【プロ野球】 今中慎二が気になるルーキーの投手は? 巨人の竹丸和幸が勝てる理由も分析した

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2026年05月15日 10:10  webスポルティーバ

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今中慎二インタビュー 前編

 今季のプロ野球は、早い段階から主力選手の離脱が続くチームが多く、ルーキーたちの出場機会も増えている。そんなセ・パ両リーグのルーキーのなかで、かつて中日のエースとして活躍し、1993年に沢村賞を受賞、引退後は中日で投手コーチも務めた今中慎二氏が注目する投手について語った。

【勝てる投手・勝てない投手の違い】

――まず、今中さんの古巣・中日のルーキーからお聞きします。5月4日の阪神戦で初勝利を挙げた中西聖輝投手(ドラフト1位)はいかがですか?

今中慎二(以下:今中) ピッチングがまとまっていますね。投げていって自信がつけば、球速はもう少し上がりそうです。ルーキーはどうしてもフォアボールを出してしまいがちなのですが、ストライクゾーンで思い切って勝負ができている部分も評価できます。櫻井頼之介(ドラフト2位)と比較されることが多いですが、現段階では中西のほうが完成度が高いような気がします。

――櫻井投手はいろいろな球種を持っていますね。

今中 確かに球種は多いほうだと思いますが、プロの一軍レベルだと真っすぐで勝負できないといけませんし、変化球だけではしんどいです。今は"ここぞ"という時に真っすぐで空振りが取れていない印象で、それが0勝3敗(5月13日時点。以下同)という結果につながっているんでしょう。

 今後、空振りを取れるようになってくると、ピッチングはかなり楽になると思います。4勝(2敗)を挙げている巨人の竹丸和幸(ドラフト1位)は、真っすぐで空振りが取れる印象がありますが、そこの違いじゃないですか。

――竹丸投手のピッチングをどう見ていますか?

今中 すごいボールを投げているわけではないですし、粗削りでコントロールもアバウトですが、物怖じせずに投げています。投げっぷりがよくて"がむしゃらさ"が伝わってくる投手ですね。ある程度順調ですが、同じような状態でシーズンを完走するのは難しいと思います。ただ、若い選手は勢いづいたら止まりません。勝ち運も持っていますし、このまま駆け上がっていく可能性もありますね。

――「勝ち運がある」ように感じますが、要因は何だと思いますか?

今中 勝つには打線の援護が必要ですが、ピッチングのリズムが好影響を与えているのでしょう。あと、竹丸が投げている姿を見ている野手が、「なんとかしてやろう」と思わせる投手なのかもしれませんね。

【ショートイニング向きのルーキーも】

――サウスポーでは、ヤクルトの増居翔太投手(ドラフト4位)も初先発で初勝利を挙げています。

今中 がむしゃらに投げる竹丸とは違い、落ち着いて投げていて派手さはありません。特長のあるボールがあるわけでもなく、オーソドックスなタイプですね。これからどう起用していくかが気になるところですが、ヤクルトの場合はそれほどピッチャーが豊富じゃないので、チャンスはあると思います。打線はある程度点を取ってくれるでしょうし、勝ちがついて自信がついたら伸びるかもしれません。

 特長がある投手といえば、サイド気味から投げる巨人のリリーフの田和廉(ドラフト2位)はボールが"強い"ですね。早稲田大学時代もリリーフで投げていましたし、ショートイニングの適性を感じます。西武のクローザーを任されている岩城颯空(ドラフト2位)も、ボールが強くてフォアボールが少ないので、同じくショートイニング向きですね。

――ほかに気になるルーキーはいますか?

今中 広島の齊藤汰直(ドラフト2位)も楽しみですが、現状はまだまだかなと。コースを狙って投げているけどボールが続きますし、ストライクゾーンで勝負できていません。カウントを悪くしてホームランを打たれる場面も見ます。真っすぐに力があるのにコースを狙いすぎてしまっているのが、もったいないですよね。

 楽天の藤原聡大(ドラフト1位)も、真っすぐに力がありますよね。スライダーはカーブの曲がりに近い軌道ですが、バッターをきりきり舞いさせるようなボールではないので、一度軌道を見たらアジャストしてくる一軍のバッターに対してはどうなのかなと。ビッと曲がるようなスライダーだと、プロでも対応が難しくなるんですけどね。

 まずは真っすぐを磨くこと。ルーキーは伸びしろがあるので、自信をつけると必ず球速が上がっていくんです。逆にコントロールを気にしすぎると球速が落ちていくので、ある程度は大胆に投げていってほしいですね。

【今中氏がルーキーを評価する時に見る部分は?】

――先ほど、ショートイニングの適性のお話がありましたが、先発かリリーフかを見極める際に重視すべきことは何ですか?

今中 やっぱり、ボールの強さとコントロールじゃないですかね。あと、変化球でポンとストライクを取れるようであれば、リリーフの選択肢が出てくると思います。

 ただ、高卒でドラフト1位の投手は、基本的に先発で起用されることが多いです。下位で指名した高卒の投手は最初にリリーフを経験させて、よければ先発に回すケースもありますけどね。

――先発かリリーフかの見極めは難しい?

今中 難しいです。リリーフだと、長く持たないですし。近年はどのチームもリリーフは2連投までが多いですが、それでもケガ人が多いですよね。仮に自分が投手コーチの立場であれば、「3連投くらいしてくれよ」とは思いますけど(笑)。

 2連投までにとどめて、大事に起用してもすぐに壊れてしまったり......そこは、鍛えなければいけないという話にもなるんですけどね。先発だと、何年も続けて投げることができたりしますが、たとえば3年連続50試合以上に登板するリリーフは、今はほとんどいません。特にルーキーは大事にしたいので、壊してしまうような使い方をしたくないわけです。

 ただ、リリーフは試合展開に合わせた準備をしなければいけませんし、展開によっては無理させてしまうケースも出てきます。先発は中6日など登板日が決まっているので準備がしやすい。この差は非常に大きいです。なので、先発かリリーフかの見極めには神経を使わなければいけないんです。

――ルーキーの投手についてお話を伺ってきましたが、評価の際に重視することは?

今中 やはり、真っすぐで抑えることができるかに尽きるんじゃないですか。これはすべての投手に言えることですが、特にルーキーの場合はそこだけしか見ていません。どんなに変化球がすごくても、真っすぐがよくなければ長続きしない。1年だけよければいいわけではないですし、プロの世界でずっとやらなければいけないわけですから。

(後編:今中慎二が「空振りが取れる真っすぐ」の重要性を力説 お手本は快投が続くふたりのサウスポー>>)

【プロフィール】

◆今中慎二(いまなか・しんじ)

1971年3月6日大阪府生まれ。左投左打。1988年のドラフト1位で、大産大高大東校舎(現・大阪桐蔭高 )から中日ドラゴンズに入団。2年目から二桁勝利を挙げ、1993年には沢村賞、最多勝(17勝)、最多奪三振賞(247個)、ゴールデングラブ賞、ベストナインと、投手タイトルを独占した。また、同年からは4年連続で開幕投手を務める。2001年シーズン終了後、現役引退を決意。現在はプロ野球解説者などで活躍中。

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