
佐賀県警で不正なDNA型鑑定が繰り返されていた問題をめぐり、警察庁はきょう(4日)、去年10月から実施していた「特別監察」の結果を公表しました。
この問題は、佐賀県警の科学捜査研究所の元職員・冨永剛弘被告(43)が、DNA型鑑定などの結果をねつ造していたなどとして、虚偽有印公文書作成・同行使などの罪で在宅起訴されたものです。
警察庁は警察の信頼を揺るがす重大な問題だとして、去年10月から佐賀県警に対して「特別監察」を実施していました。
今回の「特別監察」では、元男性職員が1人で担当したすべての鑑定に関して、警察庁や警察庁の附属機関である科学警察研究所の職員など35人の態勢でDNA型鑑定を専門とする大学教授らの意見も踏まえて確認を進め、きょう、その結果を公表しました。
警察庁によりますと、元男性職員が単独で行ったDNA型鑑定などは全部で643件ありましたが、そのうち239件で不適切な取り扱いが確認されたということです。
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不適切な取り扱いはあわせて20種類に分類され、そのうち、▽資料を使用して鑑定を行ったと装ったり、▽鑑定後に余った資料を紛失して別の資料を紛失した資料であるかのように装ったりといった鑑定結果に影響が出るおそれがあったものは7種類でした。
239件の不適切な取り扱いのうち、容疑者を特定して摘発するなどの「犯罪の捜査目的」での鑑定は192件、遺体や行方不明者の身元を確認するなどの「犯罪の捜査目的外」の鑑定は47件でした。
「犯罪の捜査目的」で行った192件の鑑定によって、▽容疑者でない人を捜査対象にした、▽拘束すべきでない人を拘束した、▽犯人でない人を容疑者として検察庁に送検したというケースは確認されなかったということです。
ただし、そのうち捜査中の事件の鑑定と時効が成立した事件の鑑定のあわせて37件で、本来であれば明らかになるはずだった容疑者の見逃しにつながったかどうか「分からない」としています。
容疑者の見逃しにつながったかどうか分からない理由としては、▼鑑定自体に問題は認められなかったものの、再鑑定を行うための資料が残っておらず再鑑定ができなかったものが29件、▼元男性職員の不適切な取り扱いが認められ、当時、適切に鑑定を行っていれば、DNA型を検出できた可能性があったものなどが8件だということです。
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警察庁は去年11月と今年2月の2回にわたり「特別監察」の中間報告を実施。その後、佐賀県警が不適切な取り扱いと判断した130件以外、佐賀県警が問題ないとした513件についても確認を進めた結果、佐賀県警が不適切と判断したうちの1件は不適切とは認められないことが分かった一方、新たに110件の不適切な取り扱いが確認されました。
新たに110件の不適切な取り扱いが認められ、差が生じたことについて、警察庁は専門性の高い分野の事案で、佐賀県警の調査体制では限界があったことや、佐賀県警の調査では1つの鑑定で複数の不適切な取り扱いがあっても1件と数えていたのに対し、「特別監察」では確認された不適切な取り扱いをそれぞれ別々に数えたことなどを理由としています。
今回の「特別監察」では、元男性職員による不適切な取り扱いは2016年8月から長期間にわたり行われていたことが分かりました。
今回の不適切な取り扱いが起きた原因として、元男性職員はミスを隠すために資料を偽装したりするなど、DNA鑑定に関わる職員としての倫理観が欠如していたとする一方で、他の証拠ですでに容疑者が分かっている事件の鑑定も行う必要があるなど業務負担が影響していたことや、不適切な取り扱いの防止のための鑑定作業の各段階におけるチェック体制が不足していたなどと指摘しました。
再発防止策として、外部の有識者を「DNA型鑑定アドバイザー(仮称)」に任命し、必要に応じて専門的な意見を聞くとともに、複数人によるチェック体制を構築したり、鑑定の必要性・緊急性を判断する体制を整備したりするということです。
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さらに今後、科学捜査研究所の機能集約に向け、全国の警察の垣根を越えた組織体制のあり方についても検討を進めるとしています。
