の計画が動き始めている」と、スピード感の違いに舌を巻く。

 ホンダは現地の部品や技術を取り入れ、中国事業の立て直しを図り、インドでも現地の開発手法を大胆に採用する方針。日産自動車は、将来的に中国を各国への輸出拠点と位置付けるが、成否の行方は不透明だ。

 ◇原油高騰が影

 ホンダや日産は27年3月期の黒字転換を見込むが、中東情勢の悪化が影を落とす。原油価格が高止まりする中、原油由来の資材価格などの高騰を織り込み、利益は低水準のまま。トヨタ自動車は、燃料や資材費の高騰、中東などでの販売台数減少を見込み、純利益は3期連続で減少する見通しだ。自動車業界への逆風は、しばらくやみそうにない。 

決算記者会見を終え、会場を後にするホンダの三部敏宏社長(右)=14日午後、東京都新宿区
決算記者会見を終え、会場を後にするホンダの三部敏宏社長(右)=14日午後、東京都新宿区
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